- はじめに
- 第1章 4月の学級開きで騙す「詐欺トーク」術
- 子どもたちが話しかけたくなる「ウソ餌」をまけ
- 目標達成のためなら「悪い冗談」も許せ
- 「ウソ餌」を保護者懇談会でもリサイクル活用せよ
- ウソでいいから、「2人だけの物語」をつくれ
- 教師の好きなもの3つ、すら「餌」になる
- 本名を偽ってでも、子ども心をツカめ
- ふざけた話は、真顔でする
- 「笑う子」は「良い子」だと、おだてよ
- 楽しいトークの後は、厳しい教師を熱演せよ
- いじめは「クラス全員を『敵』に回す」と、脅せ
- 教師は多数派に立ち、世論を味方に勝ち続けよ
- 第2章 日常生活で騙す「詐欺トーク」術
- 長い話は「くどい」「しつこい」と、聞いていない
- 子どもを虜にする教師のトーク5か条
- 「間」で、子どもたちを翻弄せよ
- 「間」を生かしたブラック・トレーニング
- 「数字のマジック」トークで、子どもを騙せ
- トークがダメなら、絵までも使え
- 「やり直し」で、無理やり盛り上げてしまえ
- 「共犯関係」で、子どもとの絆を深めよ
- 「お約束」なら、簡単に「笑い」を起こせる
- 「視線」は、「言葉」以上の魔力をもつ
- 「上」から叱って、威圧せよ
- 「エセ・明石家さんま」になりきれ
- 学級通信を読み聞かせて熱く語れ
- 追い込みトークで危機感を煽れ
- 追い込みトークで、4年生のうちに「高学年」に育てよ
- 意味づけトークで、子どもを優しくさせる
- 学級通信で褒め、進んで学習するように仕向ける
- 卒業式は、学級通信で「涙」を誘え!
- 第3章 学年、全校を騙す「詐欺トーク」術
- 衝撃を与える、着任式での「歌」
- 「イチャモン」をつけてから、話せ
- 6年生へのおだてトークで、学校全体を締める
- 「合言葉」でくり返し、徹底せよ
- 親を「だし」に、やる気にさせるトークを繰り出せ
- 第4章 おまけ『ブラック』中村の遺言状
- 誰か「訴えてやる!」と、言ってくれ
- 騙してでも、教師にするしかない
- 俺が楽しければ、いい
- 「今」だけ見るな!「未来」を見て、教育するのだ!
はじめに
結局、一番大切なのは、教師のトーク力なんだよな。
これ、親友・土作彰氏の言葉である。この言葉を聞いた時、私はどうしたか?聞き流した。私は、真面目な話が嫌い。そこで、すぐに、ふざけた話に切り替えた。
しかし、事態は、一変する。明治図書の編集者・佐藤智恵氏から、メールが来たのだ。
「今年も、なんとか、11冊目の『ブラック』を書いてほしい。テーマは、『教師のトーク術』では、どうか?」と。メールを読んで、土作氏の言葉を思い出した。
『ブラック』は、10冊で終わる予定だった。それ以前にも、何度も、やめかけている。「最後のブラック」と書いたことも、何度も、あった気がする。次の『ブラック』が出る度に、「詐欺だ!」と叫んだ。そんな読者も、少なくあるまい。
でも、土作氏も、「トーク力」。佐藤氏も、「トーク術」。なんか、運命を感じてしまったんだよな。いや、正直に言おう。「トーク術」がテーマなら、書けそうだと思ったんだ。
当然の話だが、体罰は、禁止されている。私が教師になった30年以上前でも、すでにアウト。だから、私も、子どもに暴力を振るったことはない。どんな困難校でもだ。
手が出せない。となれば、我々教師に残された「武器」は、「言葉」だけ。
子どもを上手くコントロールできるかどうか?は、教師の「言葉」にかかっている
と、言っていいだろう。そして、私も、子どもたち相手に、様々なトークをしてきた。教師の仕事は、しゃべることなのだ。
そこで、冒頭の「一番大切なのは、教師のトーク力」という、土作氏の言葉を思い出した。聞いた時は、全く興味がなかったはずだ。それが、ウソのようである。
真面目に「なんでトーク力なの?」と、土作氏に聞いてみた。すると、土作氏は、
言葉だけが、人生を変える
とまで、言い切る。土作氏自身、教師になったのは、「あんた、教師に向いてるんちゃう」という、母親の何気ない一言だったそうだ。
土作氏は、教師の言葉で「指導の意味づけをする」ことが大切だとも言う(「○○しなさい」と言うだけでなく、そうすることの理由、目的、価値などを伝えることだと理解している)。まあ、これについては、後で、少し詳しく述べるかな(第2章「学級通信を読み聞かせて熱く語れ」を参照)。
そんな土作氏には、「トーク術」に関する著書が、たくさんある。土作彰著『絶対に学級崩壊させない!ここ一番の「決めゼリフ」 〈生き方〉に迫る深いいクラスづくり』(明治図書)などは、爆発的に売れた。「トーク術」を必要としている読者が、多い証拠だ。
ということで、やっと、やる気になった。今年も、『ブラック』を書こう!
コロナ禍、私はかなり、おかしくなっていた。大好きな親友・土作氏とも、全く連絡を取らない有り様だ。連絡をもらっても、ことごとく無視し続けた。
まあ、私は、コロナに慎重だったしね。コロナに感染して、保護者や子どもたちから非難されることが、本当に怖かった。今となっては、たとえ感染したところで、大丈夫だったと思える。しかし、初期の感染者に対する目は、怖いほど厳しかった。
それなのに、コロナ禍。平気で、出歩く男がいた。土作氏だ。この親友が、たちが悪い。コロナはただの風邪だと言う。ワクチンは毒だから、打っていない。行動制限も全くなし。
こんな男、どっかで見たぞ。そうそう最近、銃撃されて、ニュースになっていたな。アメリカ大統領・トランプ氏だ。コロナをただの風邪扱いして、自由に暮らす「トランプ・土作」。コロナに怯える「一般人・中村」。一緒に過ごせるわけがない。
しかし、コロナが終わった。いや、終わっていないか。でも、少なくとも、私はマスクをつけていない。そして、土作氏とも、交流を再開した。土作氏と過ごすと、本当に楽しい!
しかも、土作氏の言葉から、刺激を受けられる。『ブラック』も、書く気になった。
今回の『ブラック』は、親友・土作彰氏に感謝しながら、筆を進めることにする。
今日、保護者の個人懇談が終わった。夏休み前、最後の登竜門だ。無事にクリアし、夏休みに突入。1年間で、一番好きな日だ。さあ、今年も、『ブラック』を書き始めよう。
2024年7月18日 1学期の個人懇談を終えた、1年間で最高に幸せな日に 「気分は、もう夏休みだ!」 /中村 健一
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