- はじめに
- 理論編1 「点」の発問から「線」の発問へ
- 道徳科における発問とは何か?
- 道徳科の「見方・考え方」と発問
- 発問を線で捉える〜直観的思考と論理・分析的思考を往還する授業〜
- テーマを追求する学習
- 理論編2 小学校道徳の発問を組み立てるポイント
- 3×2=6タイプの発問
- 発問の組み立て方
- 実践編 2パターンで見る小学校道徳の発問組み立て事典
- 1・2年
- 教材1 ぽんたとかんた
- A-(1) 善悪の判断、自律、自由と責任
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 友達に誘われたら、断ってはいけないの?
- 組み立て2 どうすれば、つい≠止められるか?
- 教材2 二わのことり
- B-(9) 友情、信頼
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 なかよしって、どんな関係?
- 組み立て2 友達って、たくさんいることが大事?
- 教材3 きいろいベンチ
- C-(10) 規則の尊重
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 二人の失敗から学ぶことは、何か?
- 組み立て2 みんなの場所を使うとき、どんなことが大事か?
- 教材4 ハムスターのあかちゃん
- D-(17) 生命の尊さ
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 生きているって、どういうこと?
- 組み立て2 宝物って、何だろう?
- 3・4年
- 教材5 金色の魚
- A-(3) 節度、節制
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 わがままって、どういうこと?
- 組み立て2 心のアクセルとブレーキをどう使う?
- 教材6 絵はがきと切手
- B-(9) 友情、信頼
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 よい友達って、どんな人?
- 組み立て2 友達に言いづらいことはどうすればいい?
- 教材7 ブラッドレーのせいきゅう書
- C-(14) 家族愛、家庭生活の充実
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 家族と、どうかかわっていく?
- 組み立て2 なぜ、家族を大事にできないときがあるの?
- 教材8 ヒキガエルとロバ
- D-(18) 生命の尊さ
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 命を、どう大事にしていく?
- 組み立て2 どうして、命を大事にできないのだろう?
- 5・6年
- 教材9 天からの手紙
- A-(6) 真理の探究
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 探究心をもち続けるには?
- 組み立て2 真理を求めるとは?
- 教材10 ブランコ乗りとピエロ
- B-(11) 相互理解、寛容
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 どうすれば、認め合う関係になれるか?
- 組み立て2 相手とうまくやっていくには?
- 教材11 人間をつくる道―剣道―
- B-(9) 礼儀 C-(17) 伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 礼儀のもと≠ニは、何だろう?
- 組み立て2 伝統や文化を受け継ぐって、どういうこと?
- 教材12 青の洞門
- D-(22) よりよく生きる喜び D-(21) 感動、畏敬の念
- 教材を生かすポイントと発問例/発問の組み立て例
- 組み立て1 よい生き方とは、どんな生き方か?
- 組み立て2 人生が変わるきっかけとは?
- 教材13 ロレンゾの友達
- B-(10) 友情、信頼
- 教材を生かすポイントと発問例/二時間扱いの授業の発問の組み立て例
- 組み立て1 (第1時) 友達って、何だろう?
- 組み立て2 (第2時) どう信頼を築けばよいか?
- おわりに
- 参考文献
はじめに
本書を手に取っていただきありがとうございます。著者の杉本遼と申します。
本書は、「特別な教科 道徳」(以下、道徳科)の授業を、発問の組み立てから変えていこうというものです。
私は、この本を通して全国の教室の道徳科の授業を楽しいものにしていきたいと考えています。
岩崎直哉氏の著書『小学校国語 発問組み立て事典 物語文編』のシリーズ本として、『小学校道徳 発問組み立て事典』を作成しました。岩崎氏は『小学校国語 発問組み立て事典 物語文編』で、「直観から論理へという二段階の思考に沿った〈発問〉の組み立て方」を提案しています。その理由として、以下の三点を挙げています。
@〈発問〉が授業づくりを支える骨子であること
A〈発問〉は「何を問うか」の検討だけでは不十分で、「どのように問うか」「どの順で問うか」まで考えないといけないこと
B「直観から論理へ」という二段階の発想は、教科・領域を問わず汎用的な発想であること
この三点は、道徳科の授業づくりにおいても、間違いなく当てはまります。
道徳科では、多くの授業で、展開前段では教材の場面ごとに登場人物の思いや気持ちを問う発問、展開後段では自己の経験を振り返る発問と、発問や学習過程が固定化していました。私も若手教員時代、その学習過程を疑うことなく授業していました。しかし、次第に私も子どもも物足りなさを感じるようになりました。
左上の板書写真が若手教員時代の板書で、左下が現在の板書です。授業づくりが大きく変化し、最近では子どもと共に発問を組み立てることを楽しめるようになってきました。(写真省略)
本書は、荊木聡氏(2020、2021)による「価値認識・自己認識・自己展望という三つの視点による授業づくり」を一般化したいと願い、共著者である宮正貴氏と研究してきた成果です。
理論編1では道徳科の発問を組み立てるときに大切にしたいことを、理論編2では発問のタイプと組み立ての考え方を説明します。実践編では、低・中・高学年の13の教材について、発問の組み立てを各2パターン(うち1教材は2時間扱いの1パターン)載せています。
本書が、発問や発問の組み立ての可能性を拓き、柔軟な道徳科の授業づくりに貢献できると確信しています。
2024年7月 /杉本 遼
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- 明治図書
- 発問そのものだけでなく,その組み合わせ・組み立て方にまで目をつけることで,教材研究を深めることができると思いました。2024/9/2950代・小学校教員