- はじめに
- 第1章 3観点の新しい学習評価
- 1 新しい評価と技術分野
- 1 観点別評価を行うための基礎知識
- 2 育成すべき資質・能力
- 3 評価の進め方
- 第2章 「知識・技能」の指導と評価方法の工夫
- 1 「知識・技能」の評価の進め方
- 2 内容A 材料と加工
- (1)「生活や社会を支える材料と加工の技術」(2)「材料と加工の技術による問題の解決」
- 3 内容B 生物育成
- (1)「生活や社会を支える生物育成の技術」(2)「生物育成の技術による問題の解決」
- 4 内容C エネルギー変換
- (1)「生活や社会を支えるエネルギー変換の技術」(2)「エネルギー変換の技術による問題の解決」
- 5 内容D 情報
- (1)「生活や社会を支える情報の技術」(2)「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」
- 6 内容D 情報
- (1)「生活や社会を支える情報の技術」(3)「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」
- 第3章 「思考・判断・表現」の指導と評価方法の工夫
- 1 「思考・判断・表現」の評価の進め方
- 2 内容A 材料と加工
- (1)「生活や社会を支える材料と加工の技術」(2)「材料と加工の技術による問題の解決」
- 3 内容A 材料と加工 テスト問題例
- (2)「材料と加工の技術による問題の解決」
- 4 内容B 生物育成
- (1)「生活や社会を支える生物育成の技術」(2)「生物育成の技術による問題の解決」
- 5 内容B 生物育成 テスト問題例
- (1)「生活や社会を支える生物育成の技術」(2)「生物育成の技術による問題の解決」
- 6 内容C エネルギー変換
- (1)「生活や社会を支えるエネルギー変換の技術」(2)「エネルギー変換の技術による問題の解決」
- 7 内容C エネルギー変換 テスト問題例
- (1)「生活や社会を支えるエネルギー変換の技術」(2)「エネルギー変換の技術による問題の解決」
- 8 内容D 情報
- (1)「生活や社会を支える情報の技術」
- 9 内容D 情報
- (2)「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」
- 10 内容D 情報 テスト問題例
- (2)「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」
- 11 内容D 情報
- (3)「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」
- 12 内容D 情報 テスト問題例
- (3)「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」
- 第4章 「主体的に学習に取り組む態度」の指導と評価方法の工夫
- 1 「主体的に学習に取り組む態度」の評価の進め方
- 2 授業での行動観察
- 3 自己評価(ふり返り)
- 4 ワークシート(態度や意思)
- 5 完成(収穫)レポートや発表会
- 6 長期的な変容
- 第5章 「社会の発展と技術」の指導と評価方法の工夫
- 1 「社会の発展と技術」の評価の進め方
- 2 内容A 材料と加工
- (3)「社会の発展と材料と加工の技術」
- 3 内容B 生物育成
- (3)「社会の発展と生物育成の技術」
- 4 内容C エネルギー変換
- (3)「社会の発展とエネルギー変換の技術」
- 5 内容D 情報
- (4)「社会の発展と情報の技術」
はじめに
本書を手に取った方は,おそらく「評価」という点について,何か悩みを抱いていたり,困ったことがあったりするのではないかと推察しています。または,研究授業で指導案を書くことになった,校内研究等で「指導と評価」について研究することになったなど,「評価」という点について,何か情報を求めていらっしゃるのではないかと思います。
「評価」という単語は,学校現場においてはとても重たい,責任の大きい意味合いをもっています。おそらく評価=成績というふうに捉えられていることが多く,その成績が進路選択等で用いられる際に,保護者・生徒と授業者(教員)とで認識がずれてしまうことがあると,「評価」に対する印象が悪くなるのではないかと思います。また,本書でターゲットとしている中学校技術・家庭科(技術分野)では,製作品(本立てやテーブルタップ,手回し発電ラジオ等)や成果物(収穫した野菜や,制作したプログラム等)を「評価」する場面が多く,どうやってA評価,B評価,C評価を決めればよいのか,悩みながら日々「評価」している先生が多いのではないかと推察しています。
本書は,技術・家庭科(技術分野)における「評価」に焦点をあてています。現行の学習指導要領や生徒指導要録における3観点評価を柱として,学習指導要領の内容と評価との関係を,できるだけ実践事例とセットにして紹介したいという思いで編纂しました。そのため,各章では,「評価」に対する基本的な考え方を概観した後,全国各地で「評価」について工夫している先生方の実践事例を紹介するように構成しています。それぞれの実践事例は,研究授業等を通して練られた「理想的な実践例」もあれば,その先生の悩みが投影されている「現実的な実践例」もあります。そういう意味で,本書は技術分野の評価に関するバイブル的な存在ではなく,「評価」というキーワードで読者と執筆者とをつなぐ「縁結び」のような存在でありたいと願っています。「評価」に全国統一の正解(唯一解)はありません。しかし,学習指導要領がある以上,全国のどの学校でも一定の水準を満たす「評価」を進める必要があります。本書はその架け橋になりたいという思いで編纂しました。
今回の学習指導要領の改訂は,全ての教科・領域等で(もっといえば小学校から高等学校までの全ての校種で)観点別学習状況による評価の観点を揃えたという意味で,歴史的な大転換点です。その統一された観点が「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つです。本書のテーマは,この3観点をどうやって評価するかということです。特に,テスト等でははかりにくいとされる非認知能力である「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」については,全員が同一の製作品を完成させて技能の習得に重きを置く授業だけでは,評価することが難しいでしょう。従前のように「製作品の加工精度」だけを評価しようとせず,「ペーパーテストは知識だけでよい」といった固定観念を捨て,「態度は授業態度や安全面で評価する」といった主観的な考え方から脱却することが求められます。
本書では指導と評価が一体であることや,従前とは評価の考え方が異なる事例に焦点をあてて,学習指導要領の内容ごとに具体的な題材の評価規準や指導計画,授業の事例を示した上で,生徒の記述や表現(アウトプット)に注目した評価の事例を紹介するよう心がけました。特に,テストでははかりにくいことに注目した事例が多いため,生徒の記述やレポート,発表等に関する紹介が多くありますが,実はペーパーテストも「知識・技能」と「思考・判断・表現」を評価するための大きな資料になります。
「主体的に学習に取り組む態度」については,従来の「関心・意欲・態度」から考え方が拡張されたため,何をどのように評価すればよいのか,迷っている学校が多いと思います。特に,生徒の文章表現から評価する際に「どうやってA評価,B評価,C評価を区別するのか?」といった判断の迷いや,「あの生徒はどう考えてもBではないか?」といった先入観による悩みが生じると思います。それを排して,生徒の文章力に依らずできるだけ客観的に評価するための考え方や視点を解説するようにしました。
技術・家庭科(技術分野)の教員は,各校に1人いるかどうかというのが現状です。そのため「評価」について悩みがあっても,気軽に相談できないことが多いのではないかと推察いたします。そんなときこそ,本書がみなさんのよき「相談相手」になってほしいと願っています。本書の事例を読んで,そのまま実践してもよいでしょうし,「そういう考え方なら,自分の授業をこういう方法でやってみたいな」とアレンジして実践してもよいと思います。また,本書が橋渡しとなって,校内で他教科の先生方と相談しやすくなったり,地区の研究会等で技術分野の担当教員同士が「評価」について共通理解をはかるきっかけになったり,さらに家庭分野の先生と「評価」について共通認識をもつきっかけになってもらえたりしたら幸いです。そして全国の学校で,生徒の資質・能力を適切に把握する「評価」が実践され,生徒たちの未来の可能性が広がるような授業実践がさらに増えるように,微力ながら本書が貢献できることを願っています。
最後になりましたが,各学校での実践を玉稿にまとめていただいた各著者のみなさま,本書の根底に流れる理念を汲み取って全体編集に多くの時間と労力を割いてくださった編著者の小八重先生と向田先生に,この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
編著者代表 /尾﨑 誠
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- 明治図書
- 具体的な事例が掲載されていて、非常に参考になった。2024/11/840代・中学校教諭
- 見開きで簡潔にまとめてありわかりやすい。2024/6/2850代・中学校管理職
- 観点別評価のことで勉強したくて購入しました。多くの学びがあり日頃の指導に生かしています。2024/4/760代・中学校教諭
- 具体的な内容が多く載っていて良い2024/3/2350代・中学校管理職