- 第1章 授業構想のアップデート
- 1 生活経験とのつながり 生徒の生活経験とのギャップを,どのように埋めたらよいですか?
- 2 現象の可視化 可視化しにくい現象をどうしたら納得させることができますか?
- 3 似て非なる内容 2力のつり合いと作用と反作用を,どのように区別して指導すればよいですか?
- 4 知識の関連づけ 知識が断片的にならないようにするには,どうすればよいですか?
- 5 観察,実験の扱い 観察,実験なしでうまく授業を組み立てるには,どうすればよいですか?
- 6 観察,実験の準備 どうすれば授業準備を効率化できますか?
- 7 指導案作成 研究授業の学習指導案は,どのように書いていけばよいですか?
- 第2章 探究的な学びのアップデート
- 1 観察,実験の考察 観察,実験の考察をもっと書けるようにするには,どうすればよいですか?
- 2 観察,実験の目的 生徒に実験の目的をもっと意識させるにはどうすればよいですか?
- 3 探究的な授業展開 探究的なプロセスを,どのように授業に位置づければよいですか?
- 4 観察,実験の計画 どうすれば生徒による実験の計画を授業に取り入れられますか?
- 5 観察,実験の意味 生徒に実験の意味をもっとしっかり理解させるには,どうすればよいですか?
- 6 観察,実験のレポート 方法はどこまで書かせればよいですか?
- 7 対照実験の意味 対照実験の意味を理解させるには,どうすればよいですか?
- 第3章 授業技術のアップデート
- 1 演示実験 演示実験でもっとうまく実験の内容を伝えるには,どうすればよいですか?
- 2 実験の説明 実験の操作を簡潔に指導するには,どうすればよいですか?
- 3 ガスバーナーの指導 ガスバーナーの使い方を定着させるには,どうすればよいですか?
- 4 指名の方法 授業を活性化するには,どのように指名すればよいですか?
- 5 実験結果の扱いの指導 実験結果の取り扱い方を,どのように指導すればよいですか?
- 6 グラフの指導 グラフ作成が苦手な生徒には,どのように指導すればよいですか?
- 7 発言の環境づくり 生徒にもっと活発に発言させるには,どうすればよいですか?
- 8 計算の指導 計算が苦手な生徒には,どのように指導すればよいですか?
- 9 モデルの指導 粒子のモデルについて実感を伴った理解を図るには,どうすればよいですか?
- 第4章 内容理解のアップデート
- 1 日常生活とのかかわり 基礎的な原理と応用例をうまくつなげて教えるには,どうすればよいですか?
- 2 概念形成 なかなか定着しない概念を,どのように教えたらよいですか?
- 3 身の回りの物理現象 凸レンズを通過した光が1点に集まり実像ができることを,どう指導すればよいですか?
- 4 学習内容の接続 電力の学習とこれまでの学習をどのようにつなげればよいですか?
- 第5章 学習評価のアップデート
- 1 記述物の評価 生徒の記述物の評価は,どうすればもっと有効なものになりますか?
- 2 指導と評価の一体化 「指導と評価の一体化」を実現するためには,具体的にどうすればよいですか?
- 3 知識・技能 知識・技能の指導と評価はどのようにすればよいですか?
- 4 思考・判断・表現 思考力,判断力,表現力等は,どうすれば適切に見取れますか?
- 5 主体的に学習に取り組む態度 主体的に学習に取り組む態度は,どのような方法で見取ればよいですか?
- 第6章 授業の基礎基本のアップデート
- 1 資質・能力の育成 資質・能力を育成するために,どのように授業を改善すればよいですか?
- 2 授業力の向上 自分の授業力を客観視するには,どうすればよいですか?
- 3 教科書の活用 教科書をもっとうまく活用するには,どうすればよいですか?
- 4 板書とノート ノートとプリント,板書とスライド,どちらがよいのでしょうか?
- 5 学習環境づくり もっと落ち着いて授業に取り組ませるにはどうすればよいですか?
- 6 理科室経営 もっと魅力のある理科室にするには,どうすればよいですか?
- 7 予算運営 限られた予算で実験を充実させるには,どうすればよいですか?
- 8 50分の使い方 導入からまとめまでを50分に収めるには,どうすればよいですか?
はじめに
本書の発刊は,現場の先生方が新型コロナウイルスの感染対策に追われる真っ只中となってしまいました。私の大学では教育実習で多くの学生が現場の先生方にお世話になっていますが,学生から現場で奮闘されている先生方の様子を耳にするたび,頭が下がる思いでいます。
大学生に,「なぜ理科を学ぶのか」を問うことがありますが,最近は「課題解決にかかわる資質・能力の育成」という観点をあげる学生が増えたように感じます。資質・能力ベースの教育課程の改訂が進んでいるという背景はあるのでしょうが,新型コロナウイルスの流行という未知の課題に直面していることも,少なからず影響しているのではないかと感じています。様々な情報を取捨選択し,よく考え,判断することの大切さをこれほどリアルに感じたことは,近年なかったかもしれません。改めて,理科を学ぶことの意義を考えさせられます。
今春に着任された新人の先生も数多くいらっしゃることでしょう。期待と不安を胸に,日々,奮闘されていることと思います。私が公立中学校に着任したのは平成元年です。初年度から担任をもたせていただき,教科指導,生徒指導,学級経営,そして野球部の指導と,毎日手さぐりの中で夢中になって実践に取り組みました。教科指導について,最初の3年間は,教えた経験のない内容が続き,授業準備に追われる毎日でしたが,3学年をひと回りするころには教科指導にも慣れてきて,いくらか見通しを立てて授業づくりができるようになってきました。その一方で,年を重ねるにしたがって,様々な校務に忙殺されます。日々の教科指導を何とかこなしているような状態になっている自分に気づき,「このままでよいのか」と自問自答をしたことを思い出します。
この書籍は「アップデート」をキーワードとしています。ひと通りの教科指導を経験し,もっとステップアップしたいと考えている若い理科の先生は数多くいらっしゃることと思います。そんな先生方の姿を思い浮かべながら本書を執筆しました。授業づくりや教科指導に関する視点をできるだけあげてみたつもりです。本書を手にした皆さんのアップデートのきっかけになれば,これに勝る喜びはありません。
まだまだ厳しい感染状況が続いています。豊かな教育実践も心身の健康があってこそです。どうぞ,お身体を大切になさってください。そして,皆さんのご活躍と,「わかった,できた」という生徒たちの笑顔があふれることを心より願っています。
2021年7月 /宮内 卓也
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- 明治図書
- いつも楽しい本をありがとうございます!2022/4/220代 小学校学級担任