- はじめに
- 本書の使い方
- Chapter1 Interactive Englishによる帯活動と英語授業づくり
- 01 帯活動を設定した授業構成と単元構成
- 02 帯活動とInteractive English
- 03 タスク活動
- 04 教科書の内容理解
- 05 帯活動・タスク活動・教科書内容理解の役割の相関図
- 06 ICTの活用
- 07 バックワードで考える授業デザイン
- Chapter2 第1学年 Interactive English &単元末タスク活動アイデア
- 01 やり取りをしながら自己紹介をしよう
- [言語材料] be動詞,一般動詞,疑問詞
- Interactive English・TASKシート
- 02 海外の食文化を紹介しよう
- [言語材料] 疑問詞5W1H,want to ...,How many ...?,(否定)命令文
- Interactive English・TASKシート
- 03 ペア(友達)の紹介文を書こう
- [言語材料] 三人称単数現在形
- Interactive English・TASKシート
- 04 知らない人や物について尋ねたり,紹介したりしよう
- [言語材料] 人称代名詞,疑問詞(Who, What time ..., Which ..., A or B?)
- Interactive English・TASKシート
- 05 紹介ムービーでALTに日本の中学校生活を伝えよう
- [言語材料] 現在進行形,感嘆文
- Interactive English・TASKシート
- 06 自己紹介・他己紹介をしよう
- [言語材料] 助動詞can
- Interactive English・TASKシート
- 07 1年間の思い出についてやり取りしよう
- [言語材料] 過去形,There is / are ...,過去進行形
- Interactive English・TASKシート
- Chapter3 第2学年 Interactive English &単元末タスク活動アイデア
- 08 夏休みの旅行計画についてプレゼンテーションをしよう
- [言語材料] 未来を表す表現(be going to / will),SVOO,SVOC
- Interactive English・TASKシート
- 09 ALTにおすすめの日本料理を紹介しよう
- [言語材料] 接続詞(when, if, that, because)
- Interactive English・TASKシート
- 10 理想的なAIについてプレゼンテーションをしよう
- [言語材料] 不定詞
- Interactive English・TASKシート
- 11 ALTに日本の習慣についてアドバイスしよう
- [言語材料] 助動詞(have to, must),動名詞
- Interactive English・TASKシート
- 12 オリジナルユニバーサルデザイン製品のメリットを提案しよう
- [言語材料] 疑問詞+to 動詞の原形,主語+動詞+(人)+疑問詞+to+動詞の原形,主語+be動詞+形容詞+that節
- Interactive English・TASKシート
- 13 グラフを用いたポスターセッションをしよう
- [言語材料] 比較表現
- Interactive English・TASKシート
- 14 お客様に世界遺産旅行を提案しよう
- [言語材料] 受け身
- Interactive English・TASKシート
- Chapter4 第3学年 Interactive English &単元末タスク活動アイデア
- 15 私をポジティブにしてくれるアスリートを紹介しよう
- [言語材料] 現在完了形(経験用法),make+(代)名詞+形容詞,SVOO(that節)
- Interactive English・TASKシート
- 16 自分の経歴について紹介しよう
- [言語材料] 現在完了形(完了用法・継続用法),現在完了進行形
- Interactive English・TASKシート
- 17 絶滅危惧種についてのポスターセッションをしよう
- [言語材料] It is ...(for+人)+to+動詞の原形,want+人+to+動詞の原形,let[help]+人+動詞の原形
- Interactive English・TASKシート
- 18 無人島へ持っていくものを決めよう
- [言語材料] 間接疑問文,SVOO(what節),現在分詞,過去分詞
- Interactive English・TASKシート
- 19 テーマを決めてディスカッションをしよう
- [言語材料] 全言語材料
- Interactive English・TASKシート
- 付録 全学年で使える活動アイデアシート
- 01 コレクション・コード(Correction Code)
- 02 Read and Draw
- 03 テスト・デザイン(Test Design)
- COLUMN
- 01 長期休業明けの授業
- 02 談話への展開トレーニング
- 03 DialogからMonologueへの書き換え
- 04 授業の構成要素とは
はじめに
私は,初任のときから,多くの先輩方の授業を参観させていただきました。英語科の授業に限らず,様々な教科の授業を拝見させていただき,他教科から学ぶことの多さに驚いたことを今でもよく覚えています。
私が一番印象に残っているのは,技術家庭科の授業です。家庭科の標準授業時数は年間で35時間です。1週間に1時間という計算です。この35時間の年間指導計画を立て,最終的なゴールに向けて授業を仕組んでいるということが明確に分かる教科だと思いました。例えば家庭科の授業で調理実習を行うとします。グループで和食を作るとします。そのために,生徒は和食の歴史,食品の栄養素,包丁の扱い方,食材の切り方,盛り付け方など,非常に多くのことを学びます。もちろんこれは,家庭科として決めた調理実習というゴールに向けてバックワードで計画を立てた取組です。技術科でも,本棚を作るとします。木材の切り方や木目と強度の関係,のこぎりの使い方など,「本棚を作る」というゴールに向けて,いつの段階でどういったことが生徒に必要なのかを緻密に計算して指導されています。
基本的には週1時間しか授業がありません。したがって,「指導できなかった部分はまた翌日に」と安易なことはできないのです。自分自身を振り返ってみても耳が痛いのですが,例えば技術家庭科の先生に3週間後の授業内容を尋ねてみてください。ほぼすべての先生方が具体的な授業内容を答えられると思います。我々英語科の教員にそれができるでしょうか?
英語科の授業は,アイスブレイキングから始まり,PPP型(Presentation-Practice-Production)という,いわゆる従来型の授業が主流でした。自分自身が指導方法について研究を重ねるなかで,TBLT(Task-based Language Teaching)という指導方法に出会いました。この「タスク」という言葉は奥が深く,先行研究でも多くの実践事例が紹介されています。
私が生徒の頃の英語科の授業では,PPP型の指導で英語を学習してきました。先生が用意したアイスブレイキングでは,英語に関するクイズや歌,ゲームを行いました。その後,本時の学習についての説明があり,文法や単語の用法や意味を学び,教科書本文の意味を考え,ドリル学習をしました。最後に,学習した文法や単語を使って英作文をするという授業でした。英語の授業は暗記教科だと思い込んでいたのも事実です。こうしたPPP型で授業をすると,一つの落とし穴があることに気が付きました。それは,教えた文法や表現を用いてやり取りなどをさせると,教師はその部分のエラーばかりが気になってしまうのと同時に,生徒は間違えないように習ったばかりの文法や表現を使おうという意識が働きます。両者にとって,自由度の低い活動にしかなりません。これでは,言語活動ではなく,ドリル活動の繰り返しになってしまうのではないかと思うのです。
いざ教員になり,授業をする側になると,当たり前に行うものだと思っていたアイスブレイキングのネタが尽き,それをどうするのかということばかりを考えていました。いかに文法の説明を分かりやすくするか,いかに時間内に授業を収めるか,ということに時間を費やしていました。もちろん,PPP型の指導を全否定しているわけではありません。本書で提案する型は,PPP型とTBLTのよいところを組み合わせたイメージです。
詳細については,後述しますが,本書のキーワードは「帯活動」×「タスク活動」×「気付き」です。単元を通して段階的な負荷をかけながら「帯活動」を継続して行います。そして,毎時間の授業や単元末で「タスク活動」を展開します。帯活動やタスク活動で,生徒にしっかりと言語活動に取り組ませるなかで,エラーを体験させます。では,どのように表現すればよいのか,正解を知るという形で教科書の内容理解に入り,「気付き」を生み出します。
先述した通り,技術家庭科の本棚づくりや調理実習に向けて必要なことを指導していくように,単元末タスク活動に向けて,それまでに必要な布石を打つことが大切になります。
また,本書で提案する一番の売りは,「効率性(コストパフォーマンス)」です。私が以前まで実践してきた授業では,アイスブレイキングと,その後の授業になんら「つながり」はありませんでした。ただ生徒が盛り上がったり,英語を学習する雰囲気をつくり出したり(勘違い?)していただけかもしれません。
毎時間の授業に帯活動を設定することで,単元を通して授業に「つながり」をもたせ,タスク活動や教科書の内容にも「つながり」をもたせました。そうすることで,コストパフォーマンスの向上を図りました。もちろん,本書は発展途上にあります。これからさらに磨きをかけ,何が生徒にとってベストなものかを追究する必要があると思っています。
本書が,私と同じような思い(悩み)をもっている先生方の授業改善の一助となれればと思っています。
2022年12月 /野坂 良太
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- 明治図書
- ワークシートが授業で使える2023/9/2830代・中学校勤務
- 本書では、帯活動として行うダイアローグ練習をもとにして、単元末タスクを設定しており大変参考になりました。2023/9/940代・中学校管理職
- 授業で使えそう。2023/4/140代・中学校教員
- 教科書改訂後の内容もあって助かりました2023/1/25しゅん
- 単元のまとめのゴールをどのように設定するかをUnitごとに学ぶことができて非常に役立ちました。2023/1/1240代・中学校英語教師