- はじめに
- 第1章 教師の姿勢―「子どもに任せる」がむずかしい
- 悩み01 「子どもに任せる」を間違えると……
- 悩み02 教師が出るタイミングとは?
- 悩み03 集団としてのまとまりをどう保障する?
- 第2章 子どもの意識―「自分ごと化」がむずかしい
- 悩み04 「自分ごとにする」とは言うけれど……
- 悩み05 「学級生活を自分ごとにする」までの過程とは?
- 悩み06 「学習を自分ごとにする」までの過程とは?
- 悩み07 学級生活と学習をつなぐには?
- 悩み08 「自分で考え、動く」ための言葉かけ
- 第3章 授業づくり―「『問い』を生かす」がむずかしい
- 悩み09 「問い」をつくったものの……
- 悩み10 「問い」の着地点をどう見つける?
- 悩み11 「問い」が見つからない子への支援は?
- 悩み12 「問い」のレベルがなかなか上がらない
- 悩み13 誘導的な「問い」をつくらせてしまう
- 悩み14 学年ごとのポイントはある?
- 第4章 協働―「話し合う・聴き合う・学び合う」がむずかしい
- 悩み15 「聞きたい」と思えるようにするには?
- 悩み16 意見や質問に「型」は必要?
- 悩み17 「理由を言える」のハードル
- 悩み18 声が大きい子に引っ張られる
- 悩み19 クラスの人数が多いと……
- 悩み20 「学び合う力」の必要性をどう伝える?
- 第5章 ファシリテート―「学びをつなぐ」がむずかしい
- 悩み21 同じ子とばかり交流する
- 悩み22 見取りの方法
- 悩み23 教師の思う方向に……
- 第6章 成長のサイクル―「ふり返る・学びを生かす」がむずかしい
- 悩み24 ふり返りの意味を感じられるようにするには?
- 悩み25 表面的なことしか書けない子には……
- 悩み26 ふり返りの記述量が少ない
- 悩み27 ふり返りの時間が足りない
- 第7章 実践で追う 教師のいらない授業のなやみ方
- 「単元構想」のなやみ方 「歴史の学習」を構想する(六年・社会)
- 「見取り」を通したなやみ方 物語文の学習を通して、子どもたちの「問い」を育む(六年・国語)
- 「答えのない過程」のなやみ方 三学期だけの担任で指導・支援を考える
- おわりに
- 参考文献
はじめに
『教師のいらない授業のなやみ方』を手に取っていただき、ありがとうございます。本書は「子どもたちが自ら学ぶ授業をどうつくるか」を軸に、教師として悩みながら模索することの意義について考えた一冊です。悩むこと自体に価値があるのではないか。そんな視点を読者の皆さんと共有できればと思っています。
思い返せば、前著『教師のいらない授業のつくり方』(2020)を出したのは、コロナ禍の中でした。突然の変化により、子どもたちが自ら学ぶ姿が見えにくくなり、戸惑いや悩みを抱えた先生も多かったのではないでしょうか。そうした経験を経て、今、多くの先生が「教える」における「子どもたちが主体的に学ぶ場を整える」ことの重要さに気づき始めているように感じます。
「教師のいらない授業づくり」
という言葉は、一見とても魅力的に響きますが、実際には簡単なことではありません。発問を工夫したからといって、すぐに子どもたちが主体的になるわけでもなく、方法さえ知っていれば「教師のいらない授業」が成立するわけでもありません。むしろ、教師が子どもたちの小さな変化や成長を丁寧に見取りながら、悩みつつ支え続ける姿勢こそが、「教師のいらない授業づくり」につながると感じています。
本書では、こうした「悩む」ことにこそ価値を見出しています。教師として日々感じる悩みや迷い、それが解決されることが目的ではありません。むしろ、その悩みが教師自身の成長につながり、子どもたちの学びの場をより深める力になると信じています。この本を通じて、皆さんが「悩むこと」に前向きに向き合い、共に歩む勇気を持っていただければと願っています。
悩むことは苦しい時もありますが、それこそが教育の原動力です。どうぞ、本書を通じて子どもたちの視点に立ち返り、共に悩み、探究し、より良い授業づくりを目指していければ幸いです。
2025年1月 /若松 俊介
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- 明治図書
- このシリーズが最高です2025/4/630代・小学校教員
- 相変わらず若松先生の本には考えさせられました。以前明治図書さんから出た支え方の技術を先日再読したばかりだったので、こちらはどちらかというと心の持ちよう寄りで、定期的に読み返したくなる一冊でした。2025/2/2520代・小学校教員