- はじめに
- 1章 自分に自信をつけるための名言
- 子どもの何気ない一言に傷つく
- 保護者からのクレームに疲れてしまう
- 教えても教えても、学力が上がらない
- 教えるのに苦手な教科や単元がある
- 子どもに人気がない
- ユーモアのある話ができない
- 前任の教師と比べられ、劣等感をおぼえる
- 私語が多く、授業が成立しない
- 教師という仕事に熱意を失いかけている
- 対応を誤り、傷ついた子どもがいる
- 2章 子ども理解を深めるための名言
- 授業に集中できない子どもがいる
- 心を開いてくれない子どもがいる
- 言うことを聞かない子どもがいる
- 何をするにも無気力な子どもがいる
- うそをつく子どもがいる
- 不登校になってしまった子どもがいる
- 問題行動を繰り返す子どもがいる
- 挨拶ができない子どもがいる
- 常に反抗的な子どもがいる
- 自己肯定感が低い子どもがいる
- 3章 辛い日々を乗り越えるための名言
- 職場の環境になじめない
- 同僚と指導方針が合わない
- 管理職からのプレッシャーに耐えられない
- 教師のみの人間関係に閉塞感がある
- 土日も忙しくて休めない
- 教材研究をする時間がない
- 役職が負担になっている
- いろいろと考えすぎて悲観的になってしまう
- 保護者や地域の方との関係をうまく築けない
- どうすれば教師として成長できるかわからない
- 4章 ここ一番に強くなるための名言
- 学期始めからつまずいてしまう
- 参観日に緊張してしまう
- 子どもに届けたいメッセージが伝わらない
- 行事を通しても連帯感が生まれない
- 子どもの叱り方がよくわからない
- 危機的状況で教師の矜持を保てるか不安
- 子どもに勉強する意味を伝えられない
- 周りからの誤解に耐えられない
- 秩序と自由のさじ加減がよくわからない
- 教師としての無力さを痛感する
- おわりに
- 参考文献
はじめに
ピラミッドを真横からしか見たことがない人は、ピラミッドを三角形と認識し、真上からしか見たことがない人は四角形だと認識します。
その人たちにピラミッドはどのような形かと問いかけると、一人は三角形、一人は四角形と答えるでしょう。お互いに自分の認識が正しいと思い込んでいるので双方ともに譲りません。実際にその形は一面においては正しいからです。
しかし全体像を把握すると、ピラミッドは四角錐だとわかります。このように、鳥瞰して少し視点を変えることで、今まで見えなかったものが見えてきます。
日々の教育活動の中でも、このピラミッドのたとえ話のようなことがあるのではないでしょうか。少し視点を変えるだけで、今まで見えなかったものが見えてくることもあるかもしれません。
悩んだときに、人を変えることはできませんが、自分の見方・考え方を変えることはできます。そのように自分が変わることで、結果として周りも徐々に変わっていくことが多いように思います。
本書で紹介する名言は、教育界だけではなく、様々な分野の方々の言葉から選びました。それは悩みには普遍性があり、人間社会のあらゆる場面に解決のヒントがあると考えるからです。教師として日々子どもたちと接していく中で、不安になったり、悩んだりすることは誰しも避けることができません。そんなときに、具体的な悩みに即した、教師の心に寄り添う本があればと思いました。本書は先人が、幾多の経験を通して紡ぎ出した言葉の中から、その悩みに最もふさわしいと思う名言を選び、その名言から私が学んだことを、自身の経験なども踏まえて四十話にまとめています。
書名にある「ポジティブ・マインドセット」という言葉は、「前向き思考様式」もしくは「成長型思考様式」と言い換えることができます。物事は、どのように捉えるかという思考様式によって見え方が変わってきます。その思考様式こそが、悩みを解決するための大きな力となるでしょう。
授業や子どもたちとの人間関係で、悩んでいる先生方は全国に多くいると思います。それは一生懸命で誠実だからです。その試行錯誤は、教師として成長するための大切な時間であり、誰もが通る道なのです。
教育に完成はありません。その地点を目指して日々の修養を積んでいく遥かなる道のりです。皆さんが今悩んでいることは、すでに多くの先人が歩んできた道です。決して一人の孤独な歩みではありません。どこまで辿り着けるかわかりませんが、その遥かなる道をしっかりと歩んでいきましょう。
本書は小・中・高等学校の、主に若手から中堅の先生方が抱く悩みに対して、心が楽になり、軽くなる視点や考え方を示しました。また、それと同時にその悩みを克服するための、具体的なアドバイスも提示し、読めば元気が湧いてきて、明日へと一歩を踏み出せるように考えました。若手、中堅のみならず、ベテランや管理職の先生方にとっても、悩みを抱く先生方への、温かいアドバイスの引き出しの一つとして活用していただければと思います。
構成としては四章立てになっています。それぞれの章で、具体的な十例を示し、その不安や悩みに答えています。本書は日々の教育活動の中で多くの先生方が、どのように対処してよいかわからない事案を厳選しました。私は初任校が中学で、二校目からは高校で国語教師として教壇に立ちました。教育委員会に勤務していたときに、幼稚園、小学校教育にも携わりました。それらの経験が少しでも、皆さんのお役に立てればと思います。
昭和の教育哲学者、森信三先生の、「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える、しかも一瞬早すぎず一瞬遅すぎない時に」の言葉通り、人と人は絶妙のタイミングで出逢います。そのときはそう感じなくとも、後で振り返ると、人との出逢いの不思議に胸を打たれます。期せずして出逢うことを「邂逅」と呼びます。人との邂逅があるように、言葉との邂逅もあります。本書の中の言葉を発した人の多くはもうすでにこの世を去った方々です。肉体は滅んでも、その人の思いは言葉となり世代を超えて我々に今でも語りかけ、励まし続けてくれています。
本書が先人の言葉と邂逅する一助となり、新たな視点を得て明日へと踏み出す力になれば幸いです。
/山根 修
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- 明治図書
- 手元に置いて常に意識しながら活用できるので便利である。2021/4/1160代・小学校教員
- とても、ポジティブ思考の素晴らしい本だと思います。ただの主婦ですが、色々と物事の捉え方が勉強になりました。2020/9/2360代・女性
- 温かく隣で語りかけてくれるような文章なので、何度も何度も読みたくなる本です。励ましてくれると同時に前向きな気持ちになれます。2020/9/22匿名希望
- 教師としてこれでいいのかと悩むこともありましたが、この本を読んでいるとすーっと心が軽くなり前向きな気持ちになれました。著者のあたたかい言葉に励まされ、明日からもがんばろうというエネルギーになりました。2020/9/1920代 小学校教諭
- 名言はもちろんのこと、著者の真心が伝わる感動的な文章に勇気づけられました。この本に出会えてよかったです。2020/9/13匿名希望