- まえがき
- 序章
- 教員との関係づくりに悩んでいませんか?
- 人を動かすって大変
- 学校を動かすことは人を動かすこと
- リーダーの姿勢が人の動きを変える
- リーダーの一言が教員の成長を促す
- 1章 まずは押さえたい! 言葉かけの基礎づくり
- 学校を動かす基礎づくり
- まずは明確な目標を示すことから
- 学校経営の戦略マップをつくろう
- 人を動かすグランドデザイン
- 戦略に命を吹き込む言葉かけ
- 学校を動かすためのリーダーとしての姿勢づくり
- トップダウンとボトムアップ
- 学校を動かす三つの段階と言葉かけ
- 人を生かすスクールリーダーの心構え
- 発信無ければ受信無し
- 紙ベースの発信がすごい!
- ICT活用で即効性のある発信を!
- 2章 まずはここから! 言葉かけのABC
- 言葉かけの基本スキル
- すべては「笑顔」から始まる
- 「対話の鍵」としての言葉かけ
- すべては「共感」から始まる
- 共感的対話の4ステップと言葉かけ
- モチベーションを高める言葉かけ
- モチベーションって何?
- マズローの認知欲求ピラミッドから
- 知っておこう! フィードバック
- 言葉かけのTPOを意識する
- 時間と場所を使い分ける
- 目的を意識する
- 3章 タイプ別でよくわかる 学校を動かすスクールリーダーの言葉かけ
- 授業づくりに悩んでいる教員への言葉かけ@
- 授業づくりに悩んでいる教員への言葉かけA
- 会話が少なく、あまり相談しない教員への言葉かけ
- 高圧的な指導を誇りとしている教員への言葉かけ
- 我流で授業を進める教員への言葉かけ
- やる気の見えない教員への言葉かけ
- 自分に自信がもてない教員への言葉かけ
- 不平不満をいつも口にしている教員への言葉かけ
- 生徒指導に苦手意識を感じている教員への言葉かけ
- 仕事が遅く提出物も滞る教員への言葉かけ
- イマドキの若手教員に効く言葉かけ@
- イマドキの若手教員に効く言葉かけA
- イマドキの若手教員に効く言葉かけB
- イマドキの若手教員に効く言葉かけC
- 返事はよいがミスが多い教員への言葉かけ
- さらに成長してほしい三十代教員への言葉かけ
- 精神的な不安からお休みが多い教員への言葉かけ
- 4章 スクールリーダーの品格 〜相手の対応に対して〜
- 苦しいときにこそ品位が問われる
- 「激昂、逆切れする教員」には改善策を!
- 「言い訳オンパレード教員」には「で?」
- 「黙して語らず教員」には「待つ」!
- 「ノーリスク・ノーチャレンジ教員」には思い出話を!
- 「昔取った杵柄」教員には礼儀を込めて
- スクールリーダーの言葉かけの流儀
- 5章 連携で学校を動かす スクールリーダーの言葉かけ
- 子どもを動かす言葉かけは布石の連続で
- 超強力PTAで保護者を動かす
- 地域の中心で「助けて」と叫ぶ
- 苦情や批判に対しても共感的な姿勢で
- 終章
- 言葉かけは「学びに向かう力」育成の発火点
- 言葉のもつ不思議な力を信じて
- あとがき
まえがき
「愛」と「技術」の言葉かけ
■すべては「のど自慢」から始まった
「♪ロ〜ラ〜!」「カ〜〜〜ン」
激しく叫んだそのときに鳴り響く衝撃の鐘の音一つ。
今から二十年ほど前に出演したNHKの「のど自慢」でのワンシーンです。西城秀樹さんの『傷だらけのローラ』を熱唱するも無念の鐘一つ。
当時担任していた中学三年生の生徒を励ますという安易な理由で出演した「のど自慢」が、実は人生を変えるほどの大きな意味をもっていたのです。それは、当日のステージのことではないのです。前日の予選会後のNHKスタッフとの打ち合わせの中にありました。本選に決まった出演者は、全員が司会者やスタッフと面談を行います。出演するに至った経緯や選んだ曲に対する思いなどをスタッフが聞き取りをしていきます。プロの歌手を目指す人、家族への思いを伝える人、人生に悩む人等々、様々な方が出演をされますが、その一人ひとりの方々に対して見事な言葉かけをして、その思いを引き出しているのです。「話させる」のではなく「話したくなる」ような言葉かけをしているのです。
それは一流のファシリテーションという言葉で表現した方がいいのかも知れません。司会者も全員と面談をします。わずか十五分程度の面談の中に、出演者に対する深い尊敬と愛情と一流のファシリテーション技術をもって「対話」をするのです。だからこそ、合格者は思いっきり司会者に抱きつくのです。
衝撃でした!
それまでの教員としての私は、子どもたちに上手く教えることや意見を言わせることが一流の指導だと思っていました。全く反対でした。それは、上から目線の一方的な指導であることに気が付いたのです。NHKスタッフのように、子どもたちと共に考え、子どもたちのよさや考えを引き出していくのが一流の教員であるいうことに気が付いたのです。
出演者を思う「愛」とそれを見事に引き出していく一流の「技術」。この二つこそが、人を動かしていくのだということを学んだ夜でした。
■愛のない技術は危険であり、技術のない愛は無力です
この言葉は、『クラスはよみがえる』(野田俊作・萩昌子著、創元社)の中で紹介されている言葉です。「のど自慢」に出演した後に、この言葉が私の教員として生きてく上での大きな指針となりました。
本書を手に取っていただいたスクールリーダーの先生方にも、この言葉の意味を実感していただきたいと願っています。自校の教員に対する深い愛情と教員を動かしていく「言葉かけ」という一流の技術を身に付けていただき、「愛される学校づくり」を自信をもって進めていただくための一助としていただけたら幸いです。
「誰一人取り残すことのない『令和の日本型学校教育』」の時代、それは子どもだけでなく、貴重な戦力である愛すべき教員も誰一人取り残すことなく生き生きとした教育活動ができる時代であってほしいと願ってやみません。
/山田 貞二
特に、タイプ別の言葉がけがわかりやすく、参考になりました。
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