- まえがき
- Chapter01 発表の力がつく!リテリング&ショート・プレゼンテーション
- @すべての生徒の[発表]スキルを伸ばす英語授業の極意
- 1 「話すこと」(スピーキング)の2つの要素
- 2 [発表]の力を伸ばす言語活動とは?
- 3 [発表]の力は「1分間英語を話し続ける力」から
- 4 アイコンタクト問題は「デジタル・ミニカウンター」で解決できる
- 5 英語授業づくりの指針「AL型英語授業10か条」
- 6 生徒が英語を話したくなる環境づくり15のコツ
- 7 指導効果アップは「目標・テスト・授業」の三位一体思考から
- Chapter02 リテリングのベーシック&アドバンス
- @リテリングの基礎・基本と導入法
- 1 リテリングとは?
- 2 リテリングの5つのメリット
- 3 リプロダクション,リテリング,ショート・プレゼンテーションの特徴と具体例
- 4 リテリングはいつ行うか
- 5 リテリングのはじめ方
- 6 先輩のモデルでイメージをつかむ
- 7 簡単に繰り返せる3つのペア活動
- Aリテリングを促すサポート活動
- 1 リテリングが難しく感じる生徒へのサポート(足場かけ)
- 2 リテリングを促す単元導入法
- 3 リテリングを促す帯活動
- 4 リテリングを促す語彙活動
- 5 リテリングを促す読解活動
- 6 リテリングを促す要約活動
- 7 リテリングを促す文法・表現活動
- 8 リテリングを促す音読活動
- 9 リテリングを促すパラフレーズ(言い換え)活動
- 10 リテリングを促す家庭学習
- 11 リテリングを促すライティング活動
- 12 リテリングを促す本番直前Pre-retelling練習
- 13 リテリングを促すWhile-retellingとPost-retellingの支援
- Bリテリング活動のアップデート
- 1 リテリングのバリエーション
- 2 リテリングをレベルアップさせるコツ
- 3 「英語サマリー」の作り方
- 4 「単元末」にできる,2分間の「まとめ」リテリング
- 5 「長期休暇明け」にできなくなる,リテリング
- 6 「受験期」にもできる@ 長文を読んで「即興型」リテリング
- 7 「受験期」にもできるA 別の長文を読んで「準備型」リテリング
- 8 「年度末」にできる「年間振り返り」リテリング
- 9 「春休み課題」にできる全単元の「年間サマリー」づくり
- 10 高校3年間のリテリング「WPM全記録」
- Chapter03 ショート・プレゼンテーションのベーシック&アドバンス
- @ショート・プレゼンテーションの基礎・基本と導入法
- 1 リテリングの課題とショート・プレゼンテーションの誕生
- 2 ショート・プレゼンテーションの「メリット」とは?
- 3 ショート・プレゼンテーションのはじめ方
- 4 社会におけるプレゼンの重要性を伝える
- 5 ショート・プレゼンテーションを取り入れた「授業イメージ」
- 6 プレゼンのやり方をまとめる
- Aショート・プレゼンテーションのアップデート
- 1 「プレゼングッズ」を使った発表
- 2 ときどき「動画」でパフォーマンスの確認
- 3 プレゼンで使える「英語フレーズ」
- 4 スキルと度胸をつける「全体発表」
- 5 プレゼン・ミスに対する「フィードバック」
- 6 [やり取り]の力も伸ばす発表後のサマリー・QA
- 7 発表を「深い学び」に導くICEモデル
- 8 「深い学び」の2つのタイプを実践しよう
- 9 「他者の発表」からプレゼンスキルを学ぶ「気づきメモ欄」の活用
- 10 「英語プレゼンスキル100」
- Bショート・プレゼンテーションの実技テストと振り返り
- 1 パフォーマンステストの実施要項
- 2 パフォーマンステストのQA@ 実施前の工夫
- 3 パフォーマンステストのQAA 実施中・実施後の工夫
- 4 評価ルーブリック
- 5 パフォーマンステストの振り返り
- 6 生徒の振り返りから学ぶ@ ショート・プレゼンテーションで「大変」なことは?
- 7 生徒の振り返りから学ぶA ショート・プレゼンテーションで「身につくと思う力」は?
- 8 生徒の振り返りから学ぶB ショート・プレゼンテーションでさらに「工夫できる点」は?
- Cショート・プレゼンテーションで「主体的・対話的で深い学び」に導く
- 1 ショート・プレゼンテーションを続けると10の境地に至る
- 2 言いたいことを英語で表現できるようになる
- 3 新出語彙・表現・文法を使えるようになる
- 4 深い学び(つながりレベル)に至るようになる
- 5 さらに深い学び(提案・創造レベル)に至るようになる
- 6 論理の展開や構成を工夫するようになる
- 7 プレゼンスキルを工夫するようになる
- 8 人前でプレゼンに挑戦するようになる
- 9 授業外でも準備・学習をするようになる
- 10 自己成長・他者貢献・学びを楽しむようになる
- 11 他者からも学ぶようになる(対話的な学び)
- 主な参考文献
まえがき
本書は,リテリングと,その発展版であるショート・プレゼンテーション(1分間ショート・プレゼンテーション:SP)の具体的なやり方や効果をまとめた本で,以下の提案を行うものです。
・全国で行われている「リテリング」は,とても良いのでぜひ試してみよう。
・リテリングを難しいと感じる生徒のために,いろいろな活動で「足場かけ」をしよう。
・リテリングで終わらずに「(1分間)ショート・プレゼンテーション」までやってみよう。(今求められている「主体的・対話的で深い学び」にもつながる。)
最近,リテリングは日本全国で普及し始め,多くの実践やまとめも報告されています。
私が英語授業の核としてリテリングに取り組み始めたのは,10年以上前です。正確には,「リプロダクション」と呼ばれる,本文の暗唱に近い活動からスタートし,その後,自分の言葉で語る「リテリング」に進化し,多い年にはこれらの活動を年に40回ほど行ってきました。
そうしているうちに,リテリングには課題もあることに気づき始めました。たとえば,次のようなものです。
・(活動)相手も知っている内容に基づく活動のため,新鮮味がなく何度も繰り返しにくい
・(評価)教科書の内容をリテリングすることをアウトプットとして評価していいのか
こうした課題を克服しようと多くの試行錯誤を重ね,その答えの一つとして「ショート・プレゼンテーション(SP)」という活動を開発しました。教科書のSummaryに,新情報や自分の深い考察を加え,プレゼンを意識した「(1分間)ショート・プレゼンテーション(SP)」です。
私は,たった1分間のリテリングやショート・プレゼンテーション活動にほれ込み,多大なる魅力と可能性を感じています。これが全国で行われるようになればと思っています。両者に取り組むことで,リテリングの課題を克服し,生徒が「主体的・対話的で深い学び」を実現するきっかけになります。こうしたショート・プレゼンテーションの主なメリットは次の通りです。
・生徒のスピーキング力やプレゼンテーション能力が飛躍的に伸びる
・生徒が(家庭学習も含めて)主体的に学習・準備をし,深い学びに各自で到達し,良い点を他者と学び合うようになる
ショート・プレゼンテーションについて,生徒はどう感じているでしょうか。
○入学した頃と比べて,確実に英語力,構成力が上がったと感じた。発表していて楽しかったし,見ていても楽しかった。
○SPを通して様々な技能を身につけられた。特に,うまく伝えるにはどうするか,プレゼンの内容やものを工夫したり,教科書から発展して独自のプレゼン内容にしたりしてきた。
○今まで学んできたことから,自分が新しいものを「発見」し,今までの学習と「つなげて」いくことで,よりよいプレゼンができるということが分かった。
○英語の授業は世界の諸問題に興味をもつきっかけとなった。英語の授業で,問題の困難さとともに,解決に向けての努力や情熱についてなど,前向きにさせてくれる文章を扱って,それについて考え,自分の考えをまとめて発表していたからだと思う。これからもモチベーションをもって,問題解決に向けての具体的な措置や提案などを英文で読んでみたい。
こうした授業を参観された方も,次のような感想をお寄せくださっています。
○感動しました。授業中にあれだけ高校生が笑顔なのは見たことがありません。
○あそこまで生徒が英語で話せていて,ここまでの日常的な積み上げを感じました。
○授業が終わったとき,生徒が充実した笑顔でした。知的好奇心が満たされた様子です。
○生徒に愛されていますね,先生との信頼関係がありますね。
○これほど深く授業が進んでいく学校は,それほどないのではないでしょうか。拍手です。
リテリングやショート・プレゼンテーション活動に取り組むことで,なぜ生徒は笑顔になるのでしょうか。なぜ英語が話せるようになり,深い学びを実現し,知的好奇心が満たされた表情になるのでしょうか。活動を通して,生徒と信頼関係が築かれるのはなぜでしょうか。
本書では,リテリングやショート・プレゼンテーション活動の10年以上の試行錯誤とその記録から,活動を進めるうえでの課題や解決策を具体的にまとめ,さらに,膨大な量の生徒アンケートの分析から見えてきた生徒の心情などを,次の3つのChapterでご紹介します。
Chapter 01 発表の力がつく!リテリング&ショート・プレゼンテーション
Chapter 02 リテリングのベーシック&アドバンス
Chapter 03 ショート・プレゼンテーションのベーシック&アドバンス
Chapter 01では,スピーキング指導で大切な前提や心構えを取り上げます。Chapter 02と03では,「リテリング」と「ショート・プレゼンテーション」(1分間ショート・プレゼンテーション)の「基礎・基本」と「アップデート」するための具体的なコツを深掘りします。
さらに本書では,次のような項目も取り上げます。何か気になるものはあるでしょうか。
○リプロダクション,リテリング,ショート・プレゼンテーションの違いは何?
○リテリングがうまくいくためには,どんな「足場かけ」(支援)ができるの?
○リテリングの課題を克服するショート・プレゼンテーションとはいったい何?
○生徒が簡単にできる「英語プレゼンのスキル」を100個にまとめるとどうなる?
○パフォーマンステストはどう行うの? その際の評価や振り返りは?
○これらの活動に3年間取り組むと,生徒はどう変化するの?
本書が,リテリング指導がまだの方はスタートするきっかけに,すでにリテリングを行っている方は,ショート・プレゼンテーションにまで進んでいただくきっかけになれば最高です。
まえがきはここまでです。さっそく本編をお楽しみください。
2022年9月 /上山 晋平
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- 明治図書
- 英語の授業で子供がアクティブになる方法を学びました。2024/7/1330代・中学校教員
- ショートプレゼンテーションに至るまでの指導過程や、生徒の具体的な声が書かれていて「やらせてみたい!」と思える内容でした。2024/3/220代・中学校教員
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- 掲載されているワードカウンターや表現集がダウンロードできるとなお良かったです。2023/1/2230代・高校教員
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