- はじめに
- CHAPTER1 先生も子どもも安心できる 1年目からの授業づくりのポイント
- 0 先生も子どもも安心できる授業づくりを目指そう
- POINT1 教材研究の4ステップを押さえる【教材研究】
- POINT2 見方・考え方を理解する【解決方法】
- POINT3 授業を1時間・1単元で捉える【授業の流れ】
- POINT4 学習進度を視覚化する【学習進行表】
- POINT5 基本的な板書を押さえる【板書】
- CHAPTER2 図解で詳しくわかる 先生1年目からの各教科の授業づくり
- 国語
- @教材研究
- (1)指導事項を把握する
- (2)領域ごとに単元全体の流れをつかむ
- (3)単元の流れを子どもと共有する
- (4)教科書の使い方
- A授業の流れ
- 基本的な1時間の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 課題提示
- (2)承の段階(見通す) 音読指導
- (2)承の段階(見通す) 語彙の拡張
- (2)承の段階(見通す) 自分の考えを表現する視点
- (2)承の段階(見通す) 国語における10の考え方
- (3)転の段階(調べる) きき合い活動
- (4)結の段階(まとめる) 振り返り
- B基本的な板書
- 学習過程とリンクさせた板書
- 算数
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- (2)教科書の使い方
- (3)プリントサイトの有効活用
- A授業の流れ
- 基本的な1時間の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 問題把握の導入
- (1)起の段階(つかむ) 算数のめあての立て方
- (2)承の段階(見通す) 算数における見通しとは?
- (2)承の段階(見通す) 算数における見方・考え方
- (3)転の段階(調べる) ペア・グループ活動
- (4)結の段階(まとめる) まとめへとつなげる
- B基本的な板書
- 学習過程とリンクさせた板書
- 社会
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- (2)領域ごとに単元全体の流れをつかむ
- (3)社会科発問づくりの視点
- (4)教科書の使い方
- A授業の流れ
- 基本的な1時間の流れを捉える
- 基本的な単元全体の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 社会科問いづくり
- (1)起の段階(つかむ) 資料を提示する
- (2)承の段階(見通す) 様々な資料で調べる
- (2)承の段階(見通す) 動画サイトを活用する
- (2)承の段階(見通す) 表現活動を取り入れる
- (3)転の段階(調べる) 対話で深める
- (4)結の段階(まとめる) 効果的な振り返り
- B基本的な板書
- 学習過程とリンクさせた板書
- 理科
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- (2)実験器具の確認
- (3)安全指導
- (4)教科書の使い方
- A授業の流れ
- 基本的な1時間の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 効果的な課題提示
- (2)承の段階(見通す) 予想を立てる視点を明確に
- (2)承の段階(見通す) 記録・情報収集するポイント
- (3)転の段階(調べる) 科学的解決を促す
- (4)結の段階(まとめる) 結論をつくる
- B基本的な板書
- 学習過程とリンクさせた板書
- 道徳
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- (2)基本的な1時間の授業の流れ
- A授業の流れ
- (1)起の段階(つかむ) 問題意識を高める
- (2)承の段階(見通す) 自分の考えを表現する視点
- (3)転の段階(調べる) 物事を多面的・多角的に考える
- (4)結の段階(まとめる) 自己の生き方について考えを深める
- B基本的な板書
- 道徳における板書の型
- 体育
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- A授業の流れ
- 基本的な1時間の流れを捉える
- 体育における「学習」の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 子どもが安心できる体育の導入
- (2)承の段階(見通す) 主運動につなぐ
- (3)転の段階(調べる) 新たな気づきを促す
- (4)結の段階(まとめる) 効果的な振り返り
- 学活
- @教材研究
- (1)指導事項の把握
- A授業の流れ
- 学級活動(2)(3)の流れを捉える
- (1)起の段階(つかむ) 問題意識を高める
- (2)承の段階(見通す) 原因を考え,解決方法を知る
- (3)転の段階(調べる) 課題解決の実践
- (4)結の段階(決める) 意思決定と実践の継続
- B基本的な板書
- 学習過程とリンクさせた板書
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
皆さんは,どのような初任時代を迎えられましたか?
子どもたちの成長を見届けたい! 子どもたちと一緒に成長していきたい!そのような心持ちで教師を目指した方も多いと思います。私もその一人です。学生時代は,学童とバイトを掛け持ちしていました。子どもたちと一緒に過ごす時間が楽しくて,それを職業にできるのなら最高だと感じていました。
採用試験に合格し,希望にあふれた私の初任の学校は,単式クラスの学校でした。初めての担任は3年生。校舎が改装したことから3年生の校舎だけ,他の学年とは別校舎でした。初めての職員会議は,何を言っているのかわからない,まるで,異次元に来たかのような感覚でした。そして,大量のプリント,初任者特有のあいさつ巡りなど目が回るほどの忙しさです。一番驚いたのは教材選定です。着任2日後には,副教材を選ばなければならないのです。まだ,3年生の教科書に触れてもいないのに,教材なんて選べるか! と思いましたが,単学級の私は,一人で選ばなくてはなりませんでした。
そんなばたばたとした春休みが明けて,授業が始まりました。
授業の仕方を一から十まで丁寧に教えてくださる先生はいません。なぜなら,他の先生方も新学期準備で忙しいからです。授業の進め方を聞いても,「子どもたちの声を拾い上げてつくるんだよ」「教科書を教えるのではなくて,教科書で教えるんだよ」といった抽象的なアドバイスばかりでした。
単学級かつ別校舎ということもあり,他の先生の板書や,教師の声かけ,授業の進め方といったものが本当にわかりませんでした。それゆえ,教材研究のポイントもわからず,授業準備に人一倍時間がかかり,授業のねらいと学習過程もずれてしまい,ちぐはぐな授業だったと今になれば思います。
そんな初任時代を思い返し考えることが,「授業の型」があれば先生は安心して授業を進めることができるのではないかということです。
型にはめることを嫌う方もいらっしゃると思います。確かに,型に授業をはめることで子どもの思考を抑制したり,教師主導になってしまうといった懸念もあるでしょう。しかし,まず型があるからこそ,自分の得意なことや子どもの実態に合わせて,オリジナリティあふれる授業ができるのです。どんなに型破りな授業を目指しても,型がなければ破ることができません。
「守・破・離」という考え方があります。「守」とは,まずは型を徹底的に守ることから修行が始まるということ。そして,自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで既存の型を「破る」ことができるようになります。さらに修行を重ね,かつて教わった型と自分自身とその技についてよく理解し,型から「離れ」て自在となることができます。
私は,これまで数百枚の図解を作り,発信してきました。このような活動を続け,研鑽を積んでいく過程で,全教科,それぞれの授業で「型」の良さを感じています。それは,型があることによって,子どもたちは,教師がいなくても学び方を体験的に理解できるということです。これが,自主学習や問題解決学習にもつながり,自立した学習者へと押し進めていきます。
また,1単位時間の授業において,「起承転結」型で授業を組み立てることで,教師と子どもが共通の授業の型を理解し学習に臨むことができます。起の状態で,子どもの学習意欲を引き立て,承の段階で,見方・考え方を生かして自力解決に進む。そして,転の段階で先生や友達の考えを聞いたり,自分の意見を伝えたりして,さらに自分の考えを再構成して深いものにしていく。結の段階では,学習と自分を結ぶことによって,次時への活力としたり,学びの達成感を感じたりすることができます。このような,単純明快な流れを,国語・算数・理科・社会・体育・道徳・学級活動と7つの教科で横断的な視点をもってまとめました。
この本は,過去の私が一番読みたかった本です。この本があれば,授業づくりや実践への不安感が和らぐはずです。そうして,もっと授業の中身を工夫したいという余裕が生まれ,教材を考えたり,個に応じた授業準備をしたりなど,さらに授業を面白いものへと昇華していくことができるでしょう。
本書が,皆様にとって日々の授業実践の一助になれば幸いです。
/浦元 康
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