- 第1章 発問,指示のQ&A
- Q1 どんな場面で,どんな発問をすればよいのかわかりません…
- Q2 学習のねらいに迫っていく発問が,いつも似てしまいます…
- Q3 多様な考えを引き出すには,どんな発問をすればよいですか?
- Q4 発問の後には,どんな指示をすればよいのですか?
- 第2章 板書,ノート指導のQ&A
- Q1 板書計画通りに板書ができません…
- Q2 子どもの考えを板書に生かせません…
- Q3 社会科ではどんなノートの技能を身につけさせればよいのですか?
- Q4 見学学習のために,どんなノート指導をすればよいですか?
- Q5 ワークシートを使っていると,自力で学習を進める力が育たないのではと不安です…
- 第3章 調査活動,話し合い活動のQ&A
- Q1 情報収集の技能を調査活動で育てるには,どうすればよいですか?
- Q2 話し合い活動が,一部の子どもの発表に終始してしまいます…
- Q3 話し合い活動で,それぞれが発言するだけになってしまいます…
- Q4 見学学習がイベントになってしまいます…
- Q5 ゲストティーチャーを招く授業では,どんな準備をすればよいですか?
- 第4章 まとめ,評価のQ&A
- Q1 まとめを子どもが自力で書けるようにするには,どうすればよいですか?
- Q2 単元末の振り返りが充実していません…
- Q3 評価作業に時間がかかり過ぎています…
- Q4 用語を覚えさせるだけになっています…
- 第5章 楽しい授業づくりのQ&A
- Q1 「社会科は楽しい!」と感じられる授業開きは,どうすればできますか?
- Q2 印象に残る授業おさめにするには,どうすればよいですか?
- Q3 クイズやゲームを上手に取り入れるには,どうすればよいですか?
- Q4 地図の学習では,読み取り以外にどんな技能を身につけさせればよいですか?
- 第6章 ICT活用,ユニバーサルデザインのQ&A
- Q1 ICTの拡大提示機能は,どうすれば効果的に活用できますか?
- Q2 デジタル教材の選び方がわかりません…
- Q3 慣れていない学級ではICTを使わない方がよいのでしょうか…
- Q4 ユニバーサルデザインを意識した授業とは,何をすればよいのですか?
- 第7章 資料活用のQ&A
- Q1 グラフの読み取りで子どもの気づきを増やすには,どうすればよいですか?
- Q2 絵図資料をどのように読み取らせたらよいのかわかりません…
- Q3 資料提示がワンパターンになりがちです…
- Q4 実物資料でもたせた興味を,学習につなげることができません…
- Q5 資料を提示しても,子どもたちの問いがなかなか出てきません…
- 第8章 授業デザインのQ&A
- Q1 単元計画の押さえ所がわかりません…
- Q2 学習過程のバランスをとるためには,どうすればよいですか?
- Q3 導入で子どもに切実感のある問題意識をもたせるには,どうすればよいですか?
- Q4 2つめの学習問題を構想したのですが,どう扱えばよいですか?
- 第9章 教科書活用のQ&A
- Q1 教科書はどのようにして研究していけばよいのですか?
- Q2 教科書の多くの情報にどんな視点から注目させたらよいのですか?
- Q3 教科書中心の授業に教材を追加する場合,どんな視点から考えればよいのですか?
- Q4 地図帳を使用する機会が,なかなかありません…
- Q5 子どもに資料集を活用させるには,どうすればよいですか?
はじめに
社会科にかかわって,私が変えたい事実があります。それは子ども対象のアンケートで,社会科は他教科に比べ「嫌いな教科」として位置づけられていることが多いということです。現在担当している大学の講義でも,学生に自分が受けた社会科の授業イメージを聞いてみると,
「学習内容を詳しく説明するだけというパターンが多かった」
「毎回代わり映えしない授業だった」
といった印象が多いのです(もちろん,「先生が工夫して楽しかった」という声もあります)。
若い先生方と話していると,
「社会科での発問のポイントは何ですか?」
「社会科では,どのように教科書を使ったらよいのですか?」
といった相談を受けることがあります。詳しく聞いてみると,社会科の授業参観も研修の機会もほとんどないとのことです。このことは,先の変えたい事実と関連しているかもしれません。
私自身が小学校教員になった1980年代は,社会科授業の研究が盛んでした。どの学校にも社会科が得意な先生がおり,研究会等で社会科の授業参観をするだけではなく,自分が研究授業をする機会にも恵まれました。また,当時は教育雑誌や書籍等で「発問研究」がテーマになることが多く,自己流ではありましたが,社会科授業では様々な発問を試みてきました。その結果,1つの優れた発問で子どもたちが話し合いに熱中することもわかってきました。やがて,社会科教育における自分の興味の対象も広がり,「教材開発」「板書とノート指導」「資料活用」というようにテーマの幅も広がりました。
本書は,私がこのように学んだり,実践したりしたものをQ&Aの形式でまとめたものです。今まで短い原稿をQ&Aの形式で書いたことはありましたが,1冊の本を丸ごとこの形式で執筆するのははじめてのことでした。
この場合の「Q=Question」は質問というよりは,「悩みや困りごと」といった方がよいでしょう。しかも,そのQが数行ではなく1ページ分あることが本書の特色であり,より具体的な内容になっています。経験のある人ならばこの悩みや困りごとに「確かに社会科の授業ではあること」と共感するのではないでしょうか。
「A=Answer」については,1つ目がWHY(悩み,困りが生じる原因についての解説),2つ目がHOW(悩み,困りを解決する方法の紹介)というように,原因を示したうえでの具体的な解決方法を述べています。ただ単に困りごとへの解決のためのハウツーだけではなく,原則的なものを読み取ってくださればと思います。
また,第1章から第9章のうち,最も自分が必要としている部分から読むことをおすすめします。おそらく,最初に読む章が皆様にとって一番必要な内容であり,それが子どもたちに真っ先に還元されると考えるからです。皆様のこれからの社会科授業の参考になればと願っています。その結果として,冒頭に書いた「私が変えたい事実」がよりよい方向に変わるのであれば,これほどうれしいことはありません。
本書を出版するにあたっては,編集担当の矢口郁雄さんに大変お世話になりました。執筆過程で困難にも直面しましたが,無事出版にこぎ着けることができました。心から厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
2020年11月 /佐藤 正寿
時間がないとき等は1段階目の答えを読み、時間が取れる時に続きの答えを読むなど。