- はじめに
- 第1章 「単元の授業づくり」のコツ
- (1)目標とは何か
- (2)単元の目標はどう書くのか
- (3)指導計画(単元展開)はどうつくるのか @基本編
- (4)指導計画(単元展開)はどうつくるのか A応用編
- (5)「主体的・対話的で深い学び」をどう実現するか
- (6)「対話的な学び」はどうしたら生まれるか
- (7)「深い学び」は何を目指したらよいのか
- (8)「見方・考え方」はなぜ必要か
- (9)「見方・考え方」はどう踏まえればよいか @基本編
- (10)見方・考え方」はどう踏まえればよいか A演習編
- (11)学習問題とは何か
- (12)学習問題はどうやってつくるのか @基本編
- (13)学習問題はどうやってつくるのか A中級編
- (14)学習問題はどうやってつくるのか B上級編
- (15)問いはどのように深めていけばよいか
- (16)どんな発問が大切か @「つかむ〜調べる」
- (17)どんな発問が大切か A「まとめる〜いかす」
- (18)資料はどのように準備するのか
- (19)「選択・判断する」場面はどのように設定するか
- (20)「多角的に考える」とはどう考えることか
- (21)「新たな問い」はどう生み出し,どう追究するか
- (22)「評価計画」はどうやってつくるのか
- (23)子供が主体的に学ぶ単元はどうつくるか
- (24)単元のまとめはどうすればよいか
- (25)作品づくりはどのようにすればよいか
- 第2章 「本時の授業づくり」のコツ
- (1)本時の指導案はどのようにつくればよいか
- (2)1時間(コマ)の授業展開はどう工夫すればよいか @基本編
- (3)1時間(コマ)の授業展開はどう工夫すればよいか A演習編
- (4)1時間(コマ)の授業を盛り上げるには何が必要か
- (5)どんな発問が子供の思考を促すか
- (6)板書はどのように工夫すればよいか
- (7)教科書はどのように使うのか
- (8)資料はどんな手順で提示するとよいか
- (9)「選択・判断する」「多角的に考える」学習のコツは
- (10)本時の学習のまとめはどうすればよいか
- (11)振り返りはどんなふうにさせればよいか
- (12)ICTはどんな場面で使うと効果的か
- (13)授業改善にはどんなことをすればよいか
- 第3章 「日頃の学習スタイル・学習集団づくり」のコツ
- (1)どうすればみんなが発言するようになるか
- (2)話合いや議論はどうすればできるのか
- (3)ノートはどのように使えばよいか
- (4)ワークシートはどのように使えばよいか
- (5)学習形態はいつどのように変えればよいか
- (6)学習履歴はどのようにいかせばよいか
- (7)既習の知識の違いによる「学力差」をどういかすか
- (8)個別最適な学びとはどのような学びか
- (9)協働的な学びとはどのような学びか
- 第4章 「教材研究・校内研修」のコツ
- (1)教材研究は何をすればよいのか
- (2)教材はどうやってつくるのか
- (3)教材作成・開発では何が大切か
- (4)学習指導要領はどのように読めばいいのか
- (5)学習指導要領の「内容」「事例」と教材の関係は
- (6)現地調査・取材では何をどう調べるのか
- (7)ゲスト・ティーチャー(GT)はどのようにいかすか
- (8)校内研究・研修はどのように進めればよいか
- 第5章 「学力や学習評価」のコツ
- (1)指導と評価の一体化とはどのようなことか
- (2)目標に準拠した評価とはどのようなことか
- (3)観点ごとの評価規準で何を評価するのか
- (4)観点ごとの評価規準はどのように配置すればよいか @基本編
- (5)観点ごとの評価規準はどのように配置すればよいか A演習編
- (6)どうすれば評価規準をもとに評価できるのか
- (7)「主体的に学習に取り組む態度」はどう評価するのか @基本編
- (8)「主体的に学習に取り組む態度」はどう評価するのか A実践編
- (9)「主体的に学習に取り組む態度」はどう評価するのか B発展編
- (10)「思考・判断・表現」はどう評価するのか
- (11)「知識・技能」はどう評価するのか
- 第6章 「学習内容」のコツ
- (1)社会科の内容全体への視野をどうもつか
- (2)地理的環境に関する内容は子供がどう学べばよいか
- (3)歴史に関する内容は学年を超えてどうつながるのか
- (4)「単元」とは何か
- (5)ESDやSDGsをどう取り上げればよいか
- (6)各学年の社会科でSDGsをどう取り上げるか
- (7)社会科でSDGsを取り上げる際のポイントは何か
- (8)これからの社会科の研究課題は何か
- おわりに
はじめに
「本当に知りたい」社会科授業づくりのコツ
学生と社会科の授業の話をすると「社会科の授業は答えがないから楽しい」と言います。でもそれは違います。答えがないのではなく答えが多様なのです。「ない」と「たくさんある」では大違いです。
同じように社会科の授業づくりも特定の決まりがあるわけではないため答えがないように見えます。しかし,社会的背景や求められる資質・能力,取り上げる教材や内容などの前提条件を根拠にして考えれば,明確な答えが導き出されます。多様にあるのは,そうした背景,目標や内容の方なのです。
本書は,当然ながら社会科の授業づくりに固定化・規格化を求めているわけではありません。しかし何でもよいわけではなく,この根拠に基づくとこういう方法がよいと考えられるという一定の答えを示す趣旨で書いています。また,選んだ授業づくりのテーマは,実際に全国の先生方から私に寄せられた質問などに基づいています。「本当に知りたい」というタイトルにしたのはそのためです。そのときの回答を思い起こしながら,あるいは説明不足で申し訳なかった思いをかみしめながら,新たに答えを模索しながら書いたものです。
そこで「基本的な理論は分かっているけど現実は少し違う気がする」「総論は納得するけど各論になるとよく分からない」「頭では理解できても実際にやってみるとうまくいかない」など,先生方が感じている理論と実践,理想と現実の「ズレ」に目を向けることにしました。私自身も学習指導要領を基に話をしたり文章を書いたりすることが多いのですが,現実の授業実践を多く観ると,あるいは実践者の先生方と話をすると,違った角度から授業が見えてきます。また実際に観た授業の例を伝えたくなります。学習指導要領には,授業づくりの詳細は書かれていないため,それぞれの教師による現実に即した解釈が必要ですし,具体的な手立ては実際の授業の中からしか見出せないからです。
ですから,本書の内容の多くは,数ある実践から導き出されたことを基にした例,多くの実践を観てきた私の個人的な考えであり,決して唯一の正解ではありません。先生方が悩んでいることや迷っていることのヒントとして,あるいはたくさんある方法の一つとして,読んでいただければ幸いです。「お勧めです」「私見です」と書いているのは,私が先生方の授業を観ていて「うまいなあ」と感じたことです。うまくいくかいかないか,まずはやってみてください。そして,うまくいかなければ,さらによい方法を実践を通して考えてみてください。
社会科の授業づくりは大変,社会科の指導は苦手,と感じる先生方が多いことはよく存じています。しかしそこで諦めてしまうと,決して社会科が好きな子供は育ちません。何より,先生方自身の日々の授業の悩みは解決しません。読みやすさを優先して見開き読み切り型で構成したため,1テーマについての紙幅が限られており言葉足らずな面があることは否めませんが,■番号のついたタイトル(小見出し)をヒントにして続きを考えてみてください。本書を通して少しでも社会科の授業づくりへの悩みが解消され,よりよい授業が広がることを心より祈念しています。
結びに,本書の執筆の機会をくださり,編集・校正などにおいて懇切・丁寧にご支援くださった明治図書出版株式会社編集部の皆様,とりわけ及川誠様に心よりお礼申し上げます。
2022年10月 大妻女子大学 /澤井 陽介
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