小学校理科と個別最適な学び・協働的な学び

小学校理科と個別最適な学び・協働的な学び

BEST300

重版出来

好評2刷

7TYPEの単元構成で新時代の理科授業をつくる

クラス全員で実験・観察を行い、問題解決の授業を展開してきた理科授業において、「個別最適な学びと協働的な学び」はどう実現すればよいのか。理科の単元展開の在り方を見つめ直し、7TYPEを提案。理論と実践を融合した、これからの授業づくりに欠かせない1冊。


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PDF
ISBN:
978-4-18-438326-5
ジャンル:
理科
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
四六判 208頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年12月4日

目次

もくじの詳細表示

まえがき
1章 「個別最適な学び」,「協働的な学び」という観点から,理科授業を捉え直す
1 学習指導要領のポイントを理解する
重要キーワード@資質・能力
重要キーワードA主体的・対話的で深い学び
重要キーワードB見方・考え方
2 理科の学びとは?
自然の事物・現象を対象とした学び
問題解決
問題を科学的に解決する
学んで得たことを,日常生活等に当てはめる
3 「個別最適な学び」「協働的な学び」とは
いつ出てきたのか?
「個別最適な学び」
「協働的な学び」
学習指導要領と「個別最適な学び」「協働的な学び」との関連
「個別最適な学び」「協働的な学び」と「主体的・対話的で深い学び」との関連
4 理科の単元展開のTYPE
「個別最適な学び」から見つめ直す
「協働的な学び」から見つめ直す
理科の単元展開の在り方を見つめ直す
TYPE1 共通の問題を同じ検証方法で追究する
TYPE2 共通の問題を異なる検証方法で追究する
TYPE3 共通の問題を予想ごとにみんなで追究する
TYPE4 複数の問題をみんなで順番に追究する
TYPE5 全体の問題を設定し,個別の問題ごとに追究し,全体の問題に戻る
TYPE6 共通の問題をみんなで追究した後に個別の問題を追究する
TYPE7 個別の問題を個別に追究する
2章 「個別最適な学び」,「協働的な学び」の観点で授業づくりを捉え直す
1 小学校理科の2区分の特性を踏まえた「個別最適な学び」「協働的な学び」の授業づくり
2 区分の特性から,考える
A区分の特性を踏まえた授業づくり
B区分の特性を踏まえた授業づくり
3 学習内容の理解の仕方から,考える
単元構成の考え方
A区分の単元構成例
B区分の単元構成例
4 子供が働かせる「理科の見方・考え方」から,考える
A区分の特性を踏まえた理科の見方・考え方
B区分の特性を踏まえた理科の見方・考え方
5 子供の発達の段階から,考える
A区分における子供の発達の段階を考えた学び
B区分における子供の発達の段階を考えた学び
6 ICT端末の活用から,考える
A区分におけるICTの効果的な活用
B区分におけるICTの効果的な活用
7 評価から,考える
A区分における評価事例
B区分における評価事例
3章 「個別最適な学び」,「協働的な学び」を意識した授業
TYPE1 共通の問題を同じ検証方法で追究するTYPE
TYPE2 共通の問題を異なる検証方法で追究するTYPE
TYPE3 共通の問題を予想ごとにみんなで追究するTYPE
TYPE4 複数の問題をみんなで順番に追究するTYPE
TYPE5 全体の問題を設定し,個別の問題ごとに追究し,全体の問題に戻るTYPE
TYPE6 共通の問題をみんなで追究した後に個別の問題を追究するTYPE
TYPE7 個別の問題を個別に追究するTYPE
あとがき

まえがき

 今,私の脳裏には,ある日の授業風景が浮かんでいます。小学校第3学年「昆虫の育ち方」についての授業をしていたときのことです。どのような流れでそうなったのか,記憶が定かではないのですが,たぶん,ある子供が休み時間に,花壇でよく見かける,カブトムシの幼虫にそっくりな,コガネムシの幼虫を何匹か捕まえてきました。

 「カブトムシの幼虫だ!」

 「いや,カブトムシの幼虫は,こんなに小さくない!」

 「これから大きくなるんだよ」

 「どこにいたんだ。もっといるかもしれない」

 ちょうど理科では,昆虫の育ち方の学習を進めていましたから,このエピソードを授業に組み込みたいと考えた私は,次の理科の時間に,本物のカブトムシの幼虫を子供に出合わせました。

 「これがカブトムシの幼虫だよ。やっぱり大きさが全然違うよ」

 「いや,これから大きくなるんだよ」

 「あしは,どちらも6本だね」

 子供たちは,両者を比較し始め,その共通点や差異点を明らかにして,解決したい問題にせまっていきました。その問題とは,もちろん,ある子供が休み時間に捕まえてきた生き物は,「カブトムシの幼虫なのか」です。

 子供たちは,あしの数や体のつくり,大きさ,模様など,様々な視点から観察を行っていました。そこで,頃合いを見計らって,私は,このように言ったと思うのです。

 「観察して分かったことを発表してください」と。

 そしたら,広希くんが,こう言ったのです。このことは,はっきりと覚えています。

 「先生,そっちでやってて!ぼくはもっと観察するから!」


 小学校理科の学びは,「問題解決」です。これはこれまでも大切にされてきたことであり,これからも大切にしていくべきことです。しかしながら,問題解決の過程自体が硬直してはいないだろうかと思うのです。そういう私も,先の広希くんの発言に,どう対応したのかといえば,「みんなの結果を発表してもらうから,いったん観察をやめましょう」といった具合だったと思います。皆さんだったらどうしますか?

 本書のテーマである「個別最適な学び」「協働的な学び」という観点から,理科の「問題解決」を見つめ直したとき,その過程にバリエーションや柔軟性が生まれたり,A区分とB区分の学び方の違いに気付いたりと,様々な視点から,問題解決の活動を捉え直すことができると思うのです。

 本書が,少しでも,皆さんの日々の理科授業について考える際のヒントになるのであれば,こんなに嬉しいことはありません。


   /鳴川 哲也

著者紹介

鳴川 哲也(なるかわ てつや)著書を検索»

1969年福島県生まれ。福島県公立小学校教諭,福島大学附属小学校教諭,福島県教育センター指導主事,福島県公立小学校教頭,福島県教育庁義務教育課指導主事,国立教育政策研究所教育課程調査官・学力調査官(併)文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官(小学校理科)を経て,現職。

塚田 昭一(つかだ しょういち)著書を検索»

1965年新潟県生まれ。埼玉県公立小学校教諭,埼玉県新座市教育委員会指導主事,副課長,新座市立東北小学校教頭,国立教育政策研究所学力調査官(小学校理科),埼玉県教育局市町村支援部義務教育指導課主任指導主事,新座市立野寺小学校長,埼玉県教育局南部教育事務所主席指導主事を経て,現職。小学校学習指導要領解説理科編作成協力者(平成20,29年)

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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