- はじめに
- 第1章 新しい学習指導要領が目指す資質・能力の育成と学習評価
- /小倉 勝登
- 1 社会科における資質・能力の育成
- 2 問題解決的な学習過程の充実
- 3 指導と評価の一体化
- 第2章 「見方・考え方」を働かせる授業づくりのポイント
- /廣嶋 憲一郎
- 1 「見方・考え方」とは何か
- 2 「見方・考え方」を働かせる授業づくりのポイント
- 3 子どもは「見方・考え方」をどのように働かせるか
- 第3章 四谷小学校が目指す主体的に学習に取り組む態度を育成する社会科授業
- /石井 正広
- 1 主体的に学習に取り組む態度の捉え方
- 2 主体的に学習に取り組む態度の育成に向けて
- 第4章 社会的事象の見方・考え方を働かせて主体的に学習に取り組むための学習指導案
- ─四谷スタイルの授業づくり
- /石井 正広
- 1 単元で身に付けさせたい資質・能力や単元の位置付けを明確にする
- 2 フレームワークを活用して指導内容を分析し授業構造をデザインする
- 3 子どもの学びが深まる問題解決的な学習過程と「問い」の構成
- 4 学習問題を協働的に追究して学びを深める1時間の授業構成
- 第5章 「見方・考え方」を働かせて,「主体的に学習に取り組む態度」を育てる授業モデル&学習評価
- /新宿区立四谷小学校
- 3年
- 身近な地域や市町村の様子/「新宿区の様子」(13時間) 地図から情報を読み取り文にまとめる活動を通して知識・技能@を評価する事例
- 地域に見られる生産や販売の仕事/「わたしたちのくらしと販売の仕事」(12時間) 3つのスーパーマーケットの調査結果を比較して思考・判断・表現Aを評価する事例
- 市の様子の移り変わり/「新宿区の移り変わり」(16時間) 調べたことを年表に整理して考察することを通して思考・判断・表現Aを評価する事例
- 4年
- 都道府県の様子/「東京都の様子」(9時間) プログラミングを通して思考・判断・表現Aや主体的に学習に取り組む態度Aを評価する事例
- 人々の健康や生活環境を支える事業/「ごみはどこへ」(12時間) ごみがなぜ小さくなるのかの話し合いを通して思考・判断・表現@を評価する事例
- 自然災害から人々を守る活動/「水害からくらしを守る」(9時間) インタビューから水害対策について考えることを通して知識・技能@を評価する事例
- 県内の伝統や文化/「受け継がれる祭り」(12時間) 今と昔のお祭りの比較を通して思考・判断・表現@や主体的に学習に取り組む態度@を評価する事例
- 県内の特色ある地域の様子/「豊かな自然環境を守り生かす小笠原村」(10時間) 小笠原観光局の人に聞き取りしたことの記述から知識・技能@を評価する事例
- 県内の特色ある地域の様子/「世界とつながる大田区」(10時間) 姉妹都市との交流について調べる活動を通して知識・技能@を評価する事例
- 5年
- 我が国の農業や水産業における食料生産/「米づくりの盛んな地域」(11時間) 給食米の生産者とのリモート対話から主体的に学習に取り組む態度@を評価する事例
- 我が国の農業や水産業における食料生産/「これからの食料生産」(6時間) 食料サミットを通して思考・判断・表現Aと主体的に学習に取り組む態度Aを評価する事例
- 我が国の産業と情報との関わり/「情報を活用して発展する販売業」(9時間) 学習問題にまとめ,学習計画を立てる活動を通して主体的に学習に取り組む態度@を評価する事例
- 我が国の国土の自然環境と国民生活との関連/「森林とともに生きる」(8時間) 林業家の話から森林保全の課題を捉えて思考・判断・表現@を評価する事例
- 6年
- 我が国の政治の働き/「わたしたちのくらしと日本国憲法」(12時間) 国民主権の実現状況の討論を通して思考・判断・表現Aを評価する事例
- 我が国の歴史上の主な事象/「国づくりへの歩み」(8時間) 学芸員の話を聞く活動を通して,主体的に学習に取り組む態度Aを評価する事例
- 我が国の歴史/「貴族の暮らしと文化」(4時間) 分類した付箋から貴族の文化を説明する活動を通して思考・判断・表現@を評価する事例
- 我が国の歴史上の主な事象/「長く続いた戦争と新しい日本の国づくり」(13時間) オリンピックを通して戦前と戦後の変化についての思考・判断・表現Aを評価する事例
- 世界の人々とともに生きる/「世界規模の課題の解決と国際協力」(9時間) 外国で活躍する日本人からの学びを通して知識・技能@や思考・判断・表現@を評価する事例
はじめに
本書は,国立教育政策研究所教育課程研究指定校(小学校社会)として,令和元年度・2年度の2年間を中心とした新宿区立四谷小学校の実践研究の歩みを教職員で力を合わせまとめたものです。つたない実践研究ですが,これから社会科の授業づくりに取り組むために,本書を手に取っていただいている方に何らかのヒントをお届けできるかもしれません。
今回改訂された小学校学習指導要領社会科に目を向けると,目標が大きく改善され,第3学年と第4学年の内容が分かれ,内容の記述の仕方も異なる大きな改訂になっています。小学校学習指導要領解説(社会編)の内容をよく読み取っていくと,何について,どのようなことに着目して,どのように考え,最終的にどのような理解ができればよいかという,「学びのプロセス」と「授業づくりのポイント」が明確に示されていることがわかります。教科書も新しくなり,若手の教員からは「社会科の教材研究は難しい」「社会科の授業をどのように進めたらよいかわからない」という声が聞こえてきます。しかしながら,今回の学習指導要領で示された「学びのプロセス」と「授業づくりのポイント(社会的事象の見方・考え方)」を押さえて授業を構想することで,社会科の苦手な教員でも,授業の質が飛躍的に向上する可能性があります。それは,本校においても,社会的事象の見方・考え方を基に教材分析し,「問い」を吟味し,「学び方カード」の活用を通して本書におさめた実践ができたからこそ思えることです。
また,令和2年6月に『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』が発行され,コロナ禍の中,3観点での学習評価の取組がスタートしています。特に,これまでになかった「主体的に学習に取り組む態度」の育成に向けては,授業そのものが変わっていく必要をだれもが感じているところだと思います。本書においても,研究途上ではありますが,「主体的に学習に取り組む態度」の育成の具体的な取組や評価場面を紹介しています。今後,新学習指導要領の趣旨の実現を目指した実践に取り組まれる学校や先生方に本書を参考にしていただき,本書を超える実践が増え,社会科の実践研究がさらに広まっていくことを願っています。
本書には,第74回全国社会科教育研究協議会において社会科教育連盟の皆様にご協力いただき作成した学習指導案をはじめ,様々な方にご協力いただき実現した実践の記録が掲載されています。本書の出版に当たり丁寧にご助言いただいた明治図書出版教育書編集部矢口郁雄氏,本校の研究にご指導いただいた文部科学省教科調査官小倉勝登先生,前聖徳大学大学院教授廣嶋憲一郎先生,国士舘大学教授澤井陽介先生,白百合大学教授中田正弘先生,その他ご指導いただきましたすべての先生方,新宿区教育委員会の皆様に,この場をお借りして深く感謝申し上げます。
2021年8月 新宿区立四谷小学校長 /石井 正広
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- 明治図書
- 指導と評価の一体の具体が実践例を通してわかる。また、一番難しく感じ主体的に学習に取り組む態度についての評価の実態があってよい。2023/12/1しょう