- はじめに
- 第1章 多項式
- 小単元1 単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式でわる除法
- 小単元2 一次式の乗法,式の展開と因数分解
- 小単元3 展開と因数分解の活用
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 学習指導案のすすめ
- 第2章 平方根
- 小単元1 根号を用いて表される数の必要性と意味
- 小単元2 根号を用いて表される数の計算
- 小単元3 平方根の活用
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 机間指導で何をするか
- LET'S TRY! 数学の学習にレポートづくりを
- 第3章 二次方程式
- 小単元1 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味
- 小単元2 二次方程式の解き方
- 小単元3 二次方程式の活用
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 教材を開発しよう
- 第4章 関数y=ax^2
- 小単元1 関数y=ax^2の関係
- 小単元2 関数y=ax^2の特徴
- 小単元3 いろいろな事象と関数
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 懐かしい「統合と発展」
- 第5章 図形と相似
- 小単元1 相似の意味と相似な図形の性質
- 小単元2 三角形の相似条件と相似な図形の性質
- 小単元3 平行線と線分の比
- 小単元4 相似な図形の計量
- 小単元5 相似の活用
- 小単元6 個に応じた学習の時間
- COLUMN 授業の記録を残そう
- 第6章 円
- 小単元1 円周角の定理を見いだすこと
- 小単元2 円周角の定理の意味と証明
- 小単元3 円周角の定理の活用
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 授業を観てもらおう
- 第7章 三平方の定理
- 小単元1 三平方の定理を見いだすこと
- 小単元2 三平方の定理の意味と証明
- 小単元3 三平方の定理の活用
- 小単元4 個に応じた学習の時間
- COLUMN 授業を観に行こう
- LET'S TRY! 実生活と数学を結び付けよう 牛乳パックを数学でみると…
- 第8章 標本調査
- 小単元1 標本調査の必要性と意味
- 小単元2 標本調査の活用
- 小単元3 個に応じた学習の時間
- COLUMN 数学を教えることについて語ろう
はじめに
本書を手に取ってくださり,ありがとうございます。
この本は,2006年に出版された『数学科の授業づくり 中学3年編』の改訂新版です。私が最初に書いた思い出深い1冊ですが,すでに初版から16年が経過。学習指導要領のサイクルでいうと,2世代前対応版ということになり,現在の教育課程からは相当のズレがあります。ところが,出版社はそんな本を売り続けてくれている…ということは今でも購入してくれている読者がいるわけで,大変申し訳ない思いが募っていました。そんなとき,「改訂しませんか」の相談を受け,本書の誕生に至ったというわけです。
2006年版(以下,「旧版」とします)の特徴をひと言でいうと,「新しいことが何も書かれていない本」でした。中学校で数学を教える教師が,数学や授業について日々考えている極々当たり前のことをまとめた1冊だったのです。当時,私は学校現場での仕事を離れようとしていました。人生の1つの区切りを迎え,「今やらなければならないことは何なのか」と考えている時期でした。ちょうどそうした時期に,明治図書から「中学校の数学の授業について,各学年1冊,全3冊の書籍にまとめてほしい」,「内容や構成はすべておまかせします」との依頼を受けました。それならば,これまでに自分がやってきたことを,当時増え始めていた若手の教師やこれから教師を目指す若者たちに伝え引き継いでもらいたい…,これが旧版誕生の経緯です。
自著を改訂することは,過去の自分と対話することから始まりました。旧版を久し振りに読み返してみた率直な感想は,「この先生,結構がんばってるじゃないか」でした。自画自賛と言われそうですが,今こんな教師に出会えたら,全力で応援してあげたいと思えました。当時の私は「自分の授業を何とかよくしたい」,「もっと数学を楽しめる子供を増やしたい」という思いに駆られて七転八倒する毎日を送っていましたが,「そのやり方に間違いはないよ」とエールを送りたくなりました。
一方,旧版を読み直してみて大変驚いたこともあります。それは,20年近く前の本なのに,その内容にほとんど古さを感じなかったことです。特に,数学科の授業づくりに関する教師としての問題意識は,今でも問うに値するものだと感じました。このことは,過去の私に先見の明があったことを意味するものではありません。むしろ,年月を重ねても課題をクリアできなかったことの結果に思え,複雑な心境になりました。あなたが次の世代を担う教師を目指しているなら,ぜひこのことを理解して,私にはできなかった次の一歩を踏み出す役割を引き継いでほしいと思っています。
改訂の基本的な考え方は次の通りです。まず,新著ではなく,改訂であることを大切にして,変更の必要なしと判断した内容については極力そのままにして,表現のみ見直しました。また,変更が必要な部分についても必要最小限の書き換えに留めたつもりです。次に,現状に鑑みて必要ないと判断した部分を削除しました。どこが削除されたのか気になる方は,旧版と読み比べてみてください。さらに,新たに書き加える必要のある部分を加筆しました。加筆したい内容は多岐に渡ったのですが,全体のページ数を旧版程度にすることで,書籍としての価格をできるだけ抑えることを優先しました。
旧版については,これまでに多くの読者から感想を聞かせてもらうことができました。中学生に数学を教え導くという仕事の楽しさや難しさを共有させてもらえたことは,私にとっても新たな勉強の機会になりました。また,自分の経験を本にしてよかったという思いを強くすることもできました。それを引き継ぐこの改訂新版は,読者にどのように受けとめられ,役立ててもらえるでしょうか。あなたからのメッセージを楽しみにしています。
最後になりましたが,旧版を長きに渡って刊行し続けるとともに,今回の改訂の機会を設定してくれた明治図書出版株式会社の矢口郁雄氏に心から感謝申し上げます。
2022年12月 /永田 潤一郎
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- 明治図書
- 単元ごとに大切なことや見落としそうなことが書いてあり、とても為になった。2023/9/1720代・中学校教員
- 今の時代に即した内容2023/5/1940代・教委
- 各単元の小単元がきめ細やかに構成されているため、単元計画がより分かりやすく設定しやすくなった。2023/3/430代・中学校教員