- はじめに
- 1章 哲学対話の道徳授業
- 哲学対話とは―哲学対話の魅力,一般的な哲学対話の進め方
- 1 哲学対話の広がり
- 2 哲学対話が生まれた背景
- 3 日本における哲学対話
- 4 哲学対話の流れと特徴
- 5 哲学対話の進め方
- 6 哲学対話を行うための準備
- 7 道徳科における哲学対話の可能性
- 哲学対話の道徳授業を行うには
- 1 22時間で行うのか? 残りの13時間で行うのか?
- 2 22時間で内容項目を満たすための工夫
- 3 残り13時間の考え方
- 4 道徳科の目標を踏まえる
- 5 対話が「空中戦」で終わらないための問いの工夫
- 2章 哲学対話の道徳授業 7つのポイント
- 哲学対話を取り入れた道徳授業の学習過程
- 1 哲学対話の道徳授業の3ステップ
- 2 哲学対話の道徳授業の学習過程
- セーフティな環境づくりのポイント
- 1 セーフティな環境をつくり出す哲学対話のルール
- 2 セーフティな環境をつくり出す4つの道具
- 問いをつくるポイント
- 1 問いづくり
- 2 よい問いとは
- 哲学対話への教師の関わり方のポイント
- 1 哲学対話における教師はファシリテーターであり,ジェネレーター
- 2 学級担任・授業者としてできること
- 子ども同士で対話を行うポイント
- 1 教師の介入を制限し,子どもに任せていく
- 2 「問いづくり」を子どもたちに任せていく
- 3 「問い返し」を子どもたちに任せていく
- 4 教師が対話に介入してはいけないわけではない
- 5 対話を自己評価する
- 6 対話のよかった点や課題,次回の対話へのアドバイスを伝える
- 対話の整理のポイント(板書,ICT)
- 1 対話の整理―板書編―
- 2 対話の整理―ICT編―
- 振り返り(評価)のポイント
- 1 自己評価
- 2 対話と対話前後の変容から見取る
- 3 授業の記述から
- 3章 学年別/哲学対話の道徳授業
- 教科書教材を用いた低学年の実践
- くりのみ
- 「かむかむメニュー」
- 教科書教材を用いた中学年の実践
- 新聞係
- 大きな絵はがき
- 教科書教材を用いた高学年の実践
- 友の命
- 大みそかの朝に
- 教科書教材を用いた中学校の実践
- ふと目の前に 森繁久彌
- 住みよい社会に
- 哲学対話教材を用いた実践
- 「天使と悪魔」
- ウソをつくのは悪いこと?
- 4章 哲学対話の道徳授業Q&A
- Q 哲学対話の魅力とは?
- Q 一般的な道徳授業との違いは?
- Q 道徳と哲学対話の道徳,子どもにとってどちらがよい?
- Q 年間指導計画を変えていいの?
- Q 哲学対話の道徳授業において,対話が「広がる」・「深まる」とは?
- Q 哲学対話の道徳授業において,教師が大事にしたい心構えは?
- Q 子どもの対話をファシリテートするのが不安です。コツはありますか?
- Q どんな教材を使う?(教科書以外の教材を使ってよいの?)
- Q どんな教材研究・授業準備をすればいいの?〜教材の読み方編〜
- Q どんな教材研究・授業準備をすればいいの?〜内容項目編〜
- Q 指導案をどうつくるの?
- Q 哲学対話の道徳授業の導入は,どうすればよいの?
- Q 問いを多数決で決めてもよいの?
- Q 子ども同士で問い合うようになるには?
- Q 小学校低学年でも,哲学対話の道徳授業はできるの?
- Q 小学校高学年や中学校で対話が進まない場合,どうしたらいいの?
- 終章 哲学対話の未来
- 今後の展望と課題
- 1 道徳科における哲学対話を拓く
- 2 方法としての哲学対話
- 3 哲学対話と先哲の思想
- 4 複雑さと対峙し,複雑さを受けとめること
- 総括
- 1 道徳科の目標を踏まえた哲学対話の道徳授業
- 2 子どもが「答えが一つではない道徳的な課題」と向き合うために
- 3 自ら問い,自ら考える子どもを育てるために必要な教師の支援
はじめに
/杉本 遼
「テーマは何かな? みんなが発言して,どんな大きなWAになるかな?WAKUWAKU! わくわく!」
Q「哲学対話の道徳授業って,何が学べるの?」
⇒普段,自分では考えないことをたくさん考えられて,とても学べます!
Q「哲学対話の道徳授業,どうすれば楽しくなるの?」
⇒たくさん考えて,話したり,聞いたりすれば,とても楽しく集中できます。
これは,哲学対話の道徳授業を行った私のクラスの子が書いてくれたものです。哲学対話の道徳授業は,子どもたちにとって,とても魅力的です!
この本が,道徳授業を楽しいと感じる一助になると嬉しいです! 哲学対話の道徳授業,全国の教室に広がれ!!
はじめに
/町田 晃大
私が哲学対話と出合ったのは2011年でした。そこから哲学対話に魅了され,大学院では哲学対話(P4Cやp4c)の研究をしていました。その当時はまだまだ研究者や実践者が少なく,「こんなのは道徳ではない」「活動あって学びなし」と,哲学対話は否定され続けました。
十数年経った今では,哲学対話は広まり,メディアや教科書にも哲学対話が取り上げられています。哲学対話を実践する学校も増えています。とくに,道徳科で哲学対話を行っている実践が散見されるようになりました。
その一方で,「たんなるおしゃべりになっている」「何を学んでいるのか」「価値理解はどうなっているんだ」という批判があるのが事実です。また,「実践したくてもどうやってよいかわからない」「教科書を使って哲学対話は無理でしょう」「公立学校ではできない」という声も聞こえます。
哲学対話に関する書籍は増えていますが,著者のほとんどは哲学には精通していても教育学が専門ではない点,教科書を使用していない点,内容項目との関連が弱い点,そして実践者が外部の立場であり,継続して児童生徒に関わっていない点が実践を行う上での課題です。
本書は,教育学(とくに道徳教育)に精通している研究者と道徳教育に精通している公立学校の教諭が書いた日本で最初の本です。また,@価値理解を重視している,A教科書を使っている,B継続的に哲学対話の実践を行っているという点でも,日本で唯一の「道徳科」で「哲学対話」を行っている実践書です。
本書は道徳授業に苦手意識のある先生,道徳授業と哲学対話/p4cに関心のある先生に向けて,「気軽に」「効果的に」実践できるように平易な言葉で書くことを心がけました。「考えることって,こんなに楽しいんだ!」という授業を一緒に創りましょう。
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