- はじめに
- 第1章 教務主任の役割
- 01 教務主任の位置づけを知る
- 02 学校全体の授業の質を上げる
- 03 職員室の学級委員長として動く
- 04 職員室の顔としての自覚をもつ
- 05 管理職と現場をつなぐ
- 06 教員同士をつなぐ
- 07 教頭と連携を図る
- 08 生徒指導主事と連携を図る
- 09 学年主任と連携を図る
- 10 スムーズに引き継ぐ
- Column 誰でも最初は,「はじめて」教務主任になる
- 第2章 年間の予定と行事
- 11 年間予定表―Excelで効率的に作成する
- 12 月間予定表―見やすさ重視で作成する
- 13 校内研修―緻密な計画で効果を上げる
- 14 生徒会活動―裏方として支える
- 15 離任式・着任式―滞りなく遂行する
- 16 入学式―よいスタートを切らせる
- 17 卒業式―次のステップに進ませる
- 18 体育大会・文化発表会―いつ・誰が・何を明確にする
- Column 1年間をイメージし,見通しをもつ
- 第3章 会議と準備
- 19 職員会議―意見を聞く時間を確保する
- 20 企画調整会議―学校運営や教育活動を円滑にする
- 21 コマ調整会議―負担を減らし不満の芽を摘む
- 22 三役会―現場の声を管理職に届ける
- 23 2ヶ月先まで予定を見通すことで全員に余裕が生まれる
- 24 会議をできるだけ時間割に組み込む
- 25 時間を意識させる
- 26 会議前から会議を始める
- 27 ペーパーレスで費用も時間も減らす
- Column 時間管理にもっと敏感になる
- 第4章 授業計画と評価
- 28 カリキュラムマネジメントの基礎を理解する
- 29 引き算の発想で学校行事を精選する
- 30 まずは年間授業時数を算出する
- 31 週授業時数は柔軟に割り振る
- 32 職務を考慮して授業時数を配分する
- 33 非常勤講師との連携は密にとる
- 34 試験監督の割り振りを工夫する
- 35 学校全体で評価方法の共通理解を図る
- 36 学校評価アンケートを教育課程に生かす
- Column 教育課程のリーダーとして自ら研鑽を積む
- 第5章 書類の作成と管理
- 37 緊急度と重要性の視点で優先順位をつける
- 38 カテゴライズとナンバリングを施す
- 39 Excelの関数を味方につける
- 40 徹底した方法の下で管理と保管にあたる
- 41 指導要録―公文書として丁重に扱う
- 42 出席簿@―校内で書き方を統一する
- 43 出席簿A―校務支援システムを使いこなす
- 44 通知表@―担当者とスケジュールを明確にする
- 45 通知表A―入力方法と記載内容を明確にする
- 46 転入手続き―いつでも迎え入れられる準備をする
- 47 転出手続き―漏れなくスムーズに進める
- 48 卒業生台帳―永年管理のため慎重に保管する
- 49 学校受付文書―確実に文書受付し,信頼を保つ
- 50 学年会計―正確性と透明性を担保する
- 51 教科書給与と補助教材―法令を理解し管理を徹底する
- Column 仕事はサクサクやる
- 第6章 学校外との連携
- 52 PTA―4月を乗り切り流れをつくる
- 53 小学校との連携―義務教育9年間の見通しをもつ
- 54 学校だより・ホームページ―地域に学校を知ってもらう
- 55 コミュニティスクール―地域と力を合わせチームになる
はじめに
読者のみなさんは,中学校の教務主任に対して,どのようなイメージをもっていますか。
筆者は,今までの勤務で出会った教務主任の先生方の姿が頭の中にありましたから,そのイメージは以下のようなものでした。
・校長・教頭に次ぐNo.3
・管理職になる先生
・とにかく仕事ができる先生
・計画能力や立案能力がある先生
そんな教務主任を筆者が拝命したのは,33歳,教諭として採用され9年目の時です。3校目の学校で,それまでの職務経験は,担任を7年間,教育相談部長を1年でした。
筆者自身のタイプは,上記のような立派な先生のイメージに合致するわけなく,どちらかというと感覚で動くことが多く,その結果として周りに迷惑をかけるようなタイプです。
ただ,拝命され,受諾したからには,4月1日よりその立場になり,懸命に行うしかありませんでした。
当たり前ですが,それまで教務主任とは,職員としてともに仕事を行っていましたので一定程度は教務主任について知っていました。
ただ,いざ自分がその立場となり,職務遂行する中で,見えている仕事より,見えていない仕事の多さ,それも多種多様な仕事があり,戸惑いました。しかもそれらは,いろいろな人間関係の中で成り立っており,同時進行で動かしていかなくてはならないということがわかり,想像以上の大変さでした。
また筆者の場合,前年度の教務主任の方が3月末に異動されましたし,校内にその学校での教務主任の経験者もおられませんでした。ですので,職務の引き継ぎ期間も実際には1週間ほどしかなく,教務主任1年目は苦戦の連続でした。
異動するまでその学校では,3年間教務主任をさせていただきました。今思うと1年目は,教務主任の仕事を知ることや覚えることに必死でした。2年目は,1年目で覚えた仕事を整理することに尽力しました。3年目は,仕事の質を上げることに懸命だったように思います。そんな3年間で考えたことや実践したことを,教職大学院の先輩である松原健明先生とともに本書で記しました。筆者は京都府で勤務し,松原先生は神奈川県で勤務しています。
教務主任の仕事は学校によっても,地域によっても違うので,偏りが出ないように何度も話し合い,調整しました。
もしかしたら,教務主任として当たり前のことを書いているのかもしれません。いや,多分そうです。だからこそ,今教務主任をしている方には,その当たり前を大切なことだと意識し,教務主任の仕事を遂行していただけたらと思います。
また,これから教務主任を目指すという方は,こんな仕事があるんだという部分を少しでも知っていただき,実際に拝命された時に少しでも余裕をもって取り組んでいただけると幸いです。
今回,執筆の機会を与えていただいた明治図書の江ア夏生さまには,編集含めてたいへん世話になりました。心から感謝申し上げます。
2024年12月 /大村 優
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- 明治図書