- はじめに
- 第1章 学びの質は指導スキルで大きく変わる
- 1 美術の授業に必要な指導スキルとは
- 2 美術科の指導スキルのポイント
- 第2章 美術授業の指導スキル60
- 指導計画
- 1 卒業時の姿を見通した指導計画立案スキル
- 2 中学生だからこその価値ある題材を設定するスキル
- 表現
- 3 題材を自分ごととして捉え,共に学ぶ喜びを味わわせるスキル
- 4 観察を基にした表現に意欲的に取り組むようにするスキル
- 5 想像を基にした表現に意欲的に取り組むようにするスキル
- 6 生徒が抽象的な表現に意欲的に取り組むよう促すスキル
- 7 生徒自ら表現方法を決定し,主体的に表現することを促すスキル
- 8 生徒が生活や社会と豊かに関わるデザインや工芸の授業スキル
- 9 生徒のデザイン思考を促すスキル
- 鑑賞
- 10 対話による鑑賞活動に意欲的に取り組むよう促すスキル
- 11 生徒が人や時代や地域の背景から作品を捉えるよう促すスキル
- 12 生徒がデザインや工芸の鑑賞に意欲的に取り組むようにするスキル
- 13 表現と鑑賞を結び付けながら学びを深めるようにするスキル
- 導入
- 14 生徒が強い意欲をもつようになる導入のスキル
- 15 生徒が学ぶ意義や価値を感じ取るようになる導入のスキル
- 発想・構想
- 16 試す活動を通して発想できるように導くスキル
- 17 生徒がスケッチブックに描きながら発想できるようになるスキル
- 18 ワークシートや思考ツールを使って発想を促すスキル
- 19 生徒が話合い活動で発想を広げるよう促すスキル
- 20 造形的な視点をもって構想できるようにするスキル
- 21 多様なスケッチと充実した環境から構想を練らせるスキル
- 22 試作を通して構想ができるように導くスキル
- 23 生徒の構想を確かなものにするスキル
- 24 生徒自らが制作の手順を見通して計画できるようにするスキル
- 展開
- 25 スムーズな1時間の流れをつくるスキル
- 26 試しながらよりよい表現を目指す習慣をつくるスキル
- 27 生徒が互いに学び合えるように促すスキル
- 28 生徒の表したいことに共感したり,価値付けたりするスキル
- 29 生徒の表したいことを支えるスキル
- 30 表現を見直す時間を通してより主体的に取り組むよう促すスキル
- 授業を支える環境
- 31 生徒が安心して学べる教室づくりのスキル
- 32 ノートやスケッチブックなどを効果的に使えるようにするスキル
- 33 効果的に材料・用具を使えるようにするスキル
- 34 作品等をグループで協力して保管させるスキル
- 35 美術が生活を豊かにしていることを実感できる授業開きスキル
- 評価
- 36 振り返りを通して意味や価値を生みださせるスキル
- 37 生徒が学びを実感するようになる作品展示・交流スキル
- 38 活動している映像などを通して自分の学びを考えさせるスキル
- 39 信頼される評価・評定のスキル
- 共通事項
- 40 色の性質について実感を伴った理解への指導スキル
- 41 構成美・動静・遠近等について実感を伴った理解への指導スキル
- 42 形や材料や光の面白さについて実感を伴って理解させるスキル
- 43 対象をイメージや作風などで捉えられるように促すスキル
- 材料や用具
- 44 生徒の造形表現の幅を広げるスキル
- 45 描画材料の特性を生かして表現できるようにするスキル
- 46 様々な材料の特性を生かして表現できるようにするスキル
- 47 生徒が映像メディアを活用できるようにするスキル
- ICT活用
- 48 1人1台端末を学びを深めるツールとして活用するスキル
- 49 1人1台端末を表現や鑑賞のツールとして活用するスキル
- 50 1人1台端末で学びを積み重ね,学びの足跡を残すようにするスキル
- 校内環境
- 51 生徒の発想・表現を広げる環境づくりのスキル
- 52 生徒のもっとこうしたいに対応できる環境づくりのスキル
- 53 日常的に美術に触れる環境をつくるスキル
- 54 鑑賞したくなる生徒作品の展示スキル
- 美術教育の広がり
- 55 他教科と連携し,生徒の学びを豊かにするスキル
- 56 STEAMの視点から美術の可能性を広げるスキル
- 57 地域の資源を生かして美術のよさや面白さを実感できるスキル
- 58 教師の連携から授業力を高めるスキル
- 59 美術教育や中学生の学びを地域に伝えるスキル
- 60 へき地・小規模校の特徴を生かすスキル
はじめに
中学校教員になった頃の私は,生徒に質の高い作品をつくらせる教師が理想でした。静かな教室で出来上がってくる作品は校内や研究会でも評価されていましたし,鑑賞では,名作を取り上げ,その価値を理解させようとしました。ですから授業では説明や条件付け,指示の仕方が大事なスキルになっていました。しかし「人間教育としての美術教育」「自己教育力」という考え方に出会い,その後,地域の美術教育研究団体の研究テーマ「どのような心や力を育むべきか」に取り組むことになりました。こうして私の授業は変わっていき,「教師が変われば生徒も変わる」を何度も実感することになります。特に20年目を過ぎたあたりの卒業制作での生徒の姿は,一つの理想が実現できたと思いました。生徒が他者の様々な表現を認め合い,高め合い,よりよい表現を目指し探究しているのです。授業が,面白くて,面白くてたまりませんでした。
このような私が編者となって,現在の,そしてこれからの教育で大切にされることを前提に,全国各地で魅力ある実践をされている11人の先生方と一緒につくったのが本書です。執筆者の先生に共通するのは,これから未来をつくっていく中学生のために,何が大切かを本気で考え,授業をつくっていることです。さらに彼らは学び続け,日々授業改善をしています。それはやり甲斐があって楽しく面白いからです。
本書では,実際の題材の指導事例ではなく,読まれる皆さんが活用しやすいよう授業の流れを踏まえた構成にしています。
この本がきっかけに,皆さんが授業改善をし,生徒の学びがより豊かになり,よりよい未来につながっていくことを願っています。
2022年3月 /山崎 正明
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- 明治図書
- 著者の美術への指導に対する考え方に多くの共感できる部分がありました。たくさんの実践事例が載っていて、免許外の教員でもわかりやすく実践しやすい内容の本であると思います。2023/2/1950代・中学校教諭
- 写真事例が多く、授業のイメージがしやすい。2022/5/740代 中学校