- 目次
- はじめに
- 第1章 よい授業づくりの秘訣と指導力の磨き方
- 1 Society5.0時代のよりよい保健体育授業
- 2 公平・公正な保健体育授業のつくり方
- 3 保健体育授業の指導力の磨き方
- 第2章 保健体育授業の指導スキル80
- 準備・片付け
- 1 短時間で効果的に実施できる教材研究スキル
- 2 素早く行うライン引き・マーク付けスキル
- 3 授業を楽にするグッズ整備スキル
- 4 用具庫整備スキル
- 5 学習に生かす準備運動スキル
- 集合・説明
- 6 効果的な健康観察スキル
- 7 学びを促す集合隊形づくりスキル
- 8 説明を短くわかりやすく話すスキル
- 9 大きな声をあげずに集合させるスキル
- 10 集合回数を減らすスキル
- ICTの活用
- 11 ICTを活用した課題提示スキル
- 12 タブレットで映像を効果的に撮影するスキル
- 13 ICTを使って見えないものを可視化するスキル
- 14 ICTを使ったポートフォリオ作成スキル
- 15 ICTを使った効果的な授業マネジメントスキル
- 仲間づくり
- 16 一人ひとりの違いに応じた課題や挑戦を認め合わせる指導スキル
- 17 性別や能力の違いを超えて運動を楽しませるスキル
- 18 障害のある生徒への対応スキル
- 19 仲間づくりにつながる協働学習実践スキル
- 20 仲間と仲良くなれる運動実践スキル
- 安全
- 21 安全な校庭・体育館環境の整備スキル
- 22 安全に運動を行わせるための配慮スキル
- 23 けがや事故が起きた時の対応スキル
- 評価
- 24 指導と評価を一体化させるスキル
- 25 学校と家庭をシームレスにつなぐ評価スキル
- 26 効果的に自己評価を行わせるスキル
- 27 学習効果を倍増させる通知表活用スキル
- 28 指導要録に生かす評価スキル
- インクルーシブ教育
- 29 インクルーシブな体育を実現する態度指導スキル
- 30 インクルーシブな体育を実現する技能指導スキル
- 体つくり運動
- 31 仲間と共に盛り上がる体ほぐしの指導スキル
- 32 「体ほぐしの運動」と「体の動きを高める運動」を円滑につなぐスキル
- 33 体力の高まりを感じることができるスキル
- 34 計画づくりに生かす学習成果の記録スキル
- 35 小学校の学びを中学校の学びに上手に接続するスキル
- 器械運動
- 36 器具を簡単に設置するスキル
- 37 安全に活動させるスキル
- 38 達成や克服を実感させるスキル
- 39 なかなか技ができない生徒への効果的な指導スキル
- 40 教え合い学習を高めるスキル
- 陸上競技
- 41 持久走と長距離走の違いを明確にして指導するスキル
- 42 勝敗を未確定にする短距離走・リレーの指導スキル
- 43 安全に学習成果を高めるハードル走の指導スキル
- 44 走り幅跳びの場づくりの工夫スキル
- 45 走り高跳びの場づくりの工夫スキル
- 水泳運動
- 46 水が怖い生徒への指導スキル
- 47 見学を希望する生徒への指導スキル
- 48 クロール・背泳ぎの指導スキル
- 49 平泳ぎ・バタフライの指導スキル
- 50 主体的な水泳の学びを導く学習スキル
- 球技
- 51 勝敗にこだわり過ぎる生徒への対応スキル
- 52 すべての生徒をゲームに参加させるためのスキル
- 53 作戦タイムを充実させるためのスキル
- 54 できる&わかるチームづくりスキル
- 55 ボール操作技能をゲームで高めるスキル
- 武道
- 56 安全に試合に取り組ませるスキル
- 57 礼法指導スキル
- 58 男女共習で武道を学習させるスキル
- 59 柔道着を着ないで行う柔道指導スキル
- ダンス
- 60 恥ずかしがらずにダンスをさせるスキル
- 61 ダンスで使える適切な音楽を発見するスキル
- 62 生徒の実態に応じて創作ダンスのテーマを設定するスキル
- 63 フォークダンスを通して文化的内容を指導するスキル
- 64 現代的リズムのダンスの導入スキル
- 体育理論
- 65 実技と体育理論を関連させるスキル
- 66 体育理論の効果的な指導計画作成スキル
- 保健
- 67 体育分野と保健分野を関連させるスキル
- 68 体験的に保健学習を展開するスキル
- 69 NIEを活用した保健授業スキル
- 70 保健で学習したことを実生活に結び付けさせるスキル
- 球技大会
- 71 体育学習と関連づけた球技大会運営スキル
- 72 すべての生徒が貢献できる球技大会実施スキル
- 73 みんなが主役になれる表彰スキル
- 体育祭
- 74 体育学習と関連づけた体育祭運営スキル
- 75 生徒の主体性が高まる体育祭実施スキル
- 76 効率的な体育祭準備スキル
- 持久走大会
- 77 体育学習と関連づけた持久走大会運営スキル
- 78 持久走大会に参加したがらない生徒への対応スキル
- 体力テスト
- 79 新体力テストを効率的に運営するスキル
- 80 新体力テストの結果を体育に生かすスキル
はじめに
2017年(平成29年)に改訂された中学校の学習指導要領が,2021年(令和3年)4月から全面実施になりました。この学習指導要領では,共生の視点を踏まえて内容の改善が図られ,「する」だけでなく,「みる」「支える」「知る」などの多様なスポーツとの関わりが大切にされています。また,より体育分野と保健分野の関連を図った指導の充実が求められています。このような中で,学校での保健体育指導の実際は,大きく姿を変化させているといっても過言ではありません。そこで,中学校保健体育を指導する先生方に道標を示すために企画されたのが本書です。
『中学校保健体育 指導スキル大全』をお手に取って下さった皆様は,日頃の保健体育指導で困っていることがあったり,よりよい保健体育実践に向けて指導改善を目指したりして,本書の内容に興味を抱いて下さったのではないかと推察します。本書は,そのような期待に応えることができる「大全」と呼ぶに相応しい書籍(保健体育の指導スキルと関係したものをもれなく編纂した書籍)になったと確信しております。
私が『指導スキル大全』を編集するにあたって本書で目指したことは3つありました。まず,1つ目は,中学校保健体育の現在地を明確にした上で,未来に向けて活用可能な指導スキルの掲載を目指し,新しい時代の保健体育の指導を実現したい読者の思いに応えることでした。2つ目に,経験に依存しがちな指導スキルをアップデートしていくために,あたりまえと思われがちな指導スキルの落とし穴を見直す論稿を数多く掲載し,読者と共に未来の保健体育指導を考える契機とすることでした。そして,3つ目は,先生方が使いたいスキルや使ってみたいスキルを掲載することで,先生方の必要感に応え,保健体育指導への動機づけとなることでした。
そのようなことを目指して,「保健体育授業を運営するための指導スキル」(スキル1~30),「保健体育授業実践での指導スキル」(スキル31~70),「保健体育と密接に関連する行事での指導スキル」(スキル71~80)の3つに整理して,合計80スキルを掲載することにしました。具体的なスキルを決めるにあたっては,現職の中学校の先生方の声を反映させるように心がけ,事前調査を実施しました。現場の生の声を反映して整理された「知って得する」指導スキルのアイデアを厳選して掲載することができたと思います。特に,GIGAスクール構想がスタートしたこともあり,保健体育におけるICTを利活用した指導スキルを掲載した点と,共生の観点からインクルーシブ教育の指導スキルを掲載した点は,現代的ニーズに応じた新たな項目設定となっていると思います。
執筆にあたっては,今次の学習指導要領でも小学校から高校までを見通した12年間の系統性を踏まえた指導内容が強調されていることから,小中高が密接につながり合って,中学校の保健体育の指導スキルのアイデアを具体的にするために,小学校と高等学校の先生方にも加わって頂きました。加えて,多くの学校教育現場との協働研究で高い研究成果をあげている大学の先生方にも原稿を依頼させて頂き,最新の研究成果を踏まえた実践的なアイデアを掲載するように心がけました。北海道から九州に渡って,高い指導スキルを有している実践者と実践的な研究に取り組む研究者がコラボレーションして作成された学び深い内容になっていると思います。寄稿された80スキルのアイデアは,どれも具体的な内容になっており,「明日からすぐに使えるアイデア」といってもよいと思います。本書の指導スキルを参考にして頂き,指導改善に生かして頂くことができれば,この上ない喜びです。
なお,本書刊行にあたっては,明治図書の木村悠様に大変お世話になりました。この場をお借りして感謝の意を伝えさせていただきます。
2022年4月 /鈴木 直樹
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- 明治図書
- 指導にむけていい参考になりました2025/3/1330代・中学校教諭
- 社会経験を十分積み、これから講師や教員試験を受けようと思います。41才にして教育界に入ろうと思い、保健体育の資料を探していました。2024/7/22まりりん