- はじめに
- 第1章 生徒指導で大切にしたいポイント
- 1 生徒指導の「心」と「技」
- 2 学習指導と生活指導は生徒指導の両輪である
- 3 中間層の生徒を大切にする
- 4 「当たり前」は,当たり前ではない
- 5 「壁」をつくる
- 6 厳しさとやさしさを両立させる
- 7 生徒指導主事の役割とは
- 8 生徒指導を機能させる「五つのワーク」
- 9 リスクマネジメント力をつける
- 10 信頼される生徒指導主事になるために
- 第2章 生徒指導の仕事スキル60
- 生徒指導の基本スキル〜すべての教師が身につけたい指導スキル〜
- 1 話を正確に「聴く」ためのスキル
- 2 生徒を安心させる距離感のスキル
- 3 生徒理解と関わり方のスキル
- 4 集団指導のスキル
- 5 褒める生徒指導のスキル
- 6 叱る生徒指導のスキル
- 7 怒りをコントロールするスキル
- 8 生徒から相談を持ちかけられるためのスキル
- 9 苦手な生徒と関わるスキル
- 10 保護者を味方につけるスキル
- 11 「分かる授業」づくりのためのスキル
- 12 生活習慣の育成スキル
- 13 行事を生かす生徒指導スキル
- 14 部活動を生かす生徒指導スキル
- 15 助けを求めるスキル
- 教育相談・個別指導のスキル〜すべての生徒を大切にする指導スキル〜
- 16 教育相談の体制づくりと進め方スキル
- 17 問題行動の早期発見スキル
- 18 問題行動があったときの事実確認・聞き取り・記録スキル
- 19 問題行動への指導における保護者への説明スキル
- 20 障害特性に応じた指導スキル
- 21 障害特性がある生徒の保護者や関係機関との協働スキル
- 22 学校に対して否定的な保護者との関わりスキル
- 23 外国人生徒及びその保護者との関わりスキル
- 問題場面での指導スキル〜こんなときどうする?〜
- 24 生徒の暴言・暴力を抑止するためのスキル
- 25 生徒の暴言・暴力への対応スキル
- 26 学校全体で取り組むいじめ予防スキル
- 27 いじめの早期発見スキル
- 28 いじめへの早期対応スキル
- 29 いじめが起こった際の保護者への説明スキル
- 30 児童虐待が疑われる生徒への関わり方スキル
- 31 家庭に課題のある生徒への関わり・対応スキル
- 32 不登校の予兆をつかむ学校体制づくりのスキル
- 33 不登校生徒や保護者との関係構築・働きかけスキル
- 34 生徒の自死予防のための指導スキル
- 35 SNSにおけるトラブル予防スキル
- 36 SNSにおけるトラブル対処スキル
- 37 個人情報の管理スキル
- 38 教師の不祥事を根絶するためのスキル
- 39 マスコミへの対応スキル
- 組織的な生徒指導を機能させる連携スキル〜チーム学校で生徒指導〜
- 40 学年主任・学年団との連携スキル
- 41 養護教諭との連携スキル
- 42 管理職との連携スキル
- 43 学校種間・学校間の連携スキル
- 44 警察との連携スキル
- 45 スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・スクールロイヤーとの連携スキル
- 46 医療機関・児童福祉機関との連携スキル
- 47 児童相談所・家庭裁判所等刑事司法関係の機関との連携スキル
- 48 PTAや地域の方を巻き込むスキル
- 教師の仕事術スキル〜効率良く的確に生徒指導を行うための知恵と工夫〜
- 49 時間的・空間的な余裕確保スキル
- 50 しんどいときの気分転換スキル
- 51 信頼される気配りスキル
- 52 生徒指導力をアップするスキル
- 53 一人で抱え込まない教師集団を築くスキル
- 生徒指導主事の実務スキル〜できること,求められること〜
- 54 前年度からの引継スキル
- 55 学校体制の構築スキル
- 56 年間指導計画の作成・振り返りスキル
- 57 学校環境・教室環境のチェックスキル
- 58 情報の収集・共有のシステム構築スキル
- 59 生徒指導に困難さを感じている教師への指導・助言スキル
- 60 外部機関との顔つなぎスキル
- おわりに
はじめに
生徒指導の領域は,日々の生活指導にはじまり,いじめ・暴力などの問題行動への対応など,生徒のマイナス面とも対峙しなければいけない分野でもあります。さらに最近は,児童虐待や生徒の自死,ネットトラブルなど専門機関との連携が必要な問題も増えてきています。昨今のコロナ禍の中で,生徒の情緒の安定を図ることが急務となり,積極的な生徒指導の重要性がより増してきています。
生徒指導に携わる先生方は,生徒への対応に加えて,保護者対応,関係機関との連絡調整,報告文書や調査報告の作成など多くの仕事を抱えていらっしゃいます。先生方は神経をすり減らしながら,日々の生徒指導を行っていらっしゃることだと推察します。
教科指導と生徒指導は学校教育の両輪といわれます。教科指導は教材研究と指導経験によって,高めていくことができます。一人で本を読みながら,指導技術を向上させることも可能です。一方で,生徒指導は現場経験に加えて,指導の勘というようなものを身につける必要があります。
そこで,本書は,教師経験の浅い若手教師から,生徒指導を専門とする生徒指導主事や管理職の先生方までが,生徒指導にあたったり,校内の生徒指導体制を築いたりする際に参考にできるように,私たちの経験をもとに「仕事スキル」という形でまとめました。
第1章では,「生徒指導で大切にしたいポイント」として,生徒指導を行う上で大切にしたい心得についてまとめました。経験の浅い先生方には,単に「スキル」の習得だけを目指すのではなく,「どうしてそのように対応するのか」「生徒指導で大切にするべきことは何か」といった「マインド」も大切にしてほしいと願っています。
第2章では,「生徒指導の仕事スキル60」として,具体的な生徒指導場面を挙げて,実際に対応するときのポイントや対応例,留意点などをまとめました。若手の先生方には,まずは生徒指導の基本スキルを身につけていただきたいと願っています。ここが私たちが一番大切にしているところだからです。
その後には,教育相談・個別指導のスキル,問題場面での指導スキルを取り上げ,具体的な指導について,2ページないし4ページで解説をしています。前から順に読み進めていただいても,興味や関心のあるページから読んでいただいても結構です。問題行動などの生徒指導事案が起こると,どんなに経験のある先生でも,焦ります。対応策を考える際の頭の整理に活用していただけると幸いです。
さらに,組織的な生徒指導を機能させる連携スキル,教師の仕事術スキル,生徒指導主事の実務スキルと続きます。これらは主に生徒指導を中心となって進める生徒指導主事の先生方に向けて記しました。我々の生徒指導主事としての経験がお役に立てればうれしく思います。
生徒指導は問題行動などの指導も行うため,強面でないと務まらないこともあるかもしれません。しかし,私たちが一番願っているのは,生徒指導主事がいつも笑顔で,生徒と一緒に成長を喜び合える学校なのです。
2022年4月 /瀬田川 聡・草野 剛
※本書の事例は,個人情報の観点から,実際に対応したケースをヒントに再構成しています。
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