授業づくりの言い換えことば
「うまくいかない」に効くフレーズ

授業づくりの言い換えことば「うまくいかない」に効くフレーズ

新刊

適切な言語化で、授業で抱えるつまずきを解消!

授業がうまくいかないときは、多くの教師が大抵同じところでつまずいている――言い換えの視点で解決の糸口を示す本書では、授業でよくある場面に効く具体的なフレーズが満載! 言いがちフレーズと言い換えフレーズの対比で、かけるべき言葉が具体的にわかります。


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PDF
ISBN:
978-4-18-454031-6
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
四六判 192頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年4月17日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
序章 「言い換え」るために、知っておくべきこと
――教師が子どもたちに話す言葉を「発問」「説明」「指示」に分類する
第1章 授業を行う前に、教師がやっておくべき7つのこと
1 教師と子どもの信頼関係をチェックする
2 子ども同士の人間関係をチェックする
3 子どもの特性を確認する
4 共通の目標を設定する
5 授業内の活動を設定する
6 授業の入り方について複数の選択肢をもつ
7 授業準備の方法をもつ
第2章 「うまくいかない」に効く!言い換えフレーズ
[導入]
授業スタート時に子どもたちがバラバラ
△「集中して取り組みましょう。」
○「○○の活動に取り組みましょう。」
「本時の目標」を確認する際、子どもたちから学ぶ意欲が感じられない
△「本時のめあては○○です。
○「今日は何を解決すればいいですか。」
前の時間で学習したことを確認する際、他人任せになっている
△「わかる人いますか。」
○「○○さん、どう思いますか。」
これまでの学習内容が積み上がっておらず、課題に取り組めない
△「まずは○○の練習をしてみましょう。」
○「○○を見ながら課題に取り組みましょう。」
授業を始めようとしても子どもたちのやる気がない
△「今日は○○について考えましょう。」
○「この写真(動画)を見ましょう。」
授業が始まってもおしゃべりが止まらない
△「授業中、関係のない話はしません。」
○「先生、実は○○なのです。」
[展開]
授業と関係のないことをしている子どもが増えてきた
△「自分で考えましょう。」
○「わからないことはどんどん友達に聞きましょう。」
課題を終えて暇そうな子が周囲の子どもたちの妨げになっている
△「わかりやすく説明できるようにして待ちましょう。」
○「この手順に沿って学習を進めましょう。」
グループ活動をするとふざけて遊んでしまう子がいる
△「授業中に遊ぶのも、遊ぶのを見て何も言わないのも、ふざけているのと一緒です。」
○「おかしいな?と思ったら、○○してみない?と提案しましょう。」
登場人物の気持ちをうまく説明できない
△「○○(登場人物)の気持ちはわかりますか。」
○「どうして○○は△△をしたのでしょうか。」
算数の授業で自分の解き方に固執する
△「○○の解き方を説明できるようにしましょう。」
○「どうしたら○○が(解決)できますか。」
挙手して発言しようとするのが、いつも同じ二、三人の子どもになっている
△「もう少し時間を延長するので考えてみましょう。」
○「○○について、隣の席の人と話し合いましょう。」
作品を見せ合う活動がうまくいかない
△「互いに見せ合って、感想を交流しましょう。」
○「○○について、どのように考えているか確認し合いましょう。」
授業が深まらない@[交流の活性化]
△「そう考えた理由は言えますか。」
○「答えが同じでも、理由が違えば、異なった考え方になります。」
授業が深まらないA[思考の深化]
△「○○についてはどう思いますか。」
○「○○という言葉を使って、説明できる人はいますか。」
学習が苦手な子の発言を受け止めない
△「今日、○○さんががんばっていましたね。」
○「○○さんの考え方を説明しましょう。」
板書をそのまま写していて、子どもの思考の流れが把握できない
△「自分の考えをノートに書きましょう。」
○「友達の話を聞いて、自分に取り入れたいものは赤鉛筆で書きましょう。」
少しでもつまずくと、自分で考える前に教師を呼んでしまう
△「もう少し待っていてください。」
○「自分たちの力で課題を解決しましょう。」
[まとめ]
理解度の差が大きく、練習問題に取り組むと得意な子が時間を持て余す
△「教科書の問題を解きましょう。」
○「問題を解き終えたら、自分で答えを確認しましょう。」
授業の終わりに子どもたちの言葉でまとめることができない
△「今日のまとめを発表できますか。」
○「結局、○○のときは?(どうなりますか)(どうすればいいのですか)」
授業が時間内に終わらない
△「自分でまとめておきましょう。」
○「今日は、○○が解決すればOKです。」
盛り上がった授業が次時や他教科につながっていかない
△「これで終わりましょう。」
○「では、○○という場合はどうなりますか。」
子どもたち同士でさらに理解を深め合えるようにしたい
△「授業の内容を理解している人が多くてよかったです。」
○「授業の内容を理解できているのは、自分の考えを伝え合ったからです。」
おわりに
引用・参考文献

はじめに

 毎日、たくさんの授業をしていても、「授業がうまくいったな!」と手応えがあるのは、一年間のうちほんの数回のことではないでしょうか。それ以外の多くの授業は、「うまくいくにはどうしたらいいのだろう?」と日々考えながらも、その問題を解決せず先送りにしているのが現状でしょう。

 あるとき、若い先生が公開した研究授業を参観しました。放課後にその授業について検討をしているときに「授業がうまくいかないときは、大抵同じところでつまずいている」と気がつきました。最初は、「経験が浅い先生がよく陥る特有の問題なのかもしれない」と考えましたが、どうもそうではないようです。というのも、ベテランといわれる先生でも研究授業などで同じようなことにつまずき、うまくいかないということが何度もあったからです。そして、その授業を検討すると、必ず同じ問題に行き着くのです。

 全国にはたくさんの教師がいて、そして授業が行われています。さらに、「研究授業」と題して、授業のあるべき姿が検討されてもいます。にもかかわらず、同じところでつまずき、その解決策が共有されていないということであれば、大きな問題といえます。

 実は、このような問題は今に始まったことではなく、ずいぶん昔から指摘されてきたことです。授業というものは、「○○すれば△△になる」というような単純なものではありません。ある問題を解決しても、それに関連するいくつかの要素を考慮しながら、絶妙なバランスを保って進めていく必要があります。単純ではないからこそ、長い年月をかけて、多くの人々が今もよりよい授業を追求しているのだと思います。


 文部科学省は、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善とカリキュラム・マネジメントの取り組みを一層進めることを目的として、平成二十九年に告示された学習指導要領の総則に沿って、「『個別最適な学び』と『協働的な学び』の一体的な充実」について資料をまとめました(令和三年三月)。

 一人一人の子どもに応じた学びを保障し、協働的に学びを深めることがこれまで以上に求められているといえます。

 では、現在の学校現場はどのような状況でしょうか。学習指導要領の改訂とともに、「英語教育」「道徳の教科化」「ICT機器の活用」など、さまざまな取り組みが新たに始まりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、子どもたちとの関わりにおいても慎重さが求められるようになりました。コロナ禍前に比べ、子どもたち一人一人に合わせたきめ細かいケアが必要になってきたように思います。

 教室で担任が行う業務が格段に増えている今、さらに「『個別最適な学び』と『協働的な学び』の一体的な充実」が求められているのです。

 現在、「自由進度学習」や「探究学習」といったものが話題になっています。もちろん、それらの方法を取り入れ、自分が取り組んでいる授業のすべてを根本から変える方法もあります。根本からすべて変えるのですから、成功すれば大きな成果になりますが、うまくいかなければその反動は計り知れないものとなるでしょう。そう考えると、授業改善は自分のできる範囲で行っていくのが現実的といえます。

 先進的な方法は取り入れつつ、「毎日の授業をどうするか?」と考えたときに、全国の多くの教室を思い浮かべ一歩前に進める書籍として本書を企画・執筆しました。

 本書のタイトルを『授業づくりの言い換えことば 「うまくいかない」に効くフレーズ』としました。

 序章では、「言い換え」を通して授業を考えるために、「教師が子どもに向かって発する言葉」について整理しました。まずはここを意識するだけで、授業は格段に改善されると思います。

 第1章では、授業を行う前に押さえておくべき点を七つに絞って示しました。授業がうまくいかないとき、その原因をたどると見えてくる「授業をする前提として押さえておきたいこと」について考えていけたらと思います。

 第2章では、授業を「導入」「展開」「まとめ」の三つに分け、それぞれで起きる「うまくいかない」場面を想定しました。そして、教師が子どもたちに話す言葉に注目して、「言い換え」という視点で解決の糸口を示しました。教師が話す言葉を「言い換える」ということは、授業をどのように捉え、授業を行うとよいか再考する必要があります。それらを踏まえ、できるだけ具体的に示すようにしました。


 また、先ほども述べましたが、授業は単純ではありません。一つのことを変更すると、そこから派生するさまざまな問題にも対応しなければなりません。その結果、もともと向き合っていたことに戻ることもあります。こうしたことを踏まえ、各場面の最後には「それでもうまくいかないときは…」というコーナーを用意しました。本書を行き来しながら、授業について考えていただければ幸いです。


 本書が読者の皆様の手に届き、教師が日常の授業で抱えるつまずきが少しでも解消されることを願っております。


   /松下 崇

著者紹介

松下 崇(まつした たかし)著書を検索»

1979年横浜市生まれ。神奈川県公立小学校主幹教諭。日本学級経営学会(JACM)理事。教育サークル・はまの風所属。自身も悩み苦しむ若者の一人であったが,学級づくりを中心に学び続け,学校現場で日夜,全力投球中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 著者の人柄が垣間見える、丁寧で誠実な内容の本。
      子どもの主体性や人格を大切にしながら、包み込むような温かい対応(言い換え)が示されている。

      譲らない部分は譲らないという教師に必要な考え方と同時に温かな対応が学べる、特に若い先生方に読んでもらいたい一冊。
      2025/3/940代・小学校教員
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