- はじめに
- 第1章 オンライン学習導入までの道のりとその実際
- 教師が何もしない姿を子どもたちに見せるわけにはいかない
- オンライン学習を導入するまでの激動の十日間
- オンライン学習導入を決断した背景
- 経営資源の充実を図る@ ―寄附金控除制度の導入
- 経営資源の充実を図るA ―全教室にプロジェクター等を設置
- 経営資源の充実を図るB ―ICT教育の準専科教員の配置
- 三月 ウェブサイト上に課題掲載&Teamsで双方向型学習
- 四月 オンライン上で迎える新年度の学級開き
- 五月 在宅勤務をしながらオンライン学習・職員会議
- 六月 分散登校以降もTeamsの活用
- 第2章 Microsoft Teamsを学校全体で運用するポイント
- なぜMicrosoft Teamsを選んだか
- ポイント@ 先生方のペースで、無理なく楽しい活用を
- ポイントA 全ての機能を初めから教えない
- ポイントB 学習での活用に加えて、雑談も大切に
- ポイントC 学年に応じて運用方針を決めていく
- ポイントD 保護者資料には厳格なルール・相談窓口の明記を
- ポイントE 情報モラル教育の実践的な指導の機会へ
- ポイントF 相談部屋としての「プライベートチャネル」を
- 第3章 私たちにとっての「学びを止めない」
- オンライン学習を進めることへのためらい
- 千葉大学教育学部附属小学校の「止めない学び」とは
- 子どもの学びを支えるために
- 第4章 Microsoft Teamsでの学習指導例
- オンライン学習の三つの型
- [非同期型オンライン学習]
- 非同期型で思考力は高まるのか
- 「遊び」で深まる一年生の学び
- 子どもの意欲を「解放」する
- 総合×国語(説明文)の学習
- オンラインだからできる季節探し ―家庭でできる生活科
- 家だからこそできる社会科学習
- 教職員が出演する楽しい動画で健康を
- [同期型オンライン学習]
- 子どもが主役のオンライン朝の会
- 子どもの「話したい」を叶えるオンライン自習会
- 子どもたちが自らかかわり合ったリズムダンス学習【複式体育】
- グループで創るオンライン音読発表会
- 「オンライン クイズ大会」で培う子どもたちの繋がり
- [ハイブリッド型オンライン学習]
- オンラインで運動会!? ―休校中における学年行事への挑戦
- 子どもたちの新たなつながりを意識した地域学習
- 子どもに今必要な学習を ―教室での授業×同期×非同期
- 第5章 アフターコロナの学校にオンライン学習はあるか
- オンライン学習で気づいた発見と課題
- ビフォーコロナの生活に戻ることは幸せか
- 学校教育と家庭教育が抱えている課題
- 「オンライン通学」という新しい通学方法の試み
- 今こそ学校・家庭・地域が連携して新しい教育の形を創出しよう
- 第6章 編集委員座談会―現場の本音語りつくします
- 二〇二〇年三月の休校が準備期間に
- 二〇二〇年四月、本格運用開始
- 研修への活用も。そして、今後の展望は
- コラム
- @保護者にとってのオンライン学習
- A「お助け隊ITツール相談窓口」開設中
- おわりに
- 執筆者紹介
はじめに
―「オンライン学習」は学校改革の鍵となり得るのか
千葉大学教育学部附属小学校校長・教育学部教授 /鈴木 隆司
世界中を震撼させた未曽有の事態ともいえるコロナ禍は、否応なしに学校を「臨時休校」に追いやってしまいました。入学式・始業式もなく、子どもの声が聞こえない校舎。これが新学期を迎えた学校でした。連日、報道されるコロナ患者数の指数関数的上昇に危機感をおぼえ、諸外国の「医療崩壊」の状況に「明日の日本はどうなる?」という不安がつのる日々を過ごしていました。
こうした状況下で、各学校は「臨時休校」期間の子どもの学習保障をどうするかという問題に直面しました。多くの国公立の学校では「休校期間用のテキストやプリントの配布」「学校からの宿題や課題が、ホームページ等を通じてアップされる」「テレビ放送の活用」などが主な対応でした。「双方向型オンライン指導」を実施したのは小学校では八%でした。(令和二年六月二十三日文科省調べ)この中で、千葉大学教育学部附属小学校では、教員集団が話し合いながら独自の「オンライン学習」を進めてきました。実際に授業を進めていくと、想定を超える問題が次々と出てきました。こうした問題が生じるたびに、自分たちで考え、共通理解して実行するしかありませんでした。翻ってみれば、それは本来の学校のあるべき姿であったと思います。本書は「附属だからできたオンライン学習の理想の姿」を示すものでも、「オンライン学習」を絶賛するものでもありません。本書は、「オンライン学習」に学校として取り組み、実行してきたからこそ見えてきた交々についての歴史的な教育実践記録です。
「オンライン学習」によって、対面授業でなければできないことや「オンライン学習」だからできること、これまでどれだけ子どもたちの力に依存してきたか、授業の本質について考える機会となりました。その上で、「オンライン学習」を考えた記録が本書です。
中でも、学校がご家庭始め多くの方々に支えられている確かさを感じました。学校教育は保護者の皆様の教育権を保障する公的機関であるという教育の原理を今回ほど切実に考えさせられたことはありませんでした。
結びに、本校の保護者の皆様、また後援会の皆様、大学・学部の教職員の方々並びに安全衛生機構の医療関係者の方々に、この場をお借りして感謝とお礼を申し上げます。
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- 明治図書
- teamsの可能性を感じました。2021/1/330代・小学校教員
- 千葉大学附属中の取り組みが時系列で示され、具体的でわかりやすい。2020/12/1140代・男性
- 全指導員にデジタル指導力を、という国の目標が示された今、全ての教職員の方々が読むべきだと感じた。2020/11/24Michi