- はじめに
- 1章 学級担任が必ず知っておきたい心理テクニック
- マインドセット
- 子供たちを内側から変える
- 内向型&外向型
- 活発なクラスでパフォーマンスが下がる子供たち
- 動機づけ効果
- 子供たちの心を動かす3つの魔法の言葉
- 教師の説明スタイル
- 前向きなクラスにしたいなら意識しよう!
- カウンセリングマインド+ソリューション・フォーカスト・アプローチ
- カウンセラーの子供の話の聞き方
- 獲得フォーカスと回避フォーカス
- 子供のタイプ別最適なアプローチ!
- 1章のまとめ
- 2章 学級開きから子供を落ち着かせる心理テクニック
- 泥棒洞窟実験
- お楽しみ会より共同作業!
- 我々の主体性
- 4月に行いたい! クラスをぎゅっとまとめる共同作業
- グリット
- 子供のやり抜く力を育てるためのほめ方のコツ
- 権威づけ
- ここぞ!というときに教師の権力を印象づける振る舞い方
- 意志力(ウィルパワー)
- 子供の集中力を2倍にするテクニック
- ツァイガルニク効果
- 子供が授業にかぶりつく!
- 信頼残高
- 指導の前にたりていますか?
- 2章のまとめ
- 3章 驚くほど学級がまとまっていく心理テクニック
- アサーショントレーニング
- 最高のコミュニケーションスキルを身につけよう
- マインドマップ
- 学級目標を達成させる!
- アドラーの三角柱
- 自分を省みない子供たちに
- 同調効果の利用
- 周りを育てて変化を促そう!
- 社会貢献
- クラスのモチベーションを高める問いかけ
- ネガティビティバイアス
- 友達のいいところを見つけるようになる方法
- 3章のまとめ
- 4章 子供が自ら動き出す心理テクニック
- コミットメント
- 言い聞かせるのではなく、言わせるのです
- 承認欲求
- ほめるのは間違い? アドラー VS カーネギー
- 傍観者効果
- 子供が自分から動かない……回避せよ!
- 社会的手抜き
- やらせすぎは禁物! グループワークのデメリット
- 目標勾配
- 子供が進んで課題に取り組むようになる
- 悪循環を断つ逆説介入
- 「何度言ったら分かるの!」をもう言わなくてすむ方法
- 4章のまとめ
- 5章 困った&叱りたい場面に効く心理テクニック
- ノンバーバル・コミュニケーション
- 子供の嘘を見抜く裏技!
- マインドフルネス
- つい叱りたくなったら
- 認知的不協和
- 保護者にトラブルの報告をして好感度アップ!?
- 問題の外在化
- 問題を子供から切り離す!
- if-thenプランニング
- 子供が宿題を全然やってこない……
- 妥当性の論理
- 不適切な行動を一言で止める!
- べイティング・クエスチョン
- 正確な情報を聞き出したいとき
- 5章のまとめ
- 参考文献
はじめに
この本を手に取ってくださってありがとうございます。
みなさんは学級経営でこんな悩みをもったことはないでしょうか。何度指導してもなかなかよい方向にクラスが変わってくれない。子供がこちらの話を真剣に聞いてくれない。あるいは、ある程度授業は成り立つけれども、それ以上クラスとしてまとまっていかない……。
正直に告白すれば、私が最初にうけもったクラスはほとんど学級崩壊に近い状態になっていました。子供たちは授業には参加せず、男子はしょっちゅうけんかし、女子の間では隠れたいじめが横行し、不登校の子が出る……。中には指導すると暴力を振るってくる子供までいました。そんな中、体調やメンタルも不安定になってしまい、一時期は教職を辞することも考えました。
なんとかクラスをよくするための手がかりを探して必死に様々な教育書を読み、先輩の先生方にも助言を仰ぎましたが、どの方法もうまくいかず、教師に向いていないのではないかと自分を責める毎日でした。
なぜそうした教育関連書や先輩方の助言が、私のクラスではうまく機能しなかったのでしょう。みなさんの中にも、同じように教育書や周りの先生からのアドバイスが自分のクラスでは有効でなかった経験がある方がいらっしゃると思います。
その理由は明確です。これまでの教育関連書は一部のカリスマ的な教師の実践や○○附属小学校などの有名校で行われた取り組みが紹介されているものが多くあります。教育関連書に書かれていることは、たしかにその本を書いた先生が、そのクラスの子供に対して行う場合には効果的だったのかもしれません。しかし、どの子供にも広く有効な手立てではなかった、少なくとも私がうけもっていたクラスでは有効ではなかったのです。
つまり「一般性」と「再現性」が保障されていない方法だったといえます。それに対してこれからご紹介する心理学に基づいた指導法は、心理実験によって効果が明らかになっています。つまりエビデンス(証拠)があるため、確かな成果が期待できます。
幸いにも、大学、大学院で心理学を専門に学んでいたため、そのことに気づいてから必死にクラスをまとめるために使える心理学を学び始めました。学級経営に生かすことができる心理戦略を実践していくうちに、次第に子供たちは私の話に耳を傾けて、少しずつ友達同士の交流も温かみのあるものに変わっていきました。
私は現在、公認心理師としてNPO法人でカウンセリングに従事しながら、日々最新の心理学の知見を取り入れた学級経営を実践しています。
本書では、その実践の中で特に効果的にクラスをまとめたり、子供の力を伸ばしたりすることができた心理テクニックを紹介します。中には、子供のトラブルを報告しながらも、保護者の好感度を上げることができる心理テクニックもあります。また、教育現場で今まで当たり前のように行われてきたけれども、実は非効率的だった、さらには逆効果だった指導法についても紹介していきます。
これから紹介する指導法は決して難しくありません。ですが知っているか、知らないかで指導の効果が大きく変わってきます。本書を読めば、子供たちに驚くほど効果的に影響を与え、子供たちに自ら進んで変化するよう促す指導を明日から実践できるようになります。さっそく見ていきましょう!
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- 明治図書
- 実践を心理学的に説明することで,普段やっていること(あるいは,著者の実践)の根拠となる理論が明確になり,よかったです。クラスのモチベーションを高める方法,アドラーの三角柱が,特に参考になりました。2024/8/1640代・小学校教員
- 心理というテーマで分かりやすかったです。2022/4/1620代・小学校教員
- 「一般性」と「再現性」を保障してくれている心理作戦のような内容がとても魅力的でした。2022/3/3160代教諭
- よい2022/3/1220代・中学校教員