- シリーズ刊行にあたって
- 小学1年生を担任される先生へのエール
- 第1章 小学1年生 教え方のポイント
- 1年生授業の要所・難所
- 1年生をシッカリ育てるための学習規律・ルール
- 「個別最適な学び」と「協働的な学び」とICT
- 特別な支援を要する子どもへの配慮
- 第2章 小学1年生 授業の要所をおさえた指導アイデア
- 国語
- 集中して話を聞けるようになるお話クイズ
- 仲間と学習を深めるペアで質問リレー
- 個の学びを全体へ高める教師は学級のスピーカー
- 観察しながら書く習慣をつける十字リーダーで「じっくり書き」
- 安心感を大切にした自分だけのノート作り指導
- がんばろうとする心を評価できる教師と子どもで評価
- 挿絵から想像することを楽しむ読み深め
- 子どもの気づきを生かす学習はじめの題名読み
- 教室の読書環境を整える「学級文庫」「本屋さんごっこ」
- 表記のルールが定着する「繰り返し&可視化」
- 「は・を・へ」の理解を深める「は・を・へステッキ」で文作り
- シンキングツールを活用した「くまでチャート」でくだものクイズ
- 算数
- 1年生が算数好きになるバラエティー授業と単元計画
- 算数の下地を作る指で作る数
- 何番目がわかるヒツジくん
- たし算・ひき算ができるようになる式読み
- みんなできる指を使ったたし算
- みんなできる指を使ったひき算
- プリントができるようになるお助けメモ
- 100までの計算ができるようになる100までの表
- 時計を読む下地ができる60までの5とび数唱
- 時計の読み方がわかるようになる時間と分のバラバラ提示
- 生活
- 幼児教育から小学校教育へつなぐ「スタカリ」一日の流れ
- 気づきの質を高めるためのワークシート
- 「人・もの・こと」を知る学校探検4タイプ
- 試行錯誤でしっかり学べる「じっくりお世話タイム」
- 朝顔栽培の学習がグッと深まる「朝顔,涙のお別れ会」
- 1年生の飼育単元に最適!「ダンゴムシ」
- 経験をもとにイメージできる「季節遊び」の計画
- 見えづらい成長をふり返られる「思い出すごろく」
- 1人1台端末を上手にはじめるタブレット活用法
- 5分でポイントをおさえられる「ふり返り」ワークシート
- 音楽
- 楽しい雰囲気で授業をはじめられる今月の歌
- 興味をもって共通教材に出会える「ひらいた ひらいた」
- 打楽器でリズム打ちを楽しめる楽器練習の進め方
- 鍵盤ハーモニカに安心して取り組める準備と指導の工夫
- 色々な音色を生かした「どんな音が出るかな?」
- 楽しみながら音楽づくりができる「お寺の和尚さん」
- 曲を聴いて感じたことを表現できる「〇〇になってみよう」
- 図工
- 見立てから作る破いた形からの製作
- 絵画の用具を発展的に活用するクレヨンの技法
- 連想から表現につなげる「お日さま,にこにこ」
- お話から絵を描く「おはなしから うまれたよ」
- 心象風景を絵にする「あの日,あのときの気持ち」
- 初めての粘土を楽しむ「ごちそうぱあてぃ はじめよう!」
- 生活科と結びつけて季節の行事を理解できる「ハロウィンパーティー」
- 体育
- 授業ルールが身につくじゃんけんゲーム
- 集団行動を身につけられる着替えと移動
- 安心できる環境を整える同じ場所で元気よく
- 信頼と安心感を生む一年間固定ルール
- 話し手・聞き手ともに心地よい雰囲気をつくる場面ごとの「型」
- 一人の力がみんなのためになると実感できる環境整備・言葉かけ
- がんばりや成果を伝え準備協力を願う家庭へのお便り
- 基礎感覚を育む体づくり(動きづくり)
- 縄回しとジャンプの達人になれる「小さく回す・大きく回す」
- 運動の仕方がわかる「口伴奏」でよじのぼり逆立ち
- 友達の力で「できた!」を味わえる「お手伝い」で頭つき逆立ち
- 逆さが怖くなくなる「ふとんほし」
- 道徳
- お話の世界に入ることができる動作化と役割演技
- 日常生活につなげることができる「〇〇といっしょだね」
- 執筆者紹介
小学1年生を担任される先生へのエール
本書を手に取ってくださった方のほとんどは,今度1年生を担任する先生ではないかと思います。
1年生の担任を任命されたこと,心より祝福いたします。
「1年生は何を考えているのかわからない」
「学校に慣れるのが大変」
「保護者の方とのやりとりも多くなるって聞くけど……」
いろいろな不安があるかと思います。
しかし,そんな不安も,きっと入学式で出会う1年生の子どもたちの健気な笑顔に吹き飛ばされることでしょう。
1年生という存在は,毎日大きなランドセルを背負って学校に登校するだけでも,私たちに大きな影響を与えてくれます。
とはいえ,1年生の担任の先生を担うには,やはり大切にしたいことも多くあります。特に授業は1年生も6年生も変わらず45分間あり,1年生の子どもたちの実態に合わせた工夫が必要となるでしょう。
そもそも,1年生の子どもたちは,学校の授業というものを一度も受けたことがありません。45分という時間感覚もありません。また,教科書というものすら知らない状態からスタートしていきます。
1年生の子どもたちへ授業をするときに忘れてはいけないことが,「1年生は初めてで知らない」ということなのです。他の学年を受けもって授業をしたことがある,1年生を何度か受けもって授業をしたことがあるといっても,「1年生は知らない状態からスタート」という意識が抜け落ちてしまうことがあります。
知らないのだから教えてやらなければいけません。
とはいえ,直接的にそのまま教えても,1年生の子どもたちが理解することはなかなか難しいでしょう。1年生の子どもたちに,説明的な指導はなかなか伝わりにくく,言葉だけで理解することは難しいと言えます。
しかし,こちらがちょっとした工夫をすると,1年生の子どもたちは目を輝かせて先生の方を向いてきます。おもしろい問いかけを入れること,何か物を用意すること,クイズのようにしてみること,どれも1年生の子どもたちが喜んで取り組むだけでなく,集中して先生の方へ顔を向けるのです。
どうして,ちょっとした工夫で先生の方を向いて学びに向かうようになるのか。それは,1年生の子どもたちだからこそもち合わせている「好奇心」があるからです。1年生の子どもたちは「これは何?」「それはどうするの?」など,自分の興味関心があることを次々と追究しようとする力をもっています。
つまり,先生がどれだけ1年生の子どもたちの興味関心に火をつけることができるかどうかが,カギを握っているのです。
本書内には,そうした1年生の子どもたちが授業中に興味津々で取り組むことができるヒントをふんだんに盛り込んでいます。1年生の子どもたちは興味をもったことにグイグイ引き込まれていきます。そして,どの学年の子どもたちよりも早くグングンと成長していきます。
ぜひ,1年生の子どもたちのもつ興味関心をくすぐるような授業をしてみてください。そして,1年生の笑顔とエネルギーをたくさん堪能してもらいたいと思います。
本書を通じて,読者のみなさんの1年生の担任生活が充実することを心から願っています。
/丸岡 慎弥
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- 明治図書