- シリーズ刊行にあたって
- 小学4年生を担任される先生へのエール
- 第1章 小学4年生 教え方のポイント
- 4年生授業の要所・難所
- 4年生をシッカリ育てるための学習規律・ルール
- 「個別最適な学び」と「協働的な学び」とICT
- 特別な支援を要する子どもへの配慮
- 第2章 小学4年生 授業の要所をおさえた指導アイデア
- 国語
- 聞き取りメモの仕方を工夫できるよりよいメモの仕方
- 話し合いにおけるそれぞれの役割を考えられる「できること」の見つけ方
- 調べたいことを明確にすることができる「気になること」の広げ方・深め方
- 新聞を基に工夫を見つけ,書く力を高める「伝える」のプロからぬすむ書く力
- 「伝える力」を高めることができる必要感と意欲を引き出す書く活動
- 書きたい思いを基に表現や構成を工夫するイメージを広げスキルを使う詩づくり
- つながりを意識して登場人物の気持ちを捉える根拠・理由・気持ちの3点セット
- 登場人物の気持ちの変化を想像する複数の叙述の関連付け
- 中心となる語や文を見つけて要約するめざせ!文字数ぴったりの説明
- 情報を的確に理解する比較しながらの自分の考えのつくり方
- 辞書の使い方を理解し使うことができる日常的な漢字辞典の使い方
- 接続する語句の種類を意識して選ぶ気持ちの違いを考えた使い方
- 社会
- 興味をもちながら覚える○○の日本一
- 自分たちの県を概観する県の特色がわかるマンホールクイズ
- よりよい「選択・判断」につながる身近にある社会問題の取り扱い
- 地域の防災について理解する防災公園の秘密
- リアルな思いに迫る人との「やり取り」を大切にする時間
- 関係的な視点で見ることができる人中心の地域教材
- 算数
- 楽しみながら角づくりができる三角定規で角をつくる活動
- 動画でいつでも何度でも取り組める自分のペースで進める作図
- わり算の筆算の手順を身に付けられる同じ問題への再チャレンジ!
- 計算の順序を使いこなせるようになる4つの4ゲーム
- 基準量と比較量を読み取れるようになる「『○○の△倍は□□』に要約せよ!」
- 言葉の意味をイメージできるようになる言葉の精緻化
- 広さの感覚を養うことができる体で感じる体験的な学習
- 場面に応じた概算ができるようになる「どっちがいいと思う?」の問い
- 2次元表にまとめるよさがわかる「パッと見て答えよう!」
- 楽しみながら大きさの等しい分数がわかる分数神経衰弱
- 展開図をイメージできるタイムアタック展開図
- 子どもが発言しやすい空気をつくることができる「先生が間違える!」
- 理科
- 根拠のある予想ができるようになる一年をとおした「自分の木」観察
- 天気と気温の変化を関係付けて考えられるグラフ化&比較
- 1人1具体物で子どもの気付きを大切にする教材選びのポイント
- 予想や考察が深まる目に見えない物の「イメージ図」表現
- 骨のつくりが理解できる骨の模型手袋
- 学校と家庭で連携してできる月の観察ポイント
- 理科室は特別な場所という意識をもたせる安全に使うためのルール
- 音楽
- グループで思いを出し合い練習することができる合唱練習の工夫
- 楽器が人数分なくても演奏を楽しむことができる合奏指導アイデア
- どの子も楽しんで取り組めるリコーダー練習
- 和楽器を使った音楽づくりができる「4年○組祭り!」
- 聴いて書くだけの時間にならない曲想の変化を感じ取る鑑賞授業の工夫
- 図工
- 空想力の風景を描くために身に付ける絵の奥行きを描くスキル
- 自分自身を見つめなおしながら取り組む自画像制作のポイント
- 材料の固定概念を覆すテープの特徴を活かした作品づくり
- ダイナミックな作品へチャレンジする自然と人工物を融合した作品づくり
- 砂や土の色で表現する「壁画」をイメージした作品づくり
- 体育
- 二重跳びがマスターできる「なわ回し」と「タイミング」
- 回転して元の状態に戻ることができる三人グループで補助とアドバイス
- 腰を高く上げて大きな台上前転ができるトン・トン・トーンで腰上げ
- 一定のリズム助走から思い切り跳ぶことができる着地→踏切→助走の安心マスター
- 面かぶりクロールでスムーズに泳ぐことができる脚全体でバタ足・腕全体で水かき
- 動きながらパスを出したりもらったりできる相手の動きに合わせたパスつなぎ
- 場面の特徴をとらえ全身で踊ることができる仲間と一緒のクッキング
- 道徳
- 授業に惹きつけることができる実物&写真活用の導入のアイデア
- 自分事として考えることができる道徳だからこそ聞ける発問の工夫
- ねらいに迫り,価値をおさえるノート活用と意図的指名の技術
- 外国語活動
- 楽しく慣れ親しむことができるアルファベットおすすめ活動
- 楽しく慣れ親しむことができる数字の表現おすすめ活動
- 楽しく慣れ親しむことができる新出単語おすすめ活動
- 執筆者紹介
小学4年生を担任される先生へのエール
4年生は「ザ・小学生」とも言える小学校生活ど真ん中の学年です。
小学校での生活を理解しつつ,小学生らしい学習を進め,小学生らしい悩みを抱える。保育園・幼稚園を卒業したばかりの幼い子どもたちから,中学校進学を視野に入れはじめる高学年の成長の真ん中にいて,純粋に小学生として日々を過ごしていく小学校生活ど真ん中の「ザ・小学生」。
まだまだ幼い部分もあります。しかし,その一方で少し大人な部分も感じさせられる。そんな学年が4年生です。
だからこその難しさもあります。
4年生は,その成長を2段階で考えておく必要があります。
「先生,先生」と子どもらしく行動する中学年らしい前半。そして,女子を中心に先生と適切な距離を持ち高学年のような言動に変わりはじめる後半。
他の学年であれば,前半である程度うまく学級が運営でき,授業も進んでいれば,それなりに見通しが持てます。しかしこと4年生に限っては後半の関わり方を間違えると,その流れが変わってしまうことがあり,困難さを感じることにつながります。
ここでポイントとなるのは「距離感」です。
一つは子どもとの距離感。
まずは物理的な距離感。前半まではかなり近かった子どもとの距離。子どもからの身体接触も多かったものが,急に減ってくることがあります。「これまでのように」教師が近づきすぎると,子どもが違和感を覚えるようになることがあります。そして,心の距離感。踏み込んでよい範囲が変わってきます。ぐいぐい子どもの中に入っていくことが効を奏することも多かった前半と異なり,それが子どもの嫌悪感につながることも増えてきます。
しかし,その分「大人な判断」も上手になってきて,場を読む力がついてきたり,自分の力を発揮することに喜びを感じたりすることも増えてきます。少し大人になり,高学年のような振る舞いをしはじめるのです。
その変化に気付き,先生が子どもとの距離感を測り直す時期が必要になる時がきます。
近い距離で「見る」割合が減り「眺める」割合が増えると言い換えてもよいでしょう。
ただ,若い先生方にとって,それは少し頭に置いておくだけでよいのかもしれません。
若い先生方は,人との距離感を測ることが総じて上手です。
人に合わせて「踏み込む」「踏み込まない」の判断がとても上手な先生が多い。
自信を持って,明るく,先生自身が楽しそうに日々子どもたちと学校生活をともにしてください。
そうして,子どもたちと明るく,楽しく過ごしていくことが,その延長線上にある授業の足場となっていきます。
授業は学級経営という足場の基に成り立ち,授業をとおして学級経営もまた進化していく。そのいったりきたりの基となるのが「子どもとの関係性」です。
小学校生活ど真ん中の子どもたちとの生活がはじまります。
日々,楽しいこともあれば,悩むこともあるでしょう。
でも,そういうことをひっくるめて,先生ご自身も「小学生との生活」を楽しんでください。
楽しく遊び,楽しく話し,楽しく関わり,そして楽しく授業をする。
そんな一年が過ごせることを願っています。
/南 惠介
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- 明治図書