- シリーズ刊行にあたって
- 6年生担任になった先生へのエール
- 第1章 小学6年生 教え方のポイント
- 6年生授業の要所・難所
- 6年生をシッカリ育てるための学習規律・ルール
- 「個別最適な学び」と「協働的な学び」とICT
- 特別な支援を要する子どもへの配慮
- 第2章 小学6年生 授業の要所をおさえた指導アイデア
- 国語
- 対話の意義を確かめられる考えを深める話し合い
- 語句の係り方に気をつける「一文を短くせよ!」
- 描写から読み取れる合い言葉「なくても意味は通じる」
- 説明文の工夫を読み取る「普通だったら……」
- 熟語の成り立ちを楽しみながら理解を深める「熟語クイズ」
- 段階的な指導で基礎を固める音読・朗読指導
- 情報と情報をつなげることができる具体例やダメな例の紹介
- 古典芸能のおもしろさに触れる古典芸能の音読
- 少し背伸びした本を読む6年間の国語授業の卒業式
- 社会
- 既習事項からつなげる「何のために?」で考える政治の働き
- 投票率の改善について考えられる諸外国のアイデアから学ぶ選挙の仕組み
- 日本国憲法と暮らしをつなげる憲法を題材にした学習問題づくり
- 共感を抱きながら学習できる教科書「+α」の歴史人物学習
- 主体的に歴史を評価する「信長・秀吉・家康,一番は誰?」
- 社会変化を捉えることができる維新三傑への焦点化
- 歴史を紐解いて見出す日本と外国のつながり見つけ
- 算数
- 一人で見方・考え方を働かせることができる板書で「見方・考え方」の見える化
- 発展的に考えることができる「だったら……」
- 分数・小数が立式できる数直線図で簡単立式
- およその面積を求められる「Google Earth でひとっ飛び!」
- 比の意味・表し方が理解できる「先生の肖像画を飾ろう」
- 比の表し方に親しむことができる「Let’s 比ルエットクイズ!」
- 乗法・除法における比例関係に気づける「駄菓子は全部で何本だ!?」
- 樹形図の意味が理解できる落ちや重なりがない数え方
- 理科
- 学習内容を日常生活に拡げる身の回りの「解体新書」づくり
- より妥当な考えをつくり出す実験結果の記述指導
- 液性を正しく調べられるリトマス紙活用法
- 多面的に考えられるようになるグループの実験結果共有
- 実験の難易度をコントロールするヨウ素デンプン反応のポイント
- 具体から抽象で理解できる地球・月・太陽の位置関係の捉え方
- 採取の工夫で深く学べる顕微鏡で池・小川の生物観察
- 活用場面が広がる安全で正確な「気体検知管」の使い方指導
- 音楽
- スキマ時間を楽しむことができる既習曲による活動&クイズ
- 音楽会に向けての段取りをする学級担任の役割
- 「つくってみたい!」と思う導入の工夫〇〇音階で音楽づくり
- 曲の特徴を捉え紹介文を書くことができるポップづくりの工夫
- 図工
- 白と黒だけで構成・表現できる「切り絵〜白と黒の世界に挑戦!〜」
- 自分のキャラクターをつかむことができる名前の漢字のレタリング
- 平和への思いを具現化する「平和な焼き物」
- 鑑賞力とトーク力を高める「ギャラリートーク体験」
- 家庭
- よりよい生活時間を考えられる自分の夢を実現する視点を大切に
- 理論的に涼しく過ごす工夫が考えられる科学的に判断できる実験
- 複数の食材の特性に応じて炒められる自分がつくりたい「野菜炒めづくり」
- 必要性と環境に配慮して製作ができる地域や学校と連携した製作題材
- 体育
- 自分の体を知り動きを高める運動ができる体力アップ大作戦!
- 足を上げられる・補助ができる後ろから補助・横から補助
- 動画撮影だけで終わらせない「見えない」ことの「見える」化
- リズミカルな助走から正しいフォームで跳ぶはさみ跳びのコツ
- 正しいキック動作ができる平キック体操
- ボールをバットで打ち,遠くに飛ばすことができる「いち,にー,さん!」の口伴奏
- 空想した世界を表現できるファンタジーの世界づくり
- 外国語
- 外国語の学習への意欲を高める授業開きと学習の積み重ね
- 見て読んだり,聞いて書いたりすることができる音を意識したアルファベット指導
- 単語のまとまりや語順を意識して書き写す語順ゲーム&アクティビティ
- 一つのことをより詳しく伝え既習表現を定着させる1 minute challenge
- 正しく書き写すことができる「タケース」とチェック活動
- 自信をもって発表することができる原稿づくりと発表練習のポイント
- 道徳
- 長い教材文を一気に読み進めることができる心に残ったところはどこ?
- 授業後の行為・行動を変える「世のため人のために」
- 社会に目を向けることができる大人でも未解決な社会問題の紹介
- 執筆者紹介
6年生担任になった先生へのエール
小学6年担任ほど,濃密な時間を過ごせる学年はないかもしれません。
どの学年も,やりがい・充実感はあれど,その濃さだけで考えると6年生は別格です。出会った頃はまだ子どものようでも,3月には大人の顔つきで卒業していきます。
あっという間の一年間。でも,長く果てしなく感じる一年間。そこに学級で過ごした「濃さ」を感じるのでしょう。
例えば,第6学年には,学習指導要領にはない別枠の“裏カリキュラム”が存在します。簡単に言えば「最高学年として」「6年生なんだから」という肩書きです。
この肩書きは,子どもたちだけではなく担任にも大きくのしかかってきます。状況によっては「先生,6年生の子がね……」「先生,○○さんが委員会をサボってさ……」など,子どもたちへの「ダメ出し」が日常茶飯事です。
そうした授業以外のいわゆる生徒指導といわれる時間は,子どもたちと向き合い,話し合い,がっぷりと組み合う時間になります。互いの共通理解を探り合う時間は大きなエネルギーを使う分,子どもたちの成長も大きく,その濃さを感じることになるでしょう。
また,運動会や修学旅行,陸上大会や学習発表会などもそうです。
応援団の指導や表現運動の練習,宿泊の班決めや部屋割りに費やす時間は,年間指導計画に位置付けられた時数を簡単に超えていきます。
もちろん,その時数や計画通りにできたら申し分ないのですが,何回経験しても難しいものです。それは,子どもたちとの生活が予定調和ではないからです。子どもたちが,こちらの思い描いたように動いたり変容してくれたりするわけではないからです。
ですから「休み時間返上で練習する」「2時間連続で話し合いをする」なんてことは想定内でなければならず,むしろ腰を据えて取り組む心構えが必要です。これもまた濃密な時間になるはずです。
その他にも,5年間かけて育ってきた個性や,5年かけて広がってきた格差が顕著に出ているのが6年生です。
そんな凸凹とした子どもたちと向き合う日々は,きっと保護者の方とのやりとりも含めて一生の思い出になるはずです。
さて,ここまで読むとおわかりになるかと思いますが,6年生ほど「やりくり」が難しく,濃い学年はないのです。同様に,教科の指導についても,指導書を読むだけではうまくいかないこともあると思います。そこが,第6学年の指導の要所・難所なのです。
本書は,そんな先生方へのエールを込めて工夫やアイデア,ヒントを集めました。大いに参考にされてください。
もしかしたら,時間のないなかで難しさや力不足を感じることもあるでしょうし,場合によっては投げ出したくなる瞬間が訪れるかもしれません。
しかし,一年間という限られた時間のなかでそれらを「やりくり」するのはあなた以外の誰でもありません。
改めて,これから濃密な一年間へ立ち向かおうとする小学6年担任の先生方へ心からエールを送ります。一年後の3月,素敵な卒業式を迎えられますように。
「大丈夫,きっとうまくいく」。
/古舘 良純
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- 明治図書
- とっても楽しく読めました。2024/11/3030代教員