- はじめに あなたのキャリアを守り育てる力を
- 「あれども見えず」の学級経営の課題
- 学級経営の悩みは若手だけのものではない
- 学級経営と教師のキャリア
- 教職の魅力とは
- 魅力創出の最初の一歩であり切り札
- 第1章 学級経営におけるバックキャスト思考
- 1 スペシャリストたちの呟き
- 2 「つぎはぎ」の教室
- 3 成果を上げる教師
- 4 目標の力
- 5 処方箋の罠
- 6 能動的な指導に導く発想
- 7 目標達成の2つの思考
- 8 バックキャスト思考
- 9 学級経営が理想を実現しづらい要因
- 10 バックキャスト思考と学級経営
- 第2章 フレームワークとビジョン
- 1 バックキャスト思考のフレームワーク
- 2 「制約」の受容こそがスタート
- 3 理想を阻む要因を洗い出す
- 4 ビジョンは「要」
- 5 授業づくりか学級づくりか
- 6 「制約」としての深い学び
- 7 理想としての深い学び
- 8 深い学びを実現する子どもの力
- 9 深い学びの教室の構造
- 10 学習指導要領が求めるクラス像
- 11 理想としての自治的集団
- 12 自治的活動における自治的能力
- 13 自治的集団の構成要素
- 14 子どもにとっての自治的集団
- 15 学校に行く意味の創造@ ホスピタリティ
- 16 学校に行く意味の創造A 共有体験
- 17 学級のカルチャー
- 18 自治的集団の学級カルチャー
- 19 合意形成の教室
- 20 自治的集団への懸念
- 21 教師主導集団と自治的集団
- 22 同調圧力を越えて
- 23 子どもの幸せと学級経営
- 第3章 アクションはフォアキャストで
- 1 現在と未来のギャップを洗い出す
- 2 ビジョン達成のために@ 基盤づくり
- 3 ビジョン達成のためにA ルールの内在化
- 4 ビジョン達成のためにB あたたかな雰囲気の醸成
- 5 ビジョン達成のためにC 協力的な雰囲気とコミュニケーションスキルの向上
- 6 ビジョン達成のためにD 問題解決能力の育成
- 7 ビジョン達成のためにE リーダーシップの育成
- 8 シナリオ的学級経営プラン
- 引用文献
- おわりに
「はじめに」より
学級経営という営みは多岐にわたりますが,その根幹にあるのは教師と子どもの信頼関係です。教師と子どもの絆は,子どもの挑戦を促すエネルギーになり,子どもの「できた! わかった!」を引き出します。つまり学級経営は教職の魅力を創出する第一歩であり切り札であると言えるのです。
教師と子どもの絆に基づく学級経営は,教師がそれを思い描かない限り実現しません。人がかかわる全てのものは,一度人の頭の中で構想されることを通して実現するという構造をもちます。したがって,教師が頭の中で理想を描くからこそ,その世界が実現するのです。しかし,頭に理想像を描くことは,学級経営のスタートラインについたにすぎません。頭に理想を描いたら,実現するほど,理想の学級の実現は単純かつ即席なものではありません。学級経営は複雑で時間のかかる営みです。
理想を実現するには,それなりの技術が必要です。その有力な選択肢となるのが,本書のテーマであるバックキャスト思考です。バックキャスト思考は,答えのない課題の解決に有効だとされている考え方です。学級経営のような,筋書きのないドラマの創造に取り組む場合,みなさんの強力なサポーターとなってくれることでしょう。バックキャスト思考の学級経営でみなさんの理想の教室づくりをぜひ実現していただければと思います。
/赤坂 真二
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- 明治図書
- 学級経営について改めて学ぶことができました。2025/2/840代・小学校教員