- はじめに
- 第1章 「愛着の問題を抱えるこども」の理解と支援
- /米澤 好史(和歌山大学教授)
- 1 「愛着障害・愛着の問題」と「発達障害」の関係と違い
- 愛着障害・愛着の問題とは?
- 発達障害と愛着障害の違い・見分け方
- 発達障害と愛着障害の関係
- 愛着障害の3つのタイプと現れ方の特徴
- 2 「愛着の器」モデルに基づく愛着修復プログラム
- 愛着障害への偏見が支援を阻む現象・支援の困難さが偏見を助長する現象
- 「愛情の器」モデルに基づく愛着修復プログラムの概要
- 3 通常の学級における「愛着の問題を抱えるこども」への支援方法・かかわり方
- いじめの支援
- 不登校・ゲーム依存の問題
- 通常の学級における愛着障害支援のコツ
- 第2章 教室の中の「愛着障害」支援の実際
- /松久 眞実(桃山学院教育大学教授)
- 1 通常の学級に在籍している愛着の問題を抱えたこどもたち
- 児童養護施設のこどもたちとの出会い
- 細やかな配慮が必要なこどもたち
- 教師としても力不足に悩む毎日
- 北風と太陽
- 親に大切にされてこなかったこどもたち
- 愛着障害とは
- 愛着の問題を抱えたこどもたちへの対応
- 2 通常の学級における愛着の問題を抱えたこども朝日くんへの支援
- 朝日くんの様子
- 1学期
- 夏休み
- 2学期
- 3学期
- 3 通常の学級担任が、複数の愛着の問題を抱えたこどものキーパーソンになり得るか
- 学級担任が複数のこどものキーパーソン?
- 山本先生の場合
- 鈴木先生の場合
- 佐藤先生の場合
- どうしたら、これらの先生のようになれるのか
- 4 複数のこどものキーパーソンになることを可能にするには
- 先生はもしかしたら、自分のことを!
- 全体指導は厳しく、個別の言葉は温かい
- えこひいきと誤解されない1対1のかかわり
- 5 秩序のある安心して過ごせる学級経営のための3つのフェーズ
- 安心して過ごせる秩序あるクラスづくり
- 学級経営の3つのフェーズ
- クラスの状態の見極めとそれぞれのフェーズの取り組み
- 第3章 「愛着の問題」と「発達障害」との関係
- /竹田 契一(大阪医科薬科大学LDセンター顧問)
- 1 発達障害そのものの分類が混乱
- 2 発達障害の診断
- 成長に伴い、変化する診断
- 医学診断より特別支援教育を
- 発達障害と愛着障害の判別の難しさ
- 3 発達障害、愛着障害
- 1つの新しい研究
- 脳の萎縮・回復
- 4 発達障害、愛着障害への支援
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- ADHD
- 反抗挑戦性障害、反抗挑発症と愛着障害
- カリスマティックアダルト=キーパーソン
- おわりに
- ※本書中に登場する事例は仮名であり、個人が特定されないよう、事例の本筋を損なわない形で一部改変しています。
はじめに
この本は、学校において、愛着障害、愛着の問題を抱えるこどもに、学校、学級という集団生活、集団活動の中で、どのように支援ができるのか、学級の他のこどもたちにはどのようなかかわりをしていくのかに焦点を当てたものです。学校の先生方にとって一番の悩みであり、日々どのようにしようかと工夫されていることだと思いますので、「待ってました!」「それが知りたかった!」と受け止めていただけるのではないかと思っております。
私にとっては、単著、共著を含めて10冊目の愛着障害についての著書になりますが、私自身の愛着障害についての最新の知見、考え方を紹介させていただいているのと同時に、学校での支援ということに焦点を当てたという点では一番適したものであると思っております。特に集団生活の中で、愛着障害への個別の支援をしていく困難さは、事例検討会、巡回相談等、様々な形でご相談いただいてきたからです。その現場の息吹をお届けしつつ、現場で役に立つものとなったのではないかと自負しております。
この本の企画、実現は、松久眞実先生のご尽力の賜物です。松久先生はまさに、現場で教員としてこどもとかかわる経験において、愛着の視点からの支援を実践されてきた方です。そして、松久先生から桃山学院教育大学でのフォーラムのご依頼をいただき、そこからこの本が生まれました。松久先生にはその現場の立場からの貴重で具体的な実践のご紹介をいただいております。そこでご一緒させていただいた竹田契一先生にもご参加いただくことが叶い、発達障害支援の立場から愛着障害との関係についても言及いただいております。
愛着障害は発達障害に取り違えられることが多かったという歴史もありますが、現状の精神医学的にも正確に捉えられておらず、発達障害と愛着障害の正しい関係についての共通理解が広がることは、私にとってもずっと願っていたことです。
改めて、この本をこどもとかかわる先生方に大切な指針として活用していただき、支援の心の支えとして位置づけていただければ望外の喜びです。
これまで出会ってきた様々なこどもたちと、かかわってくださってきた多くの先生方に改めて感謝の気持ちを伝えつつ。
著者 /米澤 好史
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- 明治図書
- 昨今よく聞くようになった愛着障害とはどういうものなのかということについて知りたいと思い、本書を手に取りました。発達障害と思われている子どもたちの中に愛着の問題を抱えている子どもたちが多いことを改めて実感しました。2024/7/3150代・小学校教員
- 愛着障害だけではなく、いろいろな児童を見る視点がわかった。2023/10/530代・小学校教員
- 特別支援教育を特別なものではなく通常のものへと意識を変えてもらう,格好の1冊だと感じます。2023/3/550代・小学校教員
- 日々の実践に生かせる具体的な内容がありよかった。2023/1/140代・中学校教諭
- テーマが仕事の必要感とマッチしました。2022/12/720代・小学校教員