- まえがき
- 1章 東京都の小学校教員になるとは
- 教員採用試験と配属
- 東京都の風土・文化
- 区や市の特色と違い
- 東京都と道府県の違い
- Column 自己実現度の深化が、子どもの教育活動の充実に
- 2章 「東京あるある」から見える良さと課題と解決策
- 【学校あるある】
- 夜遅くまで仕事をしてしまう
- 保護者対応が大変
- 職員室の人間関係に悩む
- 【地域あるある】
- 通勤時間が長い!?
- 地域行事の減少と関わり方が変化している
- 様々な団体の在り方・関わり方が変化している
- 【勉強会あるある】
- 校内研究・教師道場で学ぶ
- 多種多様な勉強会が開催されている
- 【昇進あるある】
- A選考、B選考……いずれの道でもドラマがある
- 様々な場で会うことが増えて仲間になる
- 【先生やってて嬉しいあるある】
- 子どもの成長を間近で感じられる
- 行事の達成感や四季を感じられる
- 情熱が人を動かす
- 【先生やってて苦しいあるある】
- 困難な児童・生徒への対応に悩む
- 研究授業に悩む
- 一度リセットしたくなる
- 【人間関係あるある】
- 人間関係を円滑に構築できない
- 職員数が多いため合わない人もいる
- 苦手な人に踏み込むのが難しい
- 【研修あるある】
- 必修研修のモチベーションを保つのが難しい
- 研究会の数は多い・大学の数も多い
- Column 出会った人が教えてくれる、自分の現在地
- 3章 東京都のキャリアプラン
- 新卒時代の過ごし方
- 新人時代の過ごし方
- ミドルリーダー時代(30代)の過ごし方
- Column 少しでもゴールに近づくために
- 4章 東京都から全国への提言
- ICT活用に関わる提言
- 働き方改革に関わる提言
- 職員室の組織づくりに関わる提言
- カリキュラムに関わる提言
- 共有しよう子どもたちの未来のために
- Column これからも期待する「ファシリテーション」
- あとがき
- 参考文献
まえがき
この本を手に取っていただいた皆さん。本を通して出会ってくださり、ありがとうございます。初めまして、東京都で小学校の教員をしております内海孝亮(うちうみこうすけ)です。八王子市で4年間、武蔵野市で6年間、練馬区で9年間小学校教員をしてきました。
今回、執筆のお話をいただき、この『東京都教員の働き方』を刊行する上で皆さんにまずお伝えしたいことがあります。それは、私自身が東京都の教育が好きであり、東京都の教育が少しでも前進できるように微力ながら力を尽くしたいという願いです。
教育は今大きな転換期を迎えています。学校DXが進み、不登校問題をはじめとする教育課題は増加の一途を辿っています。私は教員として何をすべきか? この問いを日々自分自身に問いかけながら、答えを模索してきました。
「未来を見据えて、子どもたちが幸せに生きていけるように。誰一人取り残さずに」というポリシーをもち、教育と向き合っていきたい。東京都の教員として生きる自分の使命を感じています。
教育は人間に欠かすことのできない活動です。アメリカのジョン・デューイも、イタリアのマリア・モンテッソーリも、ブラジルのパウロ・フレイレも、名だたる教育者は皆、国や時代が変わっても個人と社会の幸福のためには教育は欠かすことができないと述べています。
本書を刊行するにあたり、多くの東京都の教員の皆さん、公立だけでなく、私立やオルタナティブスクール、また、教育関係者ならびに、他道府県の教員の皆さんとも対話しました。
対話を続ける中で、自分が知らなかった東京都の教育の素晴らしさを再発見できたと思っています。普段は目の前の仕事で精一杯ですが、原稿を書きながら、東京都について改めて学び、充実した時間を過ごすことができました。
この著書を通じて教育だけでなく、「東京都」という視点で読者の皆さんと対話したい。そう思っています。
読後感もSNSなどで、共有していただけたら幸いです。子どもたちは未来を生きていきます。東京都の教育を通じて、多くの皆さんが教育について対話してくださったら嬉しいです。
原稿を書きながら、そんな願いを込めています。自分一人の考えでは、より良い未来はつくれません。みんなで協働して、東京都の教育をより良くしていきたいです。
自己紹介も含めて、少しお話しさせてください。
小学校教員を志したきっかけは、小学6年時の担任の先生との出会いです!
忘れもしない6年生の始業式、T先生は真っ青なスーツに身を包み、ドリフターズのいかりや長介の「おいっす!」ばりの元気な挨拶で登場しました。
何もかもが新鮮で刺激的で、「小学校ってこんなに楽しくなるんだ!よしっ!僕も先生になろう!」と心を決めた瞬間でした。
埼玉県与野市立本町小学校6年3組担任のT先生は、とにかく子どもたちを楽しませてくれました。
土曜日の放課後の校舎内でのかくれんぼ。先生も校舎を走り回り、掃除用具入れに間違って閉じ込められてしまった女子のエピソードに大笑い。
焼却炉のそばでバーベキュー、卒業旅行の千葉県清水公園でのアスレチック。
土曜日、午前中で学校が終わったら、お小遣いをもって、みんなでラーメンを食べに行き、ワイワイ盛り上がりました。
先生の故郷、巣鴨のとげぬき地蔵を見に行こうというクラスイベント。
先生の自宅には漫画専用の離れ(漫画を読むためだけの部屋)があり、そこに班ごとに遊びに行くなど、楽しい思い出ばかりです。
T先生の「学校を楽しくしたい!」という思い、それが自分の先生になりたいという思いを発現する初期衝動でした。
ロック(パンク)ミュージシャンがザ・ブルーハーツを初めて聞いたときの衝撃を話すのと同じくらい、このエピソードは欠かせません。
自分が受けた恩恵を次の世代に繋ぎたい! それが人生の道を決めた理由です。
東京学芸大学の学生になり、学びました。教育実習を経験し、都内小学校、中学校で時間講師として働き、多くの先輩方、子どもたちと交流し、たくさん愛情をもらいました。出会った皆さんに感謝するとともに、東京という地域の素晴らしさを感じました。この出会い、繋がりを大切にし、この場所で恩返ししたい。その思いで、今も東京都で先生を続けています。
読者の皆さんの中には、これから先生になろうとしている学生の方、今まさに日々教育と向き合っている先生方もいらっしゃると思います。もちろん、教育関係の方でなくても、読んでくださった皆さんが、ときにうなずき、ときに問いを生み、また少しだけ気持ちが楽になってくれるきっかけになればこんなに嬉しいことはありません。一人でも多くの方と東京都の教育について考えていきたいです。
/内海 孝亮
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- 明治図書
- 東京都ならではのこと、他の自治体にも、共通していること。様々な中で、実は知らなかった!というあたりにも言及してありました。次年度から東京都で働くことになった友達にもプレゼントします!2025/2/16先生の本棚