- まえがき
- 第1章 係活動の指導 5つの基礎基本
- 係活動の「構想」を練る
- 「いつ」「だれが」「なにを」するのか明確にする
- 「時間」「場所」「道具」を与える
- 定期的な「活動報告」をする
- 係活動を「評価」する
- 第2章 学年別 係活動の指導のポイント
- 低学年の指導のポイント
- 1年生・初めての係活動を導入するポイント
- 低学年が喜ぶ係活動のポイント
- 低学年が見てわかる掲示のポイント
- ふり返りと評価のポイント
- 中学年の指導のポイント
- 中学年・係活動の幅を広げるポイント
- 子どもの意欲・自主性を高めるポイント
- 中だるみにテコ入れするポイント
- ふり返りと評価のポイント
- 高学年の指導のポイント
- 高学年・係活動の質を高めるポイント
- 打ち合せ・活動時間を確保するポイント
- 子どもの創造性を高めるポイント
- ふり返りと評価のポイント
- 第3章 係活動を学級づくりに生かす工夫
- 時系列で発展させる係活動の指導の工夫
- 1学期―係活動への心構えを指導する
- 2学期―1学期の反省を踏まえた係活動の工夫
- 3学期―ダイナミックに発展させる係活動の工夫
- 係活動を円滑にする工夫
- 同じ内容の係を複数つくる工夫
- ネーミングの工夫
- 「質の向上」を意識した係活動の工夫
- 係活動に使えるグッズの工夫
- 様々なタイプの子どもへの指導の工夫
- 「係の仕事をなんでも自分でやりたがる子」への指導の工夫
- 「他の係に非協力的な子」への指導の工夫
- 「係の仕事を途中で放ってしまう子」への指導の工夫
- 「係の方針で対立してしまう子」への指導の工夫
- 「係の方針に意見を言えない子」への指導の工夫
- 「係の仕事を忘れてしまう子」への指導の工夫
- 「係の仕事中にふざけてしまう子」への指導の工夫
- 第4章 おなじみなものからICTまでとびきり係活動のアイデア
- 定番にひと工夫した係
- 窓飾り係
- 掲示係
- 並べ係
- 連絡係
- 準備運動係
- 学習と連動した係
- 辞書係
- 学習係
- 学習クイズ係
- 言葉遊び係
- 紙芝居係
- 植物&生き物系の係
- 生き物係
- 生き物クイズ係
- フラワーコーディネーター係
- 植物くんの今日の一言係
- 飼育リーダー係
- 行事で活躍する係
- インタビュー係
- “行事だより“作成係
- 行事を盛り上げる“プチイベント”係
- 教室飾りつけ係
- スーパーマン発掘隊
- 教室に笑いを! 面白・お笑い系の係
- なぞなぞ・クイズ係
- わくわくプロジェクト係
- お笑い係
- ビー玉パーティー係
- マジック係
- ICTを活用する係
- YouTubeを活用する係
- 教科リーダー係
- ホワイトボード係
- 新聞係
- 電子黒板を活用する係
- あとがき
まえがき
係活動がうまくいかない!?
子どもたちが係活動をしようとしない。
係の子が呼びかけても,周りの子が協力しない。
このように,
「係活動がうまくいかない」
「係活動って,どのように指導すればよいのか,よくわからない」
という教師がいます。
自分の子ども時代の経験を思い出しながら,なんとなく係活動をさせていて,特に指導をしていない教師もいます。
たしかに,係活動にきまりはありません。
教師によって指導の仕方が違っても,一向にかまいません。
しかし,係を決めただけで指導をしていなかったり,指導のポイントが外れていたりすると,係活動はうまくいきません。
「係を決めたから,あとは子どもたちが勝手に係活動をするはずだ。それなのに,係活動をきちんとやっていないとは,けしからん!」
と思うのは,間違いなのです。
教科書も指導案もない係活動
そもそも,係活動とは何のために行うのでしょうか?
絶対しないといけないのでしょうか?
それとも,係なんて,なくてもかまわないのでしょうか?
何も考えずに,やるのが当たり前だと思って子どもたちに係活動をさせていませんでしたか?
あまり意識されていませんが,「係活動」は,実は「話合い活動」「集会活動」と並ぶ「学級活動」の3つの形態のうちの1つです。
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説『特別活動編』p.71〜72に記載されている「係活動」についての記述を確認してみましょう。
係活動は,学級の児童が学級内の仕事を分担処理し,児童の力で学級生活を楽しく豊かにすることをねらいとしている。
このようなねらいがある係活動を,「なんとなく」「やらせっぱなし」で行っている教師が実に多いのではないでしょうか。
たしかに,係活動は授業ではなく,教科書もありません。
授業であれば,教科書や指導書を見て,その授業のねらいや45分(中学校では50分)の構想などを考えて臨むことでしょう。
ときには研究授業として取り組み,子どもの反応を予想して手立てを考え,それらを指導案にまとめることもあるでしょう。
しかし,係活動でそのようなことを考えて取り組んでいる教師は多くありません。
同じ教育活動なのに,係活動はあまりにも行き当たりばったりで行われています。いや,教育活動という認識もなく,係活動は単なる“教師の手伝い”としか捉えていないのです。
それでは係活動がうまくいかないのも当たり前です。子どもが活動しやすくなるような手立てを,教師が講じていないのですから。
改めて言いますが,係活動は教育活動です。
そして,教育活動にはねらいがあります。
ねらいとは,その活動で子どもたちをどう育てたいのか,という教師の願いであり,指導目標です。ねらいがなければ,うまくいかないのはなぜか,という反省もありません。
だから,教師自身の反省もなく,「子どもが悪い」という結論になりがちとなります。“次”に生かされることがないのです。
係活動は学級づくりの武器になる
係活動で困っている学級をのぞいてみると,係活動と学級づくりがうまく連動していないことに気づかされます。
係活動に関する書籍には,いろいろな係活動のアイデア等が紹介されています。係活動を今すぐなんとかしたい,と困っている教師にとっては,そのようなノウハウやアイデアが求められているのかもしれません。
本書も,できるだけそのような要望に応えられるような内容にしているつもりです。しかし,です。
係活動だけをどうするか,と考えてもうまくいかないでしょう。
係活動は,学級の組織の1つであり,学級づくりと密接に関わり合っています。であるならば,
学級づくりの一環として係活動をどう生かすのか,という視点があるべきです。
係活動は,学級づくりの大きな武器となりえます。
本書には,そのような視点も取り入れながら,係活動がうまく機能するポイントやアイデアをふんだんに詰め込んでいます。
本書が,係活動の指導で悩んでいる多くの教師にとってなんらかの示唆を与えることができれば幸甚です。
/辻川 和彦
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- 明治図書
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