『目指せ！英語授業の達人12 授業が変わる！　最強の英語ペアワーク＆グループワーク２５』の詳細情報

　しかし，学習を始めたばかりの中学生に英語を自由に用いて表現させたり，英語を用いたコミュニケーションを行わせたりするには工夫が必要です。どんなに盛り上がる活動でも，生徒たちが「できそうだ」「やってみたい」と感じてくれる手順やねらいがないと，なかなか生徒は取り組めませんし長続きしません。また，多感な時期を生きる生徒たちは，他者と協力したり会話を通して学習したりすることに抵抗があります。楽しく効果的な活動でも，クラスの人間関係が上手くいっていないために，導入に二の足を踏んでしまう先生方も多いと思います。

　実は，私自身も活動や授業が上手くいかないことに，悩んでいた時期がありました。そんなとき，谷口幸夫先生が日本全国で行ってくださっている英語教育達人セミナーが，日本最北の地稚内にまで来てくださるという知らせを，後の仲間となる高椋先生からいただきました。藁をもつかむ気持ちで参加し，多くの刺激を受けるとともに自分がやりたかったけれども上手くできなかった授業スタイルへ大きなヒントをいただきました。その後も，自分の授業に不安を感じたときや新しいアイデアがほしいときには，必ずと言っていいほど達人セミナーに参加し，達人たちの技や理論を学ぶとともに多くの達セミフレンズからアドバイスをいただきました。

　生徒たちは英語を用いて仲間と交流したいという気持ちをもっていますし，英語を流暢に話し英語で会話する自分の姿を夢見ています。しかし，生徒が楽しみながら活動し，仲間と刺激し合いながら力をつけていく活動をつくるには工夫も必要です。本書では，谷口先生を始めとする達セミの講師や参加者から教えていただいた達人たちのアイデアを，私たちのような普通の教師でもできる形にして紹介させていただきました。生徒たちは，ペアワーク・グループワークを通して自然と仲間と一緒に学習できるようになりますし，活動を一緒に行う時間が増えるにつれて，授業はもちろんクラスの雰囲気も明るくまとまりのあるものへと好転します。

　本書を通して，稚内軍団の盟友であり，兄のような存在であり，よきライバルでもある高椋勇一先生と行ってきた「ペアワーク」の雰囲気と成果を少しでもお伝えできたら幸いです。末筆ながら，いつも私たちに最高のドキドキとワクワクを与え，導いてくださる谷口先生と達セミフレンズ，私たちルーキー２人を優しく見守ってくださった明治図書の木山麻衣子さんに心より感謝いたします。

　　2010年９月　　　／西林　慶武