- はじめに
- 第1章 授業DXのポイント
- 1 6つの視点で子どもの活動を生み出す
- 2 中学校数学科の指導における ICTの活用を問い直す
- 3 フィルターを通してICTを活用すべき場面を見つけ出す
- 第2章 授業DXの実践例
- 1年
- 4倍になるのは何年後か求めよう
- 【方程式】
- 反比例のグラフをかこう
- 【比例と反比例】
- 条件にあてはまる三角形をかこう
- 【平面図形】
- 立体を仲間わけしよう
- 【空間図形】
- 時間の感覚について調べよう
- 【データの活用】
- よりよい記録にする方法を考えよう
- 【データの活用】
- 硬貨を投げたときの表と裏の出方について考えよう
- 【データの活用】
- 2年
- 数当てマジックの種明かしをしよう
- 【式の計算】
- 一次関数の式を求めよう
- 【一次関数】
- 面積の変化について考えよう
- 【一次関数】
- 証明の間違いを直そう
- 【図形の調べ方】
- 平行四辺形の性質の逆を考えよう
- 【図形の性質と証明】
- 四角形と面積が等しい三角形をつくろう
- 【図形の性質と証明】
- 8月の日最高気温の傾向を捉えよう
- 【箱ひげ図とデータの活用】
- 箱ひげ図で分布の傾向を読み取ろう
- 【箱ひげ図とデータの活用】
- 箱ひげ図とヒストグラムを対応させよう
- 【箱ひげ図とデータの活用】
- どちらがあたりやすいか考えよう
- 【確率】
- 3年
- 正方形の面積と辺の長さを求めよう
- 【平方根】
- 関数y=ax^2のグラフについてまとめよう
- 【関数y=ax^2】
- 三角形を台形に変えてみよう
- 【図形と相似】
- 相似な立体の体積を比べよう
- 【図形と相似】
- タイムカプセルを見つけよう
- 【円】
- 直角三角形の3辺の長さの関係を調べよう
- 【三平方の定理】
- 国語辞典の見出し語の総数を調べよう
- 【標本調査】
はじめに
本書を手に取ってくださり,ありがとうございます。
本書は,私が数学的活動普及促進委員会のメンバーとまとめた書籍『板書&展開例でよくわかる 数学的活動でつくる365日の全授業 中学校数学』全6巻(明治図書,2021)から新たに生まれた1冊です。幸いにも本シリーズは好評をいただき,「使っていますよ」という連絡が多くの先生方から届いています。本当にうれしい限りなのですが,この「使っていますよ」について気がかりなことがありました。私はこの本の中で読者に,「あなたが指導する子どもの顔を思い浮かべ,『自分だったらどうするか』という批判的思考を働かせるためのたたき台として活用してください」と投げかけました。書籍に掲載した指導事例の「再現」ではなく「アレンジ」を提案したわけです。それがどんな形で実現されているのかいないのか,ずっと気になっていました。
そんなとき,コロナ禍の影響もあって,文部科学省のGIGAスクール構想が急速に進展し,全国の中学校で1人1台端末が現実のものとなりました。私もその活用方法について相談を受ける機会が増えたことで,「ICTの活用という視点から,あの本のアレンジに取り組んでいる先生もいるのではないだろうか」と考えるようになったのです。そこで数学的活動普及促進委員会のメンバーを通じて,中学校数学科の指導にかかわる先生方に声をかけたところ,予想していたより多くの方から「やっていますよ」という回答が返ってきました。だったら,そうした取組をより多くの先生方と共有することで,さらに新たなアレンジを生み出し,数学的活動の裾野を広げるための芽にできないだろうか…,本書の計画はここから始まりました。
本書第2章では,この「やっていますよ」と手をあげてくれた先生方からの提案を「授業DXの実践例」としてまとめました。ICTを活用した「優れた取組」というより,一気に教室に広がったICTをどう活用するかを日々模索する先生方の「現在進行形の取組」としてお読みいただければと思います。そして,再度「自分だったらどうするか」を考えてみてください。
また,これに先立つ第1章では,「授業DXのポイント」として,第2章を読む前に知っておいてもらいたい2つのことをまとめました。1つは数学的活動の授業デザインに関する復習です。これについては前掲書でも説明しましたが,第2章を読むための必須事項のみコンパクトにまとめてあります。もう1つは,ICTの活用についての基本的な考え方です。ICT万能論からの脱却と,ICTを本当に活用できる場面を洗い出すために活用してほしい「4枚のフィルター」についてまとめてあります。
最後になりましたが,各実践例のアイデアを紙面で具体化するために,最大限の自由と的確なアドバイスをくださった明治図書出版株式会社の矢口郁雄氏に,心から感謝申し上げます。
2022年7月 /永田 潤一郎
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