「特別」ではない特別支援教育2
みんなの「自立活動」 特別支援学校編

「特別」ではない特別支援教育2みんなの「自立活動」 特別支援学校編

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個々の子どもの状況に合わせた自立活動をサポートする取り組み

自立活動の視点から学習指導要領改訂による内容の変化とポイントをまとめ、特別支援学校の専門性と指導力を活かして行われている発達障害、知的障害、重度・重複障害の子どもたちへの具体的な事例も多数掲載。ヒント満載で理論と実践の両側から自立活動をサポートする。


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ISBN:
978-4-18-008242-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
8刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 自立活動改訂のポイントと特別支援学校に求められるもの
1 特別支援学校に求められるもの
(1)特別支援学校に今必要なもの
(2)特別支援学校における専門性とは
(3)障害の捉え方と自立活動に求められるものの変化
2 自立活動の意義
(1)自立活動とは
(2)自立活動の「内容」とその取り扱いについて
3 今回の改訂のポイント
(1)改訂の理由
(2)総則の一般方針
(3)自立活動の目標
(4)自立活動の内容
第2章 自立活動指導の基本
1 自立活動の指導の進め方
(1)自立活動指導の基本
(2)自立活動の指導計画の作成
(3)評価
2 自立活動の内容
〈健康の保持〉
(1)生活のリズムや生活習慣の形成に関すること
(2)病気の状態の理解と生活管理に関すること
(3)身体各部の状態の理解と養護に関すること
(4)健康状態の維持・改善に関すること
〈心理的な安定〉
(1)情緒の安定に関すること
(2)状況の理解と変化への対応に関すること
(3)障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること
〈人間関係の形成〉
(1)他者とのかかわりの基礎に関すること
(2)他者の意図や感情の理解に関すること
(3)自己の理解と行動の調整に関すること
(4)集団への参加の基礎に関すること
〈環境の把握〉
(1)保有する感覚の活用に関すること
(2)感覚や認知の特性への対応に関すること
(3)感覚の補助及び代行手段の活用に関すること
(4)感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること
(5)認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること
〈身体の動き〉
(1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること
(2)姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること
(3)日常生活に必要な基本動作に関すること
(4)身体の移動能力に関すること
(5)作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること
〈コミュニケーション〉
(1)コミュニケーションの基礎的能力に関すること
(2)言語の受容と表出に関すること
(3)言語の形成と活用に関すること
(4)コミュニケーション手段の選択と活用に関すること
(5)状況に応じたコミュニケーションに関すること
第3章 「コミュニケーション」と「人間関係の形成」
―様々な補助的手段の活用とコミュニケーション指導
1 自立の第一歩は自己決定すること
2 障害があっても○○デキルという視点
3 コミュニケーションを阻害する学習性無力感
4 学習性無力感を獲得させないために
5 コミュニケーションの力を育てる
(1)発信行動を育てる
(2)選択による自己決定力を育てる
(3)音声を使ったコミュニケーション
6 自立と社会参加を進めるために
第4章 「環境の把握」と「身体の動き」
―知的障害のための感覚運動遊びを中心とした自立活動の実際
1 知的障害のある子どもたちの感覚運動の特徴
2 苦手な運動や動作を改善する具体的な遊び
(1)力を入れる運動
(2)道具を使った運動 〜一人でできる運動〜
(3)サーキット遊び
(4)遊具で遊ぶ
第5章 「身体の動き」と「人間関係の形成」「コミュニケーション」と「環境の認知」
―発達障害の子どもの運動や人間関係を高める自立活動の実際
1 発達障害について
(1)発達障害の概要
(2)広汎性発達障害(PDD)について
(3)注意欠陥多動性障害(ADHD)について
(4)学習障害(LD)について
(5)発達性協調運動障害(DCD)について
2 「感覚運動機能の発達」と「全人的な成長・発達」
(1)発達障害の特徴を改善していくアプローチ
(2)「感覚運動機能の発達」と「発達全体」との関係
3 感覚運動機能の発達について
(1)感覚運動機能の発達の概要
(2)三段階に分かれた,感覚運動機能の発達
(3)発達障害の子どもと感覚運動指導の実際
4 コミュニケーション・人間関係の形成について
(1)コミュニケーションの概要
(2)「伝達」のコミュニケーションについて
(3)「共有」のコミュニケーションについて
第6章 「身体の動き」と「人間関係の形成」
―重度・重複の子どもの運動,人間関係を高める自立活動の実際
1 重度・重複の子どもと自立活動(の指導)
2 重度・重複の子どもたちに必要な力と自立活動でのねらい
(1)身体的に必要な力(生きるために必要な力)
(2)心理的に必要な力(自分を理解するために必要な力)
(3)社会的に必要な力(人とかかわるために必要な力)
3 自立活動における目標の設定,指導内容,研修
4 自立活動における指導の具体的な内容
(1)「揺れに合わせてからだをやわらかく動かそう」
(2)「ゆったりもたれましょう」
(3)「どっしりおしりで座ってお話しましょう」
5 重度・重複の子どもに対する自立活動
おわりに

はじめに

 「『特別』ではない特別支援教育」のシリーズ第2巻として,『みんなの自立活動 特別支援学校編』を出版することになりました。この巻では特別支援学校の学習指導要領の改訂にともない,自立活動の改訂ポイント,先進的な実践例を紹介することにします。

 今までは,「特別な子どもたちのための特別な指導の場」として,養護学校が位置付けられていました。しかし,今回の特別支援教育の導入で一人ひとりの教育的ニーズに合った指導がより一層求められるようになってきました。場の確保としてだけの養護学校ではなく,本当の意味の特別支援ができる特別支援学校として,より専門的な指導が求められるようになってきました。特に一人ひとりに対しての課題を明確にし,指導プログラムを組むことが重要になってきています。そのためには子どもたちの身体の動きや機能,心の安定や家族のこと,コミュニケーションや知的な能力,環境への適応能力等を的確に把握し,適切な子どもたちの目標設定,指導内容の構築が求められます。さらに,特別支援学校に課された役割として,地域の特別支援教育に関するセンターとして,地域の学校園に対してのより専門的な知識の共有と指導が求められています。これらの課題を解決,遂行するひとつの手立てとして,自立活動の理解と実践への導入を図ることが大切です。今までの専門的な知識をもった教師だけがかかわる自立活動のイメージではなく,すべての教師がすべての子どものために,様々な場で指導できる自立活動を目指してほしいと思います。

 本書では,今回の学習指導要領の改訂にともなって,自立活動がどういった趣旨で改訂され,どういう内容になったのかを「自立活動の解説書」から重要ポイントを抜粋し,まとめました。また,今回の解説書の特徴としては各内容にそって,様々な障害のタイプによる内容の取り扱いが事例としてたくさん紹介されています。第1〜2章では,それらの抜粋だけではなく,もう少し細かい内容の取り扱いも加えながら紹介しています。また,第3章以降は,今回新たに内容として位置付けられた「人間関係の形成」のポイントを中心に,全国ですでに行われている具体的実践例を通して,どういった取り組みができるのか,また,どういう取り組みがその内容にあたるのかを紹介していきたいと思います。

 知的障害を中心とした特別支援学校における情報の機器の活用とコミュニケーションと人間関係の形成の課題。同じく知的障害を中心とした特別支援学校での感覚遊びと人間関係の形成の課題。病弱児を中心とした特別支援学校での発達障害のある子どもたちへの身体の動きと人間関係の形成の課題。肢体不自由を中心とした特別支援学校での特に重度な子どもたちへの身体の動きと人間関係の形成の課題。これらの先進的また,着実に現在進められている実践例を参考にすることで,子どもたちへの指導の工夫や専門的な見方がすべての教師で共有でき,みんなで取り組む自立活動になってほしいと願っています。


  2009年7月   編著者 /中尾 繁樹

著者紹介

中尾 繁樹(なかお しげき)著書を検索»

関西国際大学教育学部教育福祉学科 准教授

大阪教育大学 非常勤講師

神戸総合医療専門学校 非常勤講師

文部科学省「学習指導要領改善のための調査研究」委員

日本小児科学会「学校保健と心の問題委員会」専門委員

日本LD学会 特別支援教育士S.V.

神戸市,西宮市,宝塚市,河内長野市,大阪市他専門巡回指導員

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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