子どもの発言が止まらない! 小学生「白熱教室」入門

子どもの発言が止まらない! 小学生「白熱教室」入門

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子どもの学びが変わる「白熱教室」、実践してみませんか?

国語の授業を「白熱教室」に変える議論の授業のノウハウを、押さえておきたい基礎技術、教材を使った実際の授業事例、指導案や授業記録、ワークシートなどを交えてわかりやすく徹底解説。議論を他教科に生かす手引きも紹介した、熱い議論を行いたい先生必携の1冊です!


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ISBN:
978-4-18-031123-1
ジャンル:
国語
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 120頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
1 サンデル教授に学ぶ 「白熱教室」の基礎技術
1.サンデルの対話型講義の特徴
(1)意見の分かれる発問
(2)受け入れるということ
(3)オープンエンドで終わる
(4)どの考えもOK! 正しいよ!
2.「白熱教室」議論のやり方
(1)基本形を覚えよう
(2)A型の議論の流れ 例「サーカスのライオン」(川村たかし)
(3)A型の議論の解説
(4)B型の議論の流れ 例「サーカスのライオン」(川村たかし)
(5)B型の議論の解説
3.「白熱教室」サンデル的議論のモデル
(1)海のいのち(立松和平)
(2)「白熱教室」議論のモデル
(3)授業をする上で大切なこと
2 誰でもできる! 国語科 「白熱教室」の授業づくり
1.国語科の物語文で白熱の議論を
(1)物語で議論/ (2)どんな話がよいか/ (3)絵本なども使える
2.国語で議論〜最低限の準備〜
(1)テキストを理解させておく/ (2)理解させるために必要な3つの問い/ (3)3つの問いのイメージ図/ (4)物語で議論すべきポイント
3.国語で議論〜初級編〜
(1)とにかく慣れる/ (2)議論の前に計画表を用意しよう/ (3)A型で議論/ (4)この議論を成功させるコツ/ (5)「初級編」の時間配分について
4.国語で議論〜中級編〜
(1)問いを増やしてさらに深める/ (2)第4の問い/ (3)原則にそぐわない状況の提示の仕方/ (4)「中級編」の時間配分について
5.国語で議論〜上級編〜
(1)主題や教訓について議論する/ (2)作品についての調査/ (3)お話チャートを作って主題を確認する/ (4)作品の主題を議論する/ (5)議論の計画を立てる/ (6)問いを一覧にする/ (7)配当時間の確認と大まかな計画/ (8)内容をおさえるための基本問題の作成/ (9)第1時〜第3時で内容をおさえる/ (10)第4時〜第9時に議論をする/ (11)全体議論について/ (12)グループ議論/ (13)具体的なグループ議論のやり方/ (14)司会者お助けカード/ (15)発表者お助けカード
3 実践! 国語科「白熱教室」で子どもの学びがこんなに変わる
1.変わる子どもの学び
(1)読解力研究室
(2)書いてあることを正確に読む力が付く
(3)書いてあることから推論する力が付く
(4)道徳的な議論により,実生活に生かす力が付く
(5)何より児童が楽しみにする
2.実践事例
(1)低学年の実践例 2年「なまえをみてちょうだい」
(2)中学年の実践例 3年「サーカスのライオン」
(3)高学年の実践例 6年「海のいのち」
3.有名教材「議論のアイデア」
《低学年》
(1)はるのゆきだるま
(2)スイミー
《中学年》
(1)夏のわすれもの
(2)木かげにごろり
《高学年》
(1)ちかい
(2)ヒロシマのうた
4 他教科等に生かす「白熱教室」的言語活動の手引き
1.「白熱教室」的言語活動とは
(1)学習指導要領において/ (2)白熱教室的言語活動
2.国語以外の教科における議論
(1)道徳的な議論が面白い/ (2)社会科編/ (3)理科編/ (4)音楽科編
3.総合的な学習の時間における道徳的議論
4.特別活動における道徳的議論
5 「白熱教室」実践の参考資料
1.「白熱教室」指導案と授業記録
(1)指導案/ (2)授業記録(テープ起こし)
2.「白熱教室」ワークシート
(1)議論計画表/ (2)問いの一覧表/ (3)グループ議論での司会者カード/ (4)グループ議論での発表者カード

はじめに

学級開きの日

 今年は6年生の担任になりました。学級開きの日,私は1冊の絵本を取り出しました。4年生で学習した「ごんぎつね」の絵本です。「このお話を覚えてる?」と訊くと,みんなうなずいています。


 私は,何も言わず絵本を読みはじめます。子どもたちは,目を輝かせて聞いています。そして,途中まで読んだところで質問をします。「ごんは,どのようないたずらをしたのかな?」子どもたちは意表を突かれたようです。「もう一度読もうか?」「お願いします」今度は,目つきが真剣です。しっかり聞かないと答えが分かりません。同じところで止めて,もう一度質問をします。すると今度は全員の手が挙がり,3つのいたずらを答えてくれました。

 次の質問は,「どうして,ごんはいたずらばかりするのかな?」です。「お話の内容から想像してごらん」と助言します。「一人ぼっちでさみしかったから,相手にしてほしかった」などの意見が出てきました。「お話に書いてあることから考えるのが大事なんだよ」と助言します。

最後の質問は,「あなたはごんのいたずらを許せますか,許せませんか」です。これで白熱の議論が巻き起こります。「一人ぼっちだから,かわいそうじゃない」とか「だけど,火をつけられたら許せないよ」などの意見が対立し盛り上がります。そして,議論を通して読みが深まっていきます。


 初日,私は国語の授業において「白熱の議論」をするための布石を打っておきました。まずは,「友達同士で議論することは楽しい」ということ。そして次に「議論はテキストの内容に基づくと読みが深まる」ということの2点です。


議論の目的

 絵本を読み,読んだことについて意見を書き,友達と意見交換する活動は,国語科の指導事項を網羅しています。「読むこと」と「書くこと」をわざわざ切り離す必要はありません。「読んだことについて議論する」という言語活動を設定することで,無理なく,総合的に国語科の力を付けていくことができるのです。


 また議論を通して,子どもたちは自分の生き方を考えることもできます。物語などの作品のテーマについて議論することは,自分の生き方を振り返るきっかけになります。例えば,「ヒロシマのうた」(今西祐行)を読んで「平和」について議論すると「生き方を考える」ことになります。テキストを正確に読み取り,読み取ったことについて議論することは,ただ読みの力を付けるだけではないのです。


本書の内容

 本書では,楽しい議論の授業をたくさん紹介します。特に,国語科での「議論の授業」の進め方をできるだけ分かりやすく説明します。さらに「議論の授業」を他教科に応用するアイデアも紹介します。

 それでは,一緒に議論の授業を楽しみましょう。


  2011年9月   /重谷 哲生

著者紹介

重谷 哲生(しげたに てつお)著書を検索»

広島県大竹市立小方小学校教諭

読解力研究室主宰

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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