- はじめに
- 第1章 モジュール学習で「書く力」が伸びる!
- 1 現代っ子の身に付けたい「書く力」
- 2 書写から発信する新しいスキル
- 3 日々の積み重ねで「書く力」が身に付くモジュール学習
- 4 知らず知らずに「書く力」が身に付くための本書の活用方法
- 1.ワークシートの活用方法―短時間の積み重ねで身に付く
- 2.計画の立て方―年間指導計画例
- 3.「書く力」の変容の見方と評価のしどころ
- 第2章 1回10分で積み上げる!「書く力」育成ワークシート
- 基本習得編
- 1 「あいうえおうた」
- 2 「イロハウタ」
- ドリル編
- 3 漢字しりとり
- 4 行書力チェック(1) (横画の連続)
- 5 行書力チェック(2) (点の連続)
- 6 行書力チェック(3) (直接の連続)
- 7 行書力チェック(4) (点画の省略)
- 8 「竹取物語」
- 9 「枕草子」 〜書写教科書巻末の行書一覧表を活用しよう〜
- 活用編
- 10 哲学者の言葉
- 11 詩人の言葉
- 12 政治家の言葉
- 13 高校生の言葉
- 14 手紙(1) 往復書簡
- 15 手紙(2) 横書き封筒の書き方
- 16 手紙(3) お礼状の書き方
- 17 FAX送信
- 18 文字を知る,文字を知らない
- 19 学校見学の申し込み
- 20 本の取り替え交渉
- 名作編
- 21 「ロミオとジュリエット」
- 22 「通りゃんせ」
- 23 「坊ちゃん」
- 24 「雨ニモマケズ」
- 25 「少年の日の思い出」
- 26 「走れメロス」
- 27 「平家物語」
- 28 「万葉集・古今和歌集・新古今和歌集」
- 巻頭
- ・平仮名詩:「い、ち、も、く、さ、ん」(宮下すずか)
- ・片仮名詩:「五月のウナ電」(高村光太郎)
はじめに
平成20年版「学習指導要領」の「総則」には,指導・評価の体制を整えれば10分間程度の短い時間を正規の授業時数にカウントすることができることが示されました。例えば,1回10分間の学習を5回行うことで,書写の授業の1時間分にカウントすることができます。これを「モジュール学習」と呼ぶことにしますが,この学習スタイルは繰り返し学習が必要な「書写力」の育成にあたっては非常に有効性の高いものです。
本書は,この「モジュール学習」の手掛かりになるように「ワークシート」として公刊したものです。本書の特徴を挙げれば,次のようになります。
@ 全体として,手軽に繰り返し学習ができるように,10分間程度でまとまりのある一つの学習活動になるように配慮してあること。
A 孤立的書写指導の脱却を目指し,国語の学習から書写学習へつながるように配慮したり,他教科の学習や社会生活と関連的・一体的に学習が展開できるように配慮したりしてあること。
B 毛筆書写から硬筆書写へ展開できるような部分や,書写力の基礎を鍛えるような部分を取り入れていること。
C 知的な刺激に手書きで触れ感動が深まるように工夫してあること。
本書は,これらの特徴を生かしながら「モジュール学習」を展開することによって,文字を正しく整えて速く書く能力を育成できるようになっています。
ところで,平成20年版「学習指導要領」では,「言語活動の充実」が強調されています。各教科の学力を確実に育成するために,学習活動に「話す・聞く・書く・読む」活動をこれまで以上に積極的に取り入れようとするものです。その意味で,「書く力」の育成は学習活動を支えるものとして,その重要性が一段と増しているといえるでしょう。
「書く力」は,まとまった文章の作成だけでなく,学習活動に関わる気づき・意見・感想などをメモすることや,資料を読み込む際の書き込み・引用・要約,設問の解答など,多様な学習活動に必要とされます。ただ,この「書く」活動は,ICT(情報通信技術)機器の導入によって,手書きすることだけで行われるものではなくなりつつあります。文部科学省も,新しい授業・学習開発の一環としてタブレット端末の活用などを追究しています。しかしながら,現段階では,学校教育においては文字を手書きすることが「書く」活動を支えています。この文字を正しく整えて速く手書きする能力が「書写力」です。本書によって,この「書写力」が確実に育成されると信じています。
教育再生会議は,2020年を目途に小学校における外国語活動を教科化する方針を提言しました。その際,15分程度の「モジュール学習」を積み上げることも提案しています。言葉の学習には短い時間を積み上げていくことの必要性を示唆しているものと考えられます。この考え方は,本書の考え方に合致するものです。
「書く力」を支える文字を正しく整えて速く手書きする「書写力」の育成に,本書がお役に立つことを心から願っております。
/著者一同
-
- 明治図書