- はじめに
- プロローグ 「わらべうた」ってなぁに?
- 1 「わらべうた」ってどんな歌?
- 2 わらべうた あ・れ・こ・れ
- T 季節とわらべうた
- 1 春のわらべうた
- つぶつぶ[秋田]
- おさらにおはしに[神奈川]
- ぎおんの夜桜[京都]
- れんげつもか[福井]
- ほうしほうし[岡山]
- かとう清正[鹿児島]
- 京の大仏つぁん[京都]
- 2 夏のわらべうた
- あやめに水仙[岡山]
- お寺のおしょうさん[東京]
- いなかのおじさん[長野]
- 雨がふった[鹿児島]
- ぼんさまぼんさま[長野]
- 大なみこなみで[東京]
- 赤いあかいほうせん花[愛知]
- 3 秋のわらべうた
- いっぽでっぽだまよ[石川]
- 道中かごや[東京]
- たわらのねずみが[長野]
- 狩人さん[岡山]
- きっこーまっこー[滋賀]
- いちもんめの[島根]
- 山のしばぐり[福島]
- 4 冬のわらべうた
- 大根かぶらの[香川]
- 白まめ黒まめ[富山]
- たこたこあがれ[東京]
- あぶくたった[福井]
- 粟もちねれねれ[三重]
- しょうじがたった[福岡]
- ひふみつ[長崎]
- U 郷土とわらべうた
- 1 アイヌ(北海道)のわらべうた
- ホーチップ テレケレ[釧路 川上郡]
- タントシリ ピルカ[登別]
- トイカワ ホプニペ[日高 静内]
- 2 岩手・宮城・福島3県のわらべうた
- @ 岩手のわらべうた
- たんたんたろひ
- 二百十日の祭りよ
- ねんねこせ ねんねこせ
- A 宮城のわらべうた
- やんまやんま
- てれれっぽ
- ねんねこせ おんぼこせ
- B 福島のわらべうた
- つぶやつぶや
- あっちむげの
- ほらねろ ねんねろ
- 3 広島のわらべうた
- はとのなき声は
- ぞうりかくし
- じごくごくらく
- 大なみこなみ
- ゆうびんさん
- ねんやさせましょ
- 向こうのお山に(猿)
- 4 沖縄のわらべうた
- いー正月や[沖縄本島]
- あっとーめーたり[那覇]
- じんじん じんじん[沖縄本島]
- てぃんさぐぬ花[沖縄本島]
- V 生活発表会とわらべうた
- 1 すずめの遠足
- スズメチューチク
- こんこんさん
- みたらみみずく
- かれっこやいて
- 2 くまさんのおでかけ
- くまさんくまさん
- どんぐりころちゃん
- こんこんちきちき(替え歌)
- せっせっせ(替え歌)
- ユースリャ ユスリャ
- もどろぅもどろぅ
- 3 うれしいクリスマス
- ケーキケーキ(替え歌)
- ととけっこー(替え歌)
- こづつみとどいた(創作)
- クリスマス(替え歌)
- 4 へびとかえるの鎮魂歌
- きみずあかみず
- ことしのぼたん
- いなかのおじさん
- ヘビヘビシュー(創作)
- ヘビイタガッサガサ
- おてぶしてぶし
- ビッキビッキ
- ギャーテーギャーテー
- 5 ぼくらの春・夏・秋・冬
- うぐいすの たにわたり
- たんぽぽ ぽぽん(創作)
- うみうみかわ
- ギッコンバッコン
- いちわのからすが(替え歌)
- しんわりたんわり(替え歌)
- おつきさま えらいの
- ショウガツサンノ(正月さんの)
- でんでらりゅうば
- 6 ふくろうのそめものや
- いちわのからす
- かーかーかー(替え歌)
- 7 ばったがとんだ
- バッタンサン
- じゃんこうじゃんこう
- キャーロノメダマニ
- とんび とんび
- とーんだ とんだ(創作)
- 8 おしょうさんとそば
- なかのなかの
- よるだよ よるだよ
- ギャーテーギャーテー
- ガスガス ガラガラ(創作)
- 9 笠じぞう
- ゆきやこんこん
- しみたかほい
- ひっとりふったり(替え歌)
- やれつけほらつけ
- ひとつひばしで
- おんしょうしょうしょう正月は
- わらべうたコラム@ 子どもとわらべうた
- W 遊び歌・子守歌・重ね歌
- 1 遊び歌
- 一人でさびし[宮城]
- 上から下から
- おらうちの[長野]
- ちんぷんかんぷん[千葉]
- 肩んとひじんと[奄美大島]
- 正月二月[東京]
- ぎっこんばったん[長崎]
- でんでらりゅうば[九州]
- なかなかほい[香川]
- くるくるまわる
- 梅と桜とするもん
- このこどこのこ
- 2 子守歌
- ねんねんころりよ[宮崎]
- ねんねんねんねん[京都]
- ねんねんねやまの[長野]
- ゆうなの木のしたで[鹿児島]
- 雲はあっぱい[高知]
- てぃんさぐぬ花+ヨイヨイヨイ
- ヨイヨイヨイ
- トイカワ ホプニペ
- ゆうべ夢をみた[静岡]
- 3 重ね歌(クオドリベ)
- せりなずな+ひらいたひらいた+たんぽぽぽぽん
- たんたんたろひ[岩手]+まがんこ[福岡]
- キッコーマイコー+きっこーまっこー[滋賀]
- こりゃどこの+このこどこのこ
- ゆびきりかまきり+じごくごくらく
- わらべうたコラムA 「このこどこのこ」に想う
- わらべうたコラムB わらべうたは「聞き耳頭巾」
- わらべうたコラムC 「わらべうたこいぶみ」によせて
- X みんなの好きなわらべうた
- 1 人気のわらべうた ベスト10曲
- こりゃどこの地蔵さん
- どんぐりころちゃん[徳島]
- おちゃをのみに[宮城]
- オフネガ ギッチラコ
- たけのこ めだした
- たんぽぽたんぽぽ[群馬]
- ずぐぼんじょ[佐賀]
- おすわりやす[京都]
- ほたるこい[東京]
- なべなべ[東京]
- 2 保育士・音楽講師・サークル会員の方々が選ぶ,季節のわらべうた・一年中のわらべうた
- 〜最新アンケートより〜
- 3 伝え聞いたわらべうた
- いっぽかっぽ
- じゃんけんちかぽか
- いっぽでっぽ
- 甘酒ほいほい
- ねんねんや ねんねんや
- やっすんすん
- ねんねんや こうこうや
- ねこんぼ(猫やなぎ)
- 泣こかい飛ぼかい
- デロデロツノデロ
- ニクヤノオバサン
- ももじいちゃんのわらべうた
- あのね このね
- いなかのおっさん
- ひとりきた ふたりきた
- 泣きびりちゃんちゃん
- ぼうずぼうず 山いも
- 越中富士の餡痕胆
- 4 新しく生まれたわらべうた
- こづつみとどいた
- かきかきごおり
- すすきのむこうに
- 永江家のわらべうた
- ゆうらんらん
- うめぼしすっぱいな
- おおきくなったり ちいさくなったり
- てんてんてんまり
- 雪のなかから
- でんしゃでんしゃ
- ねんねんねの谷
- エピローグ わらべうたによせて
- しんぬけ かんぬけ
- 家庭でできる音楽教育を
- りん りら りん
- こっち こっち
- 孫とのわらべうた
- 老人病院での3年間
- ねんねんねやまの
- ひとやまこえて ふたやまこえて
- わらべうたを通行手形にして
- うたいだし索引
- 参考文献
- おわりに
はじめに
大学卒業直後にわらべうたに再会し,私はその素朴さとシンプルな美しさに衝撃を受け,日本のわらべうたを一から学び始めました。それ以来,気がつけば40年余りのわらべうた人生の歳月が過ぎました。あのとき私の内に芽生えたあそびの木の双葉は,いくらかは根茎を伸ばし,風にそよぐ葉っぱもつけてくれたでしょうか。
わらべうたは時代や空間をこえて,古くは数百年以上の昔から,親から子どもへ,子どもから子どもへと永々脈々と手渡され,変遷をくり返しながら今日まで伝承されてきました。人々の心と身体をくぐりぬけ,温もりと共に届けられた,ご先祖さまからのありがたい贈り物ということができるでしょう。これからも私たちの日々の暮らしの中で,日本全国どこか同じ景色を共有し時代を映しながら,強い生命力で継承され,また新たに生まれ,私たちに明日に向かって生きる勇気を与え続けてくれることでしょう。
この本は,そんなふうに,時空をこえ人々の心と身体をかいくぐって旅をする,わらべうたと,平成の今を生きてここに在る人々とが織りなす,一つの小さな輪の記録といえるかもしれません。
* * *
本書の構成は次のようになっています。
◆プロローグ 「わらべうた」ってなぁに?
唱歌と童謡,わらべうたの違いなどわかりやすく具体的に整理して書いてみました。
わらべうたの分類例や,児童文学者の言葉なども紹介しました。
◆T 季節とわらべうた
わらべうたは,四季変化の豊かな日本の気候や年中行事と密接な関係で育まれてきました。色々な場で実際によく遊んだものや,初めての人にも親しんでいただけ,またすでにお持ちの季節のレパートリーに加えていただけるように,覚えやすい短めのうたを選びました。
◆U 郷土とわらべうた
わらべうたは,各地の気候・風土に根づき,それぞれの母語(方言)でうたわれ,風習もさまざまです。中でも北海道(アイヌ)と最南地,沖縄県は,際立った文化的特徴を持っています。そんなアイヌと沖縄に,先年大震災に見舞われた東北3県(岩手・宮城・福島)と広島県を加えた,1道4県に伝わる郷土のわらべうたを特集しました。
◆V 生活発表会とわらべうた
わらべうたが生活の中に,空気のように自然に溶け込んでいる岡山のS保育園で,90年代半ばから約10年間に発表会で実践された作品です。日々遊びこんだわらべうたを,舞台で「観て,聞いてもらうわらべうた」に演出する場合の参考にしていただけたらよいと思います。
◆W 遊び歌・子守歌・重ね歌
わらべうたは,簡潔で短い旋律が身上であり,単声が一番美しいです。できるだけそのシンプルな美しさを生かす形で,日本のわらべうたの特質である4度音程の響きを添えて編曲しました。わらべうたの音楽性の豊かさ,母語の楽しさへの共感がより深まることを願います。「遊び歌」「子守歌」「重ね歌」から数曲ずつ選びました。
◆X みんなの好きなわらべうた
保育士,音楽教師,親子遊び参加者,遊び名人,公民館職員など色々な立場の方々がお寄せくださった寄稿やアンケートが集まったわらべうたの広場です。「人気のわらべうた」「最新アンケートより」「伝え聞いたわらべうた」「新しく生まれたわらべうた」と盛りだくさんです。
◆エピローグ わらべうたによせて
9名の皆さまがわらべうたに寄せる思いを書いて,寄稿してくださいました。「わらべうたに出会えてよかった」「この気持ちをみんなに伝えたい」という熱い思いが直接じいんと伝わってくるようです。
* * *
本書が,すでにわらべうたを楽しみ,実践しておられる方々にとっては,さらなる喜びや励ましとなりますように願います。また,子育て奮闘中の親子さんやわらべうたに関心を持っておられる方々が「ふふふ」と思わず笑みをこぼしたり,口にだしてうたってみたくなったり,「わらべうた,やってみようかな」という気持ちを促す,一つのきっかけになればどんなに嬉しいかしれません。
なお,わらべうたの遊び方については多くを書きませんでした。実践される方が,一緒に遊ぶ目の前の子どもの状況に合わせて柔軟に対応し,自由にふさわしい遊び方を工夫していただきたいと願います。子どもたちが不安や緊張から解き放され,心からの笑顔でわらべうたを楽しめるためには,大人が想像力を働かせ,創意工夫をして差し出すことがとても大切になります。そのためにも,まずは大人がいっぱい遊んでわらべうたの楽しさを体感し,それぞれのうたに込められている子どもの気持ちを知ることが必要かと思います。
常に変化しながら伝承されていくわらべうたの特質は,型にはめ,教えこむことのできない変通自在の“遊びの自由さ”にあると言えるのではないでしょうか。それこそが,子ども文化としてのわらべうたの最大の魅力であり,絶えることのないわらべうたの生命力の“源(みなもと)”であると私は信じています。
♪たんぽぽたんぽぽ むこうやまへ と〜んでけ [群馬]
2012年12月 /たかぎ としこ
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- 明治図書