- 著者インタビュー
前著『わらべうたでいきいき保育』は、主として保育園や幼稚園の現場で保育士や先生方に季節や年間行事、発表会などで、どのようにわらべうたを取り入れていったらよいかの提案をさせていただきました。今回の『わらべうたですくすく子育て』では、前著の内容に加えて、子育て支援から高齢者の集いまで幅広い場所で実践されている現代進行形わらべうたを紹介させていただきました。
どんな現場にあっても、まずは大人がわらべうたをうたい遊ぶことが大好きなこと。自分のものにした大好きなうたのレパートリーを増やしていくこと。わらべうたを子どもに提供したときの子どもの反応を見のがさないこと。そして何より大切なことは、子ども自身のうたいたい気持ち、“うたう喜び”を呼びさまし引き出してあげることだと思います。
伝承のわらべうたの場合、特に赤ちゃんから5、6歳の幼児は、とてもリラックスして聞き入り、自分の方から自然に身体を動かして相手と関わり遊ぼうとします。心地よいリズムと揺れで眠ってしまう乳幼児もいます。他方、声のボリュームが大きくテンポも速めで、楽器伴奏なども多用されるアニメソングや創作遊戯歌などの場合は、思いきり楽しめる子と、雰囲気にのまれて緊張しほとんど参加できない子と分かれる傾向があります。歌としては音域の少ないわらべうたの方がうたいやすいですね。
実際に子どもとわらべうたで遊ぶとき、まず最初に、どうしたら緊張した空気が緩み子どもが笑顔になって遊んでくれるか導入に苦心します。手作り人形をだして名前呼びをしたり、ボールでだるまさん転がしのうたを唱えたり、反応を受け止めながらその日のテーマに沿ってわらべうたをうたい遊んでいきます。普通の声で静かにはなし、うたうときもそのまま自然な声で、でもその曲のイメージにあったうたい方をするよう心がけています。同時に子どもたちがいつも積極的にうたいながら遊ぶように励まします。
時空をこえて今日まで伝承されてきたわらべうたには、どんな短いうたでも必ず伝えたいメッセージがあります。わらべうたの生命力を感じ、そのメッセージとは何かをさがしてみませんか。まずは、そのうたがどんな風景の中でうたわれたうたかを想像し、わかるまで何度もうたってみましょう。それからそのイメージをもとに遊び方を工夫して遊んでみましょう。あなた自身がうたにこめられたご先祖の智恵と愛情を感じとってから、子どもといっぱい遊ぶことがいちばん大切だと思います。