授業の流れがバッチリ見える!小学校音楽の新題材モデル20 中学年編

授業の流れがバッチリ見える!小学校音楽の新題材モデル20 中学年編

好評4刷

インタビュー掲載中

〔共通事項〕をフル活用して楽しく学びのある音楽授業を!

注目の〔共通事項〕の働きを指導計画の中でビジュアルに表記し、子どもを見取る場面や手だてを具体的に明記しました。これで、新学習指導要領の内容が授業でバッチリ実現できます!各所にちりばめられた指導のアイデアは楽しい授業づくりに必見。低・中・高の全3巻。


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ISBN:
978-4-18-078533-9
ジャンル:
音楽
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 144頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年11月22日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
本書の使い方
CHAPTERT 楽しく生き生きした音楽の時間をめざそう
―新学習指導要領に対応した授業づくりと評価のポイント
1 学習指導要領改訂の概要
2 これからの音楽授業に求められること
3 新学習指導要領に則った授業づくりと年間指導計画作成のポイント
4 これからの音楽科に求められる指導と評価のあり方
5 中学年の特徴
CHAPTERU 授業の流れがバッチリ見える題材モデル20
歌唱
1 上級生に負けないぞ!美しい歌声を身につけよう
〜楽しい学習活動を通して豊かに響く歌声をめざす〜 3年・A(1)ウエ B(1)ウ
2 様子を思い浮かべながら生き生きと歌おう
〜自分が歌詞の主人公になって歌う〜 3年・A(1)アイウ
3 声と楽器の重なりを感じよう
〜声や楽器が多声的に重なり合う面白さを味わう〜 3年・A(1)イエ (2)イエ
4 ひびきのよさを感じながら演奏しよう
〜旋律が重なり合う響きを楽しむ〜 4年・A(1)イエ (2)ウ
5 体で感じながら民謡を歌おう
〜郷土の民謡に親しむ〜 4年・A(1)イ B(1)ウ
器楽
学年・学習指導要領 指導事項
6 こんにちは,リコーダー!
〜感動をもってリコーダーと出会い,演奏意欲を高める〜 3年・A(2)ウエ
7 音を合わせて演奏しよう「チャレンジ!音合わせ」
〜様々な楽器の音色が重なり合う響きを楽しむ〜 3年・A(2)ウエ
8 音の重なりを楽しんで合奏しよう
〜様々な楽器の音色を味わいながら,響きを感じて演奏する〜 4年・A(2)アイウエ
9 和楽器の音色と効果を生かして演奏しよう「面白い!筝の響き」
〜音色の変化に気をつけて筝を演奏する〜 4年・A(2)イウ B(1)イ
10 曲想にふさわしい表現を工夫しよう
〜旋律の特徴を感じ取って,リコーダーの演奏に生かす〜 4年・A(2)イエ B(1)イ
音楽づくり
学年・学習指導要領 指導事項
11 組曲「しずくのぼうけん」をつくろう
〜物語から音の質感に関するアイデアを得て,音楽づくりをする〜 3年・A(3)アイ B(1)イ
12 身の回りのものを使って即興的に表現しよう
〜音楽づくりのアイデアを広げて即興的な表現を行う〜 3年・A(3)アイ
13 絵を音楽で表そう
〜音を音楽へ構成していく過程を楽しむ〜 4年・A(3)アイ B(1)イ
14 声をつかって即興的に表現しよう
〜イメージに基づいて,声による即興的な表現の楽しさを味わう〜 4年・A(3)アイ
15 日本の楽器と音階で旋律をつくって楽しもう
〜日本の楽器の音色に浸りながら筝で旋律をつくって,日本音楽に親しむ〜 4年・A(2)ウ (3)アイ
鑑賞
学年・学習指導要領 指導事項
16 体を動かして音楽を味わおう
〜体の動きで音楽の仕組みを表現する〜 3年・A(3)アイ B(1)アイ
17 曲想を感じ取ろう
〜音楽を聴いて感じる気分や雰囲気を,楽曲の特徴との関連でとらえる〜 3年・A(1)イ B(1)アイウ
18 音楽の会話がきこえるかな?
〜音楽の仕組みを見つける〜 3年・A(2)イ B(1)イ
19 日本の音楽に親しもう
〜日本の祭りや民謡の音楽の特徴を感じ取って聴く〜 4年・B(1)イウ
20 音楽が語る情景に耳をかたむけよう
〜音楽を聴いて浮かんでくる冬の情景を言葉に表す〜 4年・B(1)アイウ
執筆者一覧

はじめに

 ご存じのように,小学校学習指導要領(平成20年改訂)が平成23年度4月から完全実施となりました。各地の研究大会や研究会などを中心に,完全実施に向けて様々な取り組みが行われてきました。一方,それらの新しい実践の取り組みによって課題も浮き彫りになってきています。

 例えば,「音楽づくり」や「鑑賞」の指導があまり変わっていない,あるいは改訂の趣旨が生かされていないという点です。「音楽づくり」の場合,音に親しむ活動から音楽につくりあげるという趣旨が生かされず,具体的なお話などに具体的な音(擬音・擬態音)をつけるという活動が散見されます。具体的なイメージにとらわれすぎて「音楽にするには何が必要か」という考えが十分でないのです。子どもたちは,具体的なイメージがなくても音楽をつくることができるのです。同様に,「鑑賞」の指導においても,具体的なイメージの湧く音楽しか子どもは聴きけないという考え方があります。実際,教科書に掲載されている教材曲は,例外なく「タイトル」がついています。そのような楽曲からいったい何を学び取ることができるのでしょうか。また,「言語活動の充実」という改訂のポイントが一人歩きして,子どもたちが十分に音楽へ浸る前に,すぐメモやワークシートに書き込むという姿も見られます。言語活動を音楽学習の深化のための道具として使うべきところが,手段を目的化してしまっているのです。


音楽科の基礎基本

 よく音楽活動(歌唱活動,器楽活動など)という言葉が使われますが,活動自体が楽しいものであっても,その中には「学び」が隠されていなければなりません。では,音楽科では何を学ばせることが大切なのでしょうか。

 学習指導要領の改訂すべき点について話し合う機関である中央教育審議会では,学習指導要領はすべての子どもに指導すべき内容であるという従来の考え方を尊重しつつ,各教科等において義務教育9年間で最低限すべての子どもたちに身につけさせる知識や技能,能力を明確にすべきである,という方針が出されました。音楽科についても当然ながら同じ課題が示されたわけです。このことを明示できなければ,教科としての存在意義を問われます(つまり,示すことができないのであれば,音楽の授業がなくなるわけです)。音楽科にとって最も重要な基礎基本とは何か。多くの先生方の知恵をお借りして結実したものが,実は,〔共通事項〕なのです。一部の実践では,〔共通事項〕を「音楽を形づくっている要素」だと勘違いしているものが見られますが,〔共通事項〕の「聴き取る」「感じ取る」という過程に注目してください(但し,子どもたちの中には「感じ取る」「聴き取る」という過程を取る場合もあります)。〔共通事項〕は基礎基本であるからこそ,「なま」のままで子どもたちに教えるものではなく,音楽の楽しさの基になっていることに気がつくような指導が大切になるのです。


文字で伝えることの難しさ

 初めに述べた新しい取り組みへの課題解決や音楽科の基礎基本の学びを担保するうえで重要になるのは,『小学校学習指導要領解説音楽編』(文部科学省,教育芸術社,平成20年,以下「解説書」と略します)をしっかりと理解することです。でも,おそらく多くの先生方は,この解説書を読んでも「よくわからない」「ねむたくなる」「むずかしい」と思われたのではないでしょうか。それ以前に「読む気にならない」「読む時間がない」という先生方も多いと思います。その原因はいったいなんでしょう。

 私は,研究大会や研究会,研修会に招かれて,小・中学校学習指導要領の説明や,説明を含んだ講演会,「音楽づくり」や「鑑賞」の指導に役立つワークショップを依頼されることがあります。先生方からいただく多くのご意見は,「今度新しくできた〔共通事項〕とはそういう趣旨でつくられたのですね」「言語活動の意義やどういうふうに授業に取り入れればよいのかよくわかりました」「学習指導要領の意義がようやくわかりました」という有難いものです。でも実は,私が説明していることは,すべて解説書に書いてあることなのです。しかし,なかなか文字だけでは伝わらないことが多いようです。学習指導案についてもよく修正を頼まれるのですが,ただ直してその理由を文字で表すだけでは,修正の意図はほとんど授業者の先生に伝わりません。ひざをまじえて説明させていただくとよくわかっていただけます。これも文字で伝えることの限界だと思います。

 そこで本書は,多くの指導事例を掲載して,改訂された小学校学習指導要領の趣旨を実際に授業にするとどのような授業が想定されるのかを,先生方がイメージしやすいように作成しました。これらの事例を真似ていただいても構いませんし,先生方の教えられている子どもたちの実態に合わせて再構成していただいたり,事例を基に事例では取り扱っていない音楽学習に生かしていただいたりしても構いません。さらに発展させて活用いただければ,執筆者一同,無上の喜びです。

 もし,本書の内容に疑問な点やご意見,さらには小・中学校学習指導要領について疑問な点がありましたら,いつでも下記にご連絡ください。責任をもってお答えさせていただきたく存じます。


(連絡先省略)


  2011年8月   /須 一

著者紹介

須 一(たかす はじめ)著書を検索»

玉川大学教授

福井県福井市生まれ

金沢大学教育学部中学校教員養成課程(音楽)卒業

広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了(教育学修士)

広島大学大学院教育学研究科博士課程後期中退

ロンドン大学教育研究所博士課程単位取得(Ph. D Candidate)

兵庫教育大学学校教育学部助手

広島大学教育学部講師及び助教授

広島大学大学院教育学研究科助教授

国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官/文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官

を経て現職

山下 薫子(やました かおるこ)著書を検索»

東京藝術大学准教授

東京都生まれ

東京藝術大学器楽科(ピアノ)卒業

東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程(音楽教育)終了

東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程単位取得退学

静岡大学教育学部講師及び助教授

東京藝術大学音楽学部助教授

を経て現職

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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