7月。一学期のまとめや夏休み前の準備など、教師にとってはあわただしい日々が続く頃です。子ども達は、がんばってきた学習や友達と仲良く過ごせる喜びを実感できる時期でもあります。
友達関係では、心理的な緊張がほぐれ、互いに言いやすくなる反面、友達の言動で気になることがあるとついつい強い口調で注意してしまい、トラブルになることもあります。相手の気持ちも尊重した場面に応じた対応で、さらに仲良く関わり合える関係づくりにしたいものです。
「相手に分かりやすく伝える」ことで、「友達と上手にかかわるスキル」を身に付けさせたいと思います。
カウンセリングで取り組まれる積極的傾聴法として「シェア(心情面での振り返り)」「要点をつかむ(主訴)」「開かれた質問による明確化」を活用した取り組み例を紹介します。
「相手に頼みたいとき」の伝え方
1ねらい
友達とのかかわりの中で「自分の気持ちをうまく相手に伝えて、頼みたいとき」の場面があることを知り、友達と上手にかかわるためには、相手に自分の気持ちを分かりやすく伝えるスキルを身に付け、自分もよく相手もよい関係を意図的に醸成することに気づくことができる。
2活動T <シェア(心情面での振り返り)> 「頼み方」を意識する・しない
問題の意識化
- ふだんの生活の中で「人に頼む際に起こるトラブル」は何かを振り返る。
- 最近起きたけんかやトラブルなどの内、頼み方が一方的だったり、自分勝手だったりして伝えたいことがうまく伝わらないために起きたことを取り立てて確認する。
※実際あったトラブル場面を教師が提示したり、事前にアンケートを取ったり、傾向をつかんでおいて、意識のずれを確認しながら問題の意識化を図る。
@ドラえもんの登場人物(※)になりきって「遊びに混ぜて欲しいとき」をシナリオロールプレイする。
- 《状況設定のシナリオ例(○○の役…1人、Aさんたち…3人)》Aさんたち3人が楽しそうに遊んでいる。Bさんは、その楽しそうな遊びに入れて欲しいと思って近寄って話しかける。その時に「○○の役」になりきって仲間に混ぜて欲しいと頼んでみる。
※のび太君役…自信がなく、はっきり気持ちが伝わらない感じ。
ジャイアン役…ちょっと乱暴で、一方的に自分の気持ちを伝えようとする。
しずかちゃん役…主張的で明るくさわやかな感じで、混ぜたくなる。
Aロールプレイの様子から、気づいたことや感じたことを発表する。
- 言ってみて、聞いてみて(ロールプレイした人)、観察して(ロールプレイを見ていた人)。
3振り返りT <要点をつかむ(主訴)>
- 3人の役になりきったロールプレイから、相手に分かりやすく伝えるにはどのようにしたらよいかの視点で、気づいたこと、感じたこと、提案したいこと等を振り返り発表する。
- 出されたことを元に、自分だったらどのように気を付けたいかを自己決定する。
4活動U <開かれた主張による明確化> 「頼み方名人」を目指して
- 振り返り(自己決定したこと)を元に、「分かりやすく伝える」ためのポイントを全員で確認し、ペアになってロールプレイする。
※しずかちゃん役のように主張的に相手に気持ちを伝える方法のポイントを確かめて行う。学年の実態や発達課題等により、「相手も尊重しながらも自分の気持ちを分かりやすく伝えるスキル」に結びつけていくと良い。
- 「頼み方名人」になるためのポイントを元に、いろいろな友達とペアになって頼んでみる。
5振り返りU
- 「頼み方名人」になるためのポイントを元にやった活動Uが活動Tとどのように違っていたか、子どもたち自身から出た気づきや感想、実感したことを発表しあう。
※自己決定は「〜した方が自分もよく相手もよいかかわり方になる」のように肯定的にとらえやすくなる場合が多い。
今回の「頼み方名人」は、低学年を意識していますが、活動Tの内容を複雑(人数を増やす)にしたり、条件を増やしたりするなどして中・高学年や中学校でも実施できる内容だと思います。
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いつになったら次のエクササイズが出るかを楽しみに待っていました。
先生にはぜひ研修会やセミナーで直接お話をお聞きしたいです。
今回も参考になりました。
ありがとうございます。