「2月は逃げる」の言葉通り、他の月に比べて日数が少ないこともあり、知らぬ間に3月を迎える感覚があります。学習もまとめの時期に入り、評価に関するワークテストなども頻繁に行われるために、学習に苦手意識を持つ子にとっては、焦れば焦るほど学ぶ意欲を持てなかったり、ストレスをためやすい負のスパイラルになりやすい時期であるとも言えます。
「未履修問題」が話題になり、教科の時数が戻った現在においては、授業時数と学習内容の充実を背景に、履修に関する漏れがないようにしっかり確認することが多いです。よって、学習用具の忘れ物は、子どもたちにとっても、われわれ教師にとっても微妙な問題になります。
今回は、高学年の学級活動で活用できるシナリオを使ったロールプレイを取り入れています。高学年特有の遠慮し合う関係から、自分の気持ちを適切に伝えて、自分もよく相手もよい関係に醸成していくために、日頃のトラブル場面を元に、主張的に課題解決していくことを体験します。
物の貸し借りについてのやりとり
1ねらい【高学年の学級活動】
友達との貸し借りで起こりがちなトラブル場面を元に、貸した側と借りた側の間に意識の違いがあることや、伝え方が適切だとトラブルになりにくいことに気づくことができる(習字道具の貸し借りを例に)。
2活動T 「貸し借りで起こるトラブルの確認」
問題の意識化
- 忘れ物をしたときなどに、「貸し借りで起こるトラブル」があることを振り返る。
- 《学習用具、筆記用具等》
※習字道具の貸し借りエピソードの例@いつも忘れて借りに来る。A使って汚したまま返すので自分が使うときに気持ちよく使えない。等
貸してあげる役Bと貸してもらう役Aになって「習字道具の貸し借り」をテーマにシナリオロールプレイする。
- 《状況設定のシナリオ例》Aさんは、習字の時間に習字道具を忘れてしまうことが多いので、幼なじみの隣のクラスのBさんに借りに来る。最初の頃は仕方なく貸していたBさんだが、Aさんが使って汚したまま返すので、Bさんが使おうとしたときに使えなくなってしまった。何度か気をつけるように言ったが、相変わらずそのまま返してくる。Bさんは、Aさんを傷つけないように言いたいと思っているのだが…。
※A、Bのやりとりを中心に、観察者的な立場で二人の気持ちを理解できるように配慮してロールプレイできるようにする。
- ロールプレイの様子から、気づいたことや感じたことを発表する。(ロールプレイして、ロールプレイを見て。)
3振り返りT 「解決方法の自己決定」
@トラブル場面のロールプレイから、B役の立場で、相手に分かりやすく気持ちを伝えるにはどのようにしたらよいかの視点で、気づいたこと、感じたこと、提案したいこと等を振り返り発表する。
A出されたことを元に、自分だったらどのように伝えるかを自己決定する。
4 活動U 「決定に基づき努力をする」
振り返り(自己決定したこと)を元に、「自分もよく相手も良い解決の方法」を確認し、ロールプレイする。
※主張的に相手に気持ちを伝える方法がよいことを確認する。
5 振り返りU
「トラブル解決」のためのポイントを元に、やった活動Uが活動Tとどのように違っていたか、話し合いで出た気づきや感想、実感したことを発表しあう。
今回の「トラブル解決」は、解決方法の自己決定→決定に基づき努力しようとする一連の指導過程を重視し、主張的に自分の気持ちを伝える実践として紹介しました。シナリオをシンプルに変えることで、低・中学年でも実施可能であると思います。
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- keiko@熊本
- 2013/3/1 13:36:42
やまかん先生お久しぶりです。今大学で学んでいます。今後も勉強させていただきます。楽しみです。 -
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- 田中陽菜
- 2014/2/9 9:53:52
東京で小学校の教師をしている田中と申します。先生のご著書はほとんど持っています。新しい本が出るのを楽しみにしています。