- ハッピー先生の授業レシピ
- 授業全般
そうしているうちに、両手で「ありがとうございます」と言いながら受け取る子が出てきます。そこですかさず、「すばらしいねぇ!」と言います。しかし、その子が後ろに渡すとき、片手や無言で渡していたら、残念ながら没収です。「後ろの子にも、『どうぞ』がいるよね。残念…」。こんなふうに楽しみながらプリントを配ります。
こういうことを楽しみながらやっているうちに、プリントの配り方、受け取り方も変わっていきます。もちろん、掃除道具やハサミなど何か他のものを渡すときにも両手で渡すようにします。
ゆったりとした気持ちで
他にも、子どものいすが出しっぱなしだったり、靴がきっちりそろっていなかったりしたら没収し、その子が気付いたら、「えっ、あぁ、出しっぱなしやったから、もういらんのかと思ってさ」と言って返してあげます。
このように、しかるのではなくちょっと楽しみながらやっていれば、子どもたちもだんだんと自分でできるようになっていきます。廊下を走っている子がいたら、「へぇ〜、廊下走らしたら日本一やなぁ!」と言ったり、ポケットに手を突っ込んでいたら、「うわぁ〜、ポケットに手入れんのうまいなぁ!」と言ったりすれば、わざわざ大きな声を出してしからなくても、子どもたちはそのことを意識するようになります。
こんなふうに、できるだけ事を構えず、ゆったりとした気持ちで子どもたちと向き合って指導に当たりたいなあといつも思っています。
揺るぎない思い
子どもたちと向き合うと言えば、学校生活には本当に山ほど子どもたちを指導できる場面があります。それらを一つひとつ取り上げていたらキリがありません。だから、目の前の子どもたちの状態を見て、まず何からできるかを常に考えながら実践していくことが大切だと思います。
また、教育の現場に絶対という方法はないと僕は思います。人間の歴史が始まってもう何万年も経つのに、そうしたものは見つかっていません。それなのに、教師生活10年ちょっとの僕がそんなものを見つけられるとは到底思えません。
僕は、子どもたちによくこのように話します。
「もし、あなたがこれをやれば絶対伸びる、倖せになるという方法を先生が知ってるのなら、迷わずそれをします。でも、そんなものはこの世にはない。だから、先生もあなたのおうちの人も、どうすればあなたがすてきな人になっていくのか、どうすればよいのかと迷いながら教育しています。だから間違うこともあります。失敗することもあります。そんなときは謝ります。でも、1つだけ揺るぎない思いがあります。それは、先生がみんなのことを心から愛しているということです」
教師だって、迷いながら、時には不安な思いを抱いてやっています。万人に通用する完璧な指導方法もありません。でも、だからこそ、いろんなことを学び、少しでも完璧に近づくように自分磨きをしていく必要があるはずです。