- 著者インタビュー
- 特別支援教育
私はどんな子でも、その子が持っている可能性をとことん信じたいと思っています。その子が自分らしさを発揮しやすいよう、側面から柔らかく助けたい(援助したい)…と。 そんな思いから「育ちサポート」をテーマにしました。
育ちをサポートするには、子どもをよく理解(アセスメント)し、できるだけ子どもに合った課題を提供することが大切です。子どものレベルと同じくらいか、ほんの少し難しい課題がよいでしょう。そして、課題はできるだけ多く経験することが望まれます。今行ったものとほんの少し違う課題(=よく似た課題)をまんべんなく経験することで、子どもは本物の力を身につけることができるのです。
ですから本書では数多くの育ちをサポートするプログラム例を紹介しています。
どの遊びも、それぞれが子どもを惹きつける魅力を持っていますが、特に人気があったのは、以下の遊びです。
『背中のキャンバス、描いてあてよう!』『重ねよう!並べよう!形作ろう「積み木」遊び』『楽器でコミュニケーション!楽器のこだま遊び』『うさぎはピョン!ことばの置き換え遊び』『体全体を使ったまねっこ遊び』『動作をあてよう!ジェスチャーゲーム』『ことばのリズム「た・ぬ・き」(ポン ポン ポン)』『2人、3人、4人、集まろう』
具体的には、(1)身体を意識する力、(2)目と身体を使う力、(3)耳と身体を使う力、(4)記憶する力、(5)模倣する力、(6)イメージする力、(7)概念形成の力、(8)協調性・社会性の力、の8つです。これらは、障害の程度や種類にかかわらず、どの子どもも身につけるべき力と言えます。8つの柱はそれぞれが順序性を保ち、また複雑に絡み合っているため、どれか一つ欠けても他の領域に影響を及ぼす可能性があります。そして、これらの力をできるだけバランスよく育てていく必要があるのです。
「子どもの世界」は、誰もが持っている「その子らしさ」でしょうか。私は障害が重い子でも、軽い子でも、全く同じように接しています。どんな子でも同じに見えるのです。「その子の世界」に溶け込むのが自分たちの仕事だと思います。溶け込んで、一緒に時間を共有しながら、いろいろなやりとりを行っていくのです。そうしているうちに、お互いの世界が少しずつ重なり合って、広がっていくのだと思います。
子どもの育ちにとって、似ている活動を数多く体験することがとても大切になってきます。本書を読まれた先生方には、掲載されている遊びをそのまま取り入れてくださっても、アレンジをしてくださっても、クラスのお子さんの実態に応じてお使いいただければと思います。
いずれも優れたプログラムです! どうぞ参考にしてください。