著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
中学生の成長を見取るポイントは教師間の情報交換
生徒指導要録研究会代表釼持 勉
2011/7/29 掲載
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 今回は釼持勉先生に、新刊『中学校 新生徒指導要録早わかりガイド』について伺いました。

釼持 勉けんもち つとむ

生徒指導要録研究会代表
現在、東京都小金井市立小金井第一小学校長。文部科学省の各種委員歴任。東京学芸大学「教職実践セミナー」代表、NP0法人フェイシャルセラピスト協会監事。学校経営、若手教員育成、ティームティーチング、国語教育、漢字指導等を専門として、子どもの悩み相談等にも力を注いでいる。『若手教師がヒヤッとした!80場面のトラブル解決術』(明治図書)』など著書多数。

―平成24年度から中学校の生徒指導要録が新しい様式に変わります。改訂のポイントと合わせて、中学校における「表現」の扱いをどのようにすればよいか教えてください。

 生徒指導要録は、小学校と同様に「生きる力」を育成することを念頭に置いて記載することになっています。評価の4観点は、「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」となり、「表現」の扱いが変更されました。これにより、思考・判断したことと、それを表現する活動を一体的に評価する、という新たな観点が設定されました。ただし、特に技能教科における表現活動に関しては、新観点の「技能」において、これまでどおり評価できることになっています。

―本書は、生徒指導要録の記入方法だけでなく、指導事項に基づいた具体例が豊富に収録されています。指導要録をつける際の本書の活用のポイントを教えてください。

 本書では、各教科の学習指導要領に記載されている指導事項を、学年別にどのように評価に生かすか、より具体例に基づいて記載しています。特に校内研究などで重点的に取り扱った教科・領域(国語科の言語活動、道徳等)については、観点別学習評価、総合所見に活用が図れるように、細部にわたって掲載しています。総合所見に学習面等を記載するときに、大いに参考にされるとよいと考えています。

―中学校では原則として教科担任制ですが、一人の子どもの見取りにおいて、教師間での情報の共有化をどのようにすればよいでしょうか。

 中学校では、副担任制等を取り入れて学年構成をしていることがよく見られます。したがって、学年内で調整のできることとできないことを区別した上で、情報の共有化をめざすことが大切になります。学年会を開催する際に、指導を受けている他教科の教員と生徒個々の情報を伝え合うとともに、課題解決に向けた取り組みにあてる時間を、計画的に確保するようにしておくとよいでしょう。

―子どもたちの成長を見取るために、日頃から心掛けるべきことはなんでしょうか。中学生の年代ならではの、小学生の見取りとは違った視点がありましたら教えてください。

 中学生ならではの活動としては、何といっても部活動があげられます。生徒の活躍の状況や人間関係の把握など、部活動の取り組みを通して生徒理解ができるということがよくあります。また、生徒会活動への取り組みの経験から、子どもたちが成長するということもあるでしょう。したがって、授業や学級活動だけというような一面的な見取りではなく、様々な活動を通して子どもたちが成長する姿が見取ることができるよう、教師全体での見取りが欠かせません。

―最後に、読者の先生方へのメッセージをお願い致します。

 本書は、今回の生徒指導要録の改訂に合わせて作成しました。指導要録の記録や提出等の手順に関しても具体的に解説していますので、一読すれば、「早わかりガイド」の書名の通り、新規採用教員の先生方にもすぐに活用が図れるようになっています。また、日頃の学習状況や生活状況等についても細部にわたって記載しましたので、教師間で生徒一人ひとりの情報を共有し、子どもたちの成長を見取る目を養っていくのに役立ててほしいと思います。

(構成:木村)
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