著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学びがあれば、音楽がもっと楽しくなる!
千葉県船橋市立塚田小学校教頭中嶋 深雪
2011/7/27 掲載
 今回は中嶋深雪先生に、新刊『授業も評価もすべておまかせ!音楽ワーク&チェックシート』について伺いました。

中嶋 深雪なかじま みゆき

千葉県船橋市立塚田小学校教頭
東京都生まれ。昭和56年に千葉県船橋市で教員スタート。以後、市内の公立小学校教諭。平成7年度には千葉県長期研修生として、千葉県総合教育センター・千葉大学教育学部音楽科研究室で<子どものミュージカル・オペレッタ・音楽劇>に関する研究を推進。船橋市立高郷小学校では平成17年度・18年度文部科学省教育課程研究指定校の研究主任として、新学習指導要領改訂のための実践事例を研究。『平成20年改訂小学校教育課程講座 音楽』(ぎょうせい)、『小学校新学習指導要領の展開音楽科編』(明治図書)他、音楽雑誌、教育雑誌に執筆多数。

―音楽=歌や演奏、というイメージがあります。音楽にも、国語や算数のような目に見える「学力」が、ズバリあるのでしょうか。

 答えは……ズバリ「あります!」音楽における「学力」は、今回の新学習指導要領の〔共通事項〕とも深い結びつきがあります。<算数の四則計算><国語の読む書く、話す聞く>のように、この〔共通事項〕を計画的に指導し、評価することによって学力が目に見えてくることになるでしょう。ただし、音楽の活動を通して学習を進めることが重要です。

―音楽は楽しければ0Kというようなイメージを持っている先生も多いようですが、学校教育の中で、音楽の授業が果たすべき役割とは何でしょうか。

 音楽の「よさ」や「楽しさ」は、音楽活動を通して気づいたり、感受したりする,一人ひとりの<学び>から見出すものです。また、〔共通事項〕を基礎・基本としての<音楽的な学力>は欠かせないと考えます。そのために、私たちは計画的な学習活動の展開を図り、年間指導計画に基づいた日々の授業を行っていかなくてはなりません。基礎・基本に裏付けられた音楽科の学習は、子どもたちが「生きていく力」をつけるため、大きな役割を果たしているといえます。

―本書は、コピーしてそのまま授業に使える2種類のシートが魅力ですが、ワークシートとチェックシートに関して、それぞれ簡単にどのようなものか教えていただけますか。

<ワークシート>
授業の流れに沿って計画的につくられた学びカードです。中心になる学習内容がきちんと盛り込まれるため、学びの足跡が残り、主体的な学習を進めることができます。〔共通事項〕と関連させ、明確に示すためにも有効です。
<チェックシート>
学習過程において、自分の<学び>を振り返る、子ども達の歩みの状況を把握するために有効です。低学年では、自己評価したり、友達の評価を聞き、達成感を共有したり広げたりしながら、意欲を高め、学習を深めたりしていきます。

―小学校では、学級担任の先生が音楽の授業も受け持つことが多いですが、音楽が苦手な先生にとっては、自ら歌ったり演奏することに抵抗を感じることもあると思います。そんな先生方へぜひ、アドバイスをお願いできますでしょうか。

 まずお伝えしたいのは、「先生! 学習中は子どもと向き合って!」ということ。 音楽の授業は先生の伴奏発表会ではありません。伴奏はCDや自動演奏に任せて、子どもと向き合って授業をしてみましょう。鍵盤だけをみて余裕なく伴奏するよりも、ときにはアカペラでも、先生のリズム伴奏(手拍子)でもOK。歌っている子ども達の間に入ったり、向かい合ったりして一人ひとりの声を聞いてください。いつもと違う発見がきっとあります。そして、子ども達が一生懸命取り組んでいることをほめ、安心して表現できるムードをつくりましょう。この安心感が、子どもの意欲をさらに引き出してくれるのです。

―最後に、音楽の授業に取り組む学級担任の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 「小学校6年間の音楽の学習の中で<育んでいきたい力>とは?」の質問にどんな風に答えますか。本書では〔共通事項〕の内容を<育んでいきたい力(学力・能力)>としてとらえ、チェックシートととも多様な実践事例を載せました。また、ワークシートを使えば、ねらいに沿った授業になるようにしてあります。忙しい学級担任の先生方がそのままコピーして使えるように資料も多数揃えました。子どもたちが音楽の学力や能力を身に付け、「生きる力」を育んでいくために、この実践が少しでもお役に立てば幸いです。

(構成:木村)

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