- 著者インタビュー
- 幼児教育
表現あそびとは、自ら「表す」ことや「表されたものを受け止める」ことを通して、様々な面白さに触れて楽しむあそびです。表現という言葉には、自分が感じていることを様々な伝達手段を使って他人に伝えるという意味があります。乳幼児期の子どもたちの心の中に、意図的に何かを表したいという気持ちが芽生えて保育者や友達がそれを受け止めることで、活動が展開していくといいなと思います。
0、1歳児では、保育者が子どもの行為から気持ちをくみ取って接する姿勢が大切ですね。2歳児の保育では、小さなことでも自分できる!という自尊心の育ちをサポートするような言葉がけをしてみましょう。見立て・つもりあそびが盛んになる3歳児では、イメージの世界を一緒に楽しんでみてはどうでしょうか。身体の動作がしっかりしてくる4歳児にはその力にふさわしいあそびを、5歳児ではみんなで頑張る、お互いを思いやるような共同性が育まれるような活動が望ましいと思います。
本書では、発達の上で質的変化のことを「発達の節目」と書きました。でもこれは、何歳になると何かができるようになるという意味ではないし、劇的に変化してできるようになる時期があるということでもありません。あそびの中で子どもが繰り返し体験した結果として、自然と何かができるようになった時、その子の発達の節目を迎えたということです。この緩やかな変化における節であり、活動と年齢の適性を示す一つの目安として捉えてください。
3つの発達の視点は、5つの活動種類の中に含まれる要素です。そしてこれらの要素には、それぞれに育つ時期があったり、年齢によって少しずつ質が異なるといった特徴があります。こうした特徴を季節や園の行事などの保育実践に照らし合わせてみると、似通った活動でも年齢に見合ったものとして、指導の力点が見えてくると思います。
入園する子どもや、既に同じ園舎で過ごした子どもも、新しい教室での出来事に対して、少し敏感になる時期でもあります。何か言い出そうとしても恥ずかしくて言い出せなかったり、泣いてしまう子どももいるかもしれませんね。こういう時期は特に、安心できる大人として、先生はすごく頼りされていると思います。その期待に答えることができるように表現あそびを通して、子どもとの深い信頼関係を築いていってほしいと思います。