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「すべての子」を対象にした授業づくりが私の授業での目標でした。そういうことを考えた場合、教室内にいる特別支援を要する生徒、グレーゾーンの生徒がいることに気づきました。そういった子への配慮は授業でどのようにしたらいいか考えていったのです。
生徒が変わったというより、私自身の生徒を見る目が変わってきました。以前の私では、「さっき言ったでしょ!」「なんでこんなこともわからないの」と思うことがありましたが、「もしかしたら、理解できないのはこの子の特性なのかも…。だったら、わかるように教えるのが私の仕事。話が聴けないなら、話を聴けるようにするのが私の仕事」そう思うようになり、自分の授業力、対応力を考えるようになりました。
スモールステップです。1つのことを教えるときには、どんな段階が必要なのか、最初から空所補充ができない生徒にはどうしたらいいのか、次の課題ができるまでにはどのような学習をしておかなければいけないかなど、小さなステップを考えるようにします。どうしてもわからなそうなところ、大事なところは、なぞらせる。なぞりをいれるのです。なぞるだけなら誰にでもできます。
まず、発達障がいを理由にしないことです。あの子は発達障がいだからという理由で終わらせないことです。そうではなく、その特性を理解したうえで何らかの対策・対応を考えていく「時期」に来ているのだと思います。教師が発達障がいについての理解の段階はもう終え、今は「そういう子にどのように対応していったらいいか」ということを考える時期に来ているのだと思います。
大学生の娘に自宅に帰ってきた際、「はい。これ、最近出した本」と言って渡しました。そして「教室には特別支援を要する生徒がいるから、その子たちのために、例えば、褒めるとか、繰り返すとか、時間を指定するとか、授業をする上で気を付けるべきことを書いた本なんだ」と娘に言いました。するとすかさず娘が、「これって、普通の子にも通用することだよね」と返ってきました。我が子ながら核心をついた発言に、「そうなんだよ。だからユニバーサルなんだ」と言って本の表紙を見せました。
この本は、もしかしたら私たちが普段さりげなくやっていることが、特別支援を要する生徒にとっては優しい指導法、配慮につながっていることもあるということを理解してもらいたくて書いた本です。どうかラインマーカーを片手に、熟読してもらえたらと思います。そしてそういう指導の目を持って、授業にあたっていただければ、幸いです。