著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
授業は子どもと仲よくなるための時間です
兵庫県芦屋市立山手小学校教諭俵原 正仁
2013/2/7 掲載
 今回は俵原正仁先生に、新刊『俵原正仁直伝! 楽しい授業づくりのツボ』について伺いました。

俵原 正仁たわらはら まさひと

1963年、兵庫県生まれ。通称“たわせん”と呼ばれている。兵庫教育大学を卒業後、兵庫県の公立小学教諭として勤務。「笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる」という『笑育』なるコンセプトによるユニークな実践は、朝日新聞、朝日放送「おはよう朝日です」などマスコミにも取り上げられた。教育雑誌に執筆多数。教材・授業開発研究所「笑育部会」代表。
主な著書に『なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝!子どもとつながるノート指導の極意』(明治図書)、『俵原正仁直伝! 楽しい学級づくりのツボ』(明治図書)などがある。

―今回は、俵原先生が取り組まれている『楽しい授業づくり』について、その押さえどころ、「ツボ」を具体的にまとめられた内容になっています。楽しい授業づくりをするために、まず大切なことは何でしょうか。

 教師自身が、授業をすることを楽しむということです。特に、年度初めは「授業は子どもたちと仲よくなるための時間」という意識で、まずは授業時間の中で、子どもたちとつながることに重点を置いています。教師がいつもニコニコと楽しそうに授業をしていれば、子どもたちも勉強をすることが好きになっていくはずです。

―1章では、「視線と立ち位置を意識すれば授業は変わる」として、視線や立ち位置、机間巡指のポイントなどについて述べられています。その中で述べられている、机間巡視の3つのポイントについて教えて下さい。

 机間巡指の3つのポイントは、「日常的に机間巡指を行う」「早足で机間巡指を行う」「歩くコースを決める」というものです。その中でも、特に私が重要視しているのは、「早足で机間巡指を行う」というものです。1周だけでなく、何周も机間巡指を行うためです。何周も行うことで、その効果が倍増します。詳しくは、本書をご覧ください。

―2章では、子ども達の意欲を高めるための「教室をプラスの雰囲気」にするポイントについて、まとめられています。その中で「教室に置いておくもの」について触れられていますが、その中で特に先生がお薦めのものについて、教えて下さい。

 雰囲気づくりだけでなく、授業にも活用できるという意味では、「ホワイトボード」が一番のお勧めです。うまく頼めば、学校の消耗品として買ってもらえるかもしれません。もう一つあげるとしたら、「ピンポンブ―」です。おもちゃのようなモノですので、こちらの方は、学校で買ってもらえないでしょうけどね(笑)。

―3章では、「授業づくりのど真ん中」と表現される音読指導の各教科での取り組みについても触れられていますが、とかく最初は声を出しにくい子ども達を、指導する際のポイントは何でしょうか。

 一つ目のポイントは、教師がまず見本を見せるということです。英会話の練習といっしょで、「Repeat after me」が音読指導の基本になります。二つ目のポイントは、どの子にも一律に大きな声を出させようとしないことです。前回より少しでもよくなっていたら、褒めてあげてください。「伸びたか・伸びていないか」で子どもたちを見てください。

―4章・5章では、実際の授業づくりについて、「あまりのある計算プリント」「手紙の授業」「5分間集中漢字」など、具体的な事例をあげて解説されています。その中でポイントとされている「つながる指導」について、教えて下さい。

 子どもへの指導を大きく2つに分けると「つながる指導」と「鍛える指導」に分けることができます。「つながる指導」というのは、子どもたちと教師、子どもたちと子どもたちをつなげるための指導です。どちらも大切な指導ですが、授業で子どもたちを「鍛える」という意識に比べて、授業で子どもたちと「つながる」という意識は、一般的には弱いようですね。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 「学級づくり」と「授業づくり」は、お互いリンクしています。
 ……という意味も込めまして、今回、自分の力量も顧みず、学級づくりと授業づくりの本を2冊同時に書かせていただくことにしました。自分にとっても一つの挑戦でしたが、意外や意外、楽しくクリアーすることができました。ぜひ、ご覧ください。

(構成:及川)

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