- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
遅くまでいた方がいろいろ教えてもらえるので勉強になる…と言うのであれば何ら問題ありません。また仕事が好きで、時間もあって、いつまででも仕事をしたいのならそれでもいいでしょう。私が何とかしたいと考えるのは「早く帰りたいのにいつも遅くまで仕事をすることになってしまう先生」のことなのです。我が子の顔を見たい、家庭人として普通に生活したい、というのに、毎日夜9時にも10時にもなってしまうのなら、きっと改善策があるはず。そんな先生には、ぜひ効率よく仕事することを考えてほしいと思ってこの本を書きました。
ルーチンワーク
毎日の決まりきった仕事のことです。特別にすると面倒でも毎日のことになれば苦になりません。子どもも同じで、毎日漢字テストがあるとそれが当たり前になるので嫌な顔一つしません。すると我々教師もスムーズに進めることができるのです。
ルールの徹底
教室パソコンはパソコン係しか起動できない、体育係がラケットの貸し借りをする、授業前には学習係が前時の復習をする、宿題を忘れたら休み時間は無くなる、「うざい」「キモい」「ムカつく」は禁止語とする、など、1年間を通して予想される問題になりそうなことや、授業の準備、係の仕事について、4月の時点でルールブックを作りそれを徹底させます。すると子どもの方が厳しい目で見て守ろうとします。最初が肝心なのです。
物の持ち込み
カゴや棚、レターケースなどの教室の備品や消耗品は、自分で使いやすい物を買い、どんどん導入します。遊び道具など子どもに使わせる物は、きちんとルールを守らせます。パソコンやプロジェクター、キーボードも持ち込みます。タブレットやスマホなど、学校によっては許可がいる物もあるでしょう。きちんと使いこなして活用する姿をアピールして認めてもらうと、作業効率はぐんと上がります。
考え方としては、「自ら労働環境をよくしようとはたらきかける」ということです。例えば、理科の授業は2時間続きにせず1時間で区切りたいと思ったら、時間割担当の先生が組む前に「私は理科の授業を1時間ずつやりたい」と主張しましょう。全部が通らなくても少しずつ自分が思うような環境に近づけていく努力をするのがいいでしょう。自分の考えを皆に押しつけることはしなくても、自分にとってやりにくい方法で学校が進みかけているのなら、それをストップさせたり、まったをかけるのも大切です。自分はこんな風にやっていきたい…と言うビジョンを示すことで、少しずつ改善されるのではないでしょうか。待ちではなく、攻めで行くべきだと思います。
校務分掌が決まっているのなら、4月に出すべき書類はほぼわかるでしょう。さっさと作っておきます。というより、前年度のものを焼き直して提出できるようにしておけばいいのです。大事なのは、授業準備と学級の準備です。
私は、春休みにだいたい4月分の授業準備を済ませます。5月の連休にほぼ1学期の準備を終え、夏休みに2学期、冬休みに3学期の準備を済ませます。準備といっても、授業のプレゼンとワークシートの印刷、そして練習問題の印刷なのです。これだけできているととても安心です。市販のワークシートで十分ですし、教科書に付属している物でもOKです。今はデジタル教科書があり、プレゼンもそう必要なくなっていますが、それでも一応流してみます。激動の4月を余裕で過ごすためにも、春休みのうちに、とりあえずの授業準備をされることをおすすめします。
目まぐるしく変わる教育行政の指針に加え、昨今の体罰問題やいじめ問題に奔走されていることと思います。もちろん体罰やいじめを是認するつもりはありませんが、そんな政権や行政、委員会の方針に振り回されるのではなく、自分がやりたい教育、育てたい子どもを思い、ブレずに進んでいくことが、ストレスなく、仕事を進めていけることだと思います。学級づくりや授業づくりを楽しんで行うことが、自分も子どもたちも幸せにすることにつながるでしょう。自分の得意なこと、テーマを決めてぜひやりたいこと、しなければならないこと、してもしなくてもいいこと…くらいに仕事を分けて考えれば、さっと終えられ、自分の時間がもてるのではないかと思います。楽しんで教師生活を送りましょう!