- はじめに
- Chapter1 始業前に1日が決まる! スタートダッシュのスゴ技
- 1 出勤から朝の会までの仕事術
- ためしてOK!@ 「机は広い方がいい」
- 2 朝の会の効果的な運営方法
- ためしてOK!A 「エアビームは安心・便利」
- 3 教室にあると便利なおすすめグッズ
- ためしてOK!B 「タイマーソフトで時間厳守」
- Chapter2 授業を成功に導く! スキルアップのスゴ技
- 1 国語―授業モードに一気に切り替え!
- ためしてOK!C 「ささやきメガホンでひそひそ解答」
- 2 算数―頭の冴えた「10時」をねらえ
- 3 理科―トラブル無縁の面白授業
- ためしてOK!D 「画鋲は安価なダルマ型画鋲が便利」
- ためしてOK!E 「液晶タブレットは超おすすめ」
- 4 社会,体育―楽々のまとめ学習&子どものやる気アップのアイデア
- ためしてOK!F 「落とし物は『落とし物箱』で一定期間保管」
- Chapter3 校務が効率アップする! 一歩リードのスゴ技
- 1 効率×見栄え―どちらも満足のテクニック
- ためしてOK!G 「アクティブボードは強い・文字が書ける・2人で書ける」
- 2 校務はソフト・アプリで効率よし
- ためしてOK!H 「レターケースはいくらあってもいい!」
- 3 校務は機器活用で効率よし
- ためしてOK!I 「飼育ケースは大量準備」
- 4 教室経営を楽勝にする小技を公開
- ためしてOK!J 「工具と文具は常にスタンバイ」
- ためしてOK!K 「キャスター打って楽々移動」
- 5 長期休業前も安心の一工夫 116
- ためしてOK!L 「AppleTVでiPhone・iPadを投影」
- Chapter4 学校が毎日楽しくなる! 効果バツグンのスゴ技
- 1 出勤後のチェックで子どもの状態をひと目で把握
- ためしてOK!M 「ラップと食卓塩でおにぎり」
- 2 小道具の活躍で授業中の子どもの気が散らない
- 3 子どもが授業に集中する指示・話し方のコツ
- ためしてOK!N 「YouTubeは宝の山」
- 4 お話タイムで子どもの思いを汲み取ろう
- ためしてOK!O 「遠隔操作できる簡易電子黒板」
- 5 給食・掃除の時間をトラブル発生地帯にしないノウハウ
- 6 落ち着ける掲示物で居心地のいいクラスに
- ためしてOK!P 「USB接続の書画カメラは優れもの」
- 7 下校後のひとがんばりが気持ちよい明日をつくる
- 8 教師が変われば子どもも変わる! 毎日の話し方スキル
- おわりに
はじめに
2008年に『教師のためのラクラク便利帳92選』という本を出しました。このときのコンセプトは「楽に仕事をして」「さっさと帰って好きなことをしよう」という程度のものでした。もともと,書名を「定時で帰るお気楽教師のラクラク便利帳」としようと思ったくらいですから(笑)。でも反響は大きかったのです。発刊1か月もしないうちに増刷が決まりました。すでに10冊以上の本を出していましたがこんなことは初めてでした。それだけ多くの先生方がご自分の仕事についていろいろ考えられ,悩まれ,家庭との両立に苦労されているのだと思いました。
その当時も書きましたがやはり今,学校の先生たちは歴史上(?)最高に「忙しい」毎日を過ごされていることは間違いないだろうと思います。「昔はもっとのんびりしていた」「毎日放課後は残った子どもたちとソフトボールやサッカーをしていた」「教室にはゆったりとした空気が流れていた」などと懐古されるベテランの先生もおられることでしょう。学校における「のんびりさ」は授業にも学級経営にも生徒指導にも余裕を生み,子どもとのいい距離が保て,いい関係が築き上げられるものだと私は思います。
目まぐるしく変わる教育行政の指針の下,「課題教育」と称し「〇〇教育」なる名称は年を追うごとに増えてきました。教員の数は増えないので誰かが担当にならなければなりません。会議に研究会,オープンスクールに保護者対応。そのほとんどが本当は少しのんびりして学級経営に当たりたい担任の先生の肩に乗っかかってくるのです。本来は授業の準備に一番時間を割くべきなのに,報告文書,申請文書,〇〇のまとめなど,要求する方は「〇日までに」と気安く言います。授業なんて後回しにしたらいい……とでも言わんばかりに。結局丸つけや日記指導,作文指導のノートは大きなカバンにごっそりと詰め込まれ,「風呂敷残業」となって夕食後日が変わるまでペンを走らせます。これで次の日にいい授業などできるのでしょうか。そして家族と団欒もできないままの状態で週末も土日出勤。このときとばかりに机に向かい,教室環境を整え,印刷に精を出します。いつまで続くかわからない残業のスパイラルに巻き込まれ「ダメな先生と思われたくない」「仕事ができないと言われたくない」そんなネガティブなモチベーションで奮闘しておられる先生が多いのではないでしょうか。もちろん私のまわりにもそんな先生方はたくさんおられます。若い先生も多く,毎日が楽しそうではないのです。せっかく望んだ教職の道に就いたのに……です。
今回のコンセプトは「できるだけ時間と手間をかけずに,効果抜群の手法を考える」です。キーワードは「ルーチンワーク」「ルールの徹底」「物の持ち込み」です。「毎日同じことをして,習慣にさせてしまうこと」「4月から同じルールで取り組み大きく変えないこと」,そして「機械にできることは機械にさせること」です。これ以外のことについても言及していますが,基本はこの三つ。自分にもルールを作って,例えば夕方4時45分になったら仕事の途中でも帰ってしまおう……などと。
私は新任から14年間中学校に勤務していました。もちろん部活動があり生徒指導も大変でした。帰りは10時11時になり,土日勤務は当たり前(当時は土曜は勤務日でした)。夏休みもほとんど出勤でした。でも楽しかったのです。同世代の教員が多かったこともありますが,上の世代の先生方が本当に上手に,まだたどたどしい学級担任を育ててくれたのでした。授業方法,学級経営,カウンセリング,掲示物などいっしょに夜遅くまで付き合ってくれました。今はなかなか「育てる」ということは難しいでしょう。だからこそこのような書物で過去の遺物になるかもしれませんがうまく仕事ができるコツや要領,効果のある方法を少しずつでも伝授できたらと考えます。
当時と違いゆったりと構えていられないゆとりのなさも現代にはありますが,それでもコツや要領が生きる内容は数多くあります。何でもかんでも取り入れるのではなく,自分に合った方法をぜひ一つでも活用してみて下さい。それが今度はかならずやあなたのオリジナルになるはずです。
誰もが3倍はやくこなせるのではなく,誰もが10倍うまく仕上がるのではありません。でもうまくいった事例を一つずつ積み上げることで1.5倍のはやさになったり,2倍くらいうまく仕上がったりするでしょう。その小さな積み上げがオリジナルの「仕事術」となるのだと思います。この本を読まれた皆さんが一つでも参考になり,少しでも早く帰れ,1人でも多くの方に「おおっ」と言ってもらえたらこれ以上の喜びはありません。ご健闘を祈ります。
2013年 2月 著者代表 /國眼 厚志
-
- 明治図書
- 内容がわかりやすい。2017/8/1730代・小学校教員
- 明日からの学級経営に使えそうな実践がたくさんあって、勉強になりました。2016/6/120代・小学校教員