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教材キット活用のメリットはたくさんあります。まず、実験道具の場所が分からなくて理科室を探し回るといったトラブルが減り、確実に授業ができます。また、教科書通りの結果がでなくて焦ることもなくなります。理科指導に苦手意識をもつ先生にとっては心のゆとりが生まれ、笑顔で授業できることが何より大きなメリットです。
キットを使う際に常に心がけた方がよいことは、全ての部品に名前を書く、勝手に先の実験をしない……などたくさんあります。詳しくは本書で確認してください。
市販されている教材キットは、それを専門で開発している業者が作ったものなので、どれも完成度が高いものばかりです。どれを選んでも当たり外れはまずありませんが、ひとつの目安として、授業する先生の理科に対する自信度で選ぶという方法があります。ある程度自信のある先生はシンプルな基本セットを、あまり自信のない先生は最後のものづくりまでパッケージされたものを選ぶと安心だと思います。
どのような内容でも教材キットを使う方が準備が楽で、確実に実験・観察ができます。しかし、あえて言うならば、電気・磁石などの「エネルギー」分野はそのままでキットを活用しやすく、「生命」や「地球」、「粒子」分野には多少の知識・経験が必要だという傾向があります。本書は、その辺りのノウハウについても触れているので、ご参照ください。
3年生「磁石につけよう」
「明かりをつけよう」では「すべての金属は電気を通すこと」を学習しました。ところが、磁石にくっつくのは鉄・ニッケル・コバルトだけです。この違いを比較しながら確かめていけば、深まりのある授業になりますよ。
4年生「電気のはたらき」
4年生では、乾電池の数とつなぎ方について調べます。教材キットなら、グループのなかで分担して同時に色々なつなぎ方をして比べることができます。みんなで協力しながら問題を解決している姿を参観者に観てもらいましょう。
5年生「たねの発芽」
「条件制御して問題解決する力」を育てることが5年生の目標です。たねが発芽するための条件を自分なりに予想し、それ以外の条件はそろえるという科学的な調べ方を学びます。教材キットならば、一人ひとりの子の独創的な仮説も認めることができ、自分の本当に知りたいことを追究させてあげられます。また、教師にとっては、条件制御をしながら実験しているかどうか、一人ひとりの評価をすることができます。
6年生「月と太陽」
天体の単元は時間・空間概念を育てる学習です。小学生の発達段階はまだ十分に空間把握ができず、先生が教室の前で説明しただけではなかなか理解することができません。そこで、教材キットを用いて自分の手で動かしながら考える、手と頭を連動させることが大切なのですね。
理科が苦手でも心配ご無用! 本書をよく読んでキットを正しく用いれば、きっと子どもたちも笑顔になってくれるはず。心に余裕をもって理科の授業を楽しんでください。